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これからの時代に求められる学びのスタイル:茂木健一郎×波頭亮

私塾がコモディティ化しない人材をつくる

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更新日 : 2012年11月15日 (木)

第4章 生徒のやる気を出させる「適塾」システムのすすめ

茂木健一郎(脳科学者)

茂木健一郎: 教育のシステムとして僕が提案したいのは、適塾です。適塾は緒方洪庵が塾頭で、塾生には福澤諭吉がいました。福澤諭吉が適塾に来てから1年半ぐらい経ったとき、熱が出たので寝ようと思ったけれど、枕がなかったそうです。どうして枕がなかったかというと、適塾に来てからずっと、勉強して疲れたら横で仮眠をとって、また勉強するというありさまだったので、枕を使って寝たことがなかったから。それぐらい、ものすごく勉強したんです。

それに比べて、なんですか、今の日本の学生は? そもそも日本の大学が、学生のやる気を出すようなシステムになっていないんです。

「適塾の塾生は、どうしてそんなに必死に勉強したんだろう?」と前から疑問だったのですが、この前、大阪にある史跡を見て初めてわかりました。適塾のシステムというのは、オランダ語の書籍を塾生が読み合い、説明し合うのですが、そのとき、お互いに3段階とか4段階で点数をつけて評価するんです。その評価によって、塾内でのランクが上がるというシステムでした。私塾で先生が一人で教えているだけだと、なかなかスケールアップしないのですが、塾生同士で相互評価するというのはスケーラビリティがあります。

ただ、今これをビジネスとしてやろうとすると、子どもたちは日本のくだらない偏差値入試に時間を奪われてしまっているので、恐らく最初は、子どもの可処分時間も親の可処分所得も奪うことはできないと思います。この適塾システムを入れて成功するのは、まだ頭が柔らかい大学1、2年生のうちにセカンダリースクールとして、オプションでつけるみたいな形かなと思います。

とにかく、勉強すべきことはたくさんあるわけです。俺だって猛勉強しているんですよ。この後、登壇する波頭さんなんて、仕事が終わった後、午前3時とか4時まで勉強しているんです。

きょうは教育に絞ってお話ししましたが、日本にはいろいろ大きな構造問題があります。課題もやるべきこともわかっていますが、今の日本の状況では変化は期待できないので、みなさん、自分は自分で守りましょう。

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私塾がコモディティ化しない人材をつくる
茂木健一郎 (脳科学者)
波頭亮 (経営コンサルタント)

茂木 健一郎(脳科学者)
波頭 亮(経営コンサルタント)
いま求められるコモディティ化しない人材を育成するためには、これまでの標準的な人材を生んできた教育システムでは限界があります。本セミナーでは、「今までのやり方と古い常識にとらわれずに自分で考え、自分で行動することができる」人材を育てる一つの試みとして、私塾の可能性に注目します。新しい時代に即した私塾とは?茂木氏と波頭氏が議論します。


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