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「世界の都市総合ランキング 2011」で4位だった東京の将来性は?

~東京の磁力を回復し、優秀な人材や企業を惹きつけろ~

東京政治・経済・国際経営戦略
更新日 : 2012年04月12日 (木)

第6章 東京の弱点を克服する方法

左から竹中平蔵氏、猪瀬直樹氏、グレン・S・フクシマ氏、市川宏雄氏

竹中平蔵: 先ほど市川さんから「東京はオールラウンドな都市だけれど、弱点があって、それは税率が高いこと、規制が多いこと、交際空港までのアクセスが悪いこと」という報告がありました。しかしこれらを改善すれば1位になれるという、おもしろいシミュレーションもしてくださいました。

私は東京をよくするためには、弱点を克服すると同時に、突出した何かをつくらなければならないと思います。そこでここからは「欠点を克服する方法」と「一体何がブレークスルーになるのか」という議論をしたいと思います。まずは欠点を克服する方法について、市川さんから口火を切っていただけますか。

市川宏雄: それがわかっていたら、とっくに都市力は上がっているという大変難しい質問ですが、答えの1つは「恐怖感が足りない」ということだと思います。恐怖感が足りないがゆえに対応していないのです。法人税率の高さも国際空港までのアクセスの問題も、以前から指摘されていたことなのに対応していないわけです。ですから「これが問題なんだ」ということをいかに示せるか、恐怖感をどう出すかだと思います。

猪瀬直樹: さっき僕は「東京の現在の評価は低すぎる」と言いましたが、フクシマさんの意見と対立する意味で言ったのではありません。東京は、電車は時間通りに来るし、蛇口から出る水をそのまま飲めるし、防犯対策として台北のように窓を柵で囲ったり、ニューヨークのようにドアにカギを複数付けたりしなくていい。そういう意味で評価されていいと思うのです。けれど市川さんがおっしゃった意味で、だからこそ満足しきっていて、外の世界で激しい競争が繰り広げられているのに我関せずになっている。それが困ったところでもあるわけです。

グレン・S・フクシマ: 私は、東京はもっと魅力的にできると思います。課題の1つは税金です。法人税だけでなく、個人の所得税、住民税全体的に税金が高いというのが1つ。それから都心から国際空港が遠いこと。英語があまり通じないこともマイナス点だと思います。

そして、やはり規制が多いことです。1つ例を挙げると、外国人の弁護士が日本で活動するためには許可が必要なのですが、シンガポールなら1~2週間で取得できるものが、日本では6カ月~1年間もかかります。そのため外国人の弁護士は、シンガポールで登録して月に何度か東京に通勤するほうがいい、少なくとも日本の許可が出るまではそうしたほうが得なんです。こうした規制は、ほかにも多く存在しています。

竹中平蔵: この種の問題はこれまでにも随分議論してきましたので、きょうは改めてその確認をするようなことはいたしません。1つだけ象徴的なお話をするとすれば、先週、私はソウルに行ってきました。ソウルはグローバル化に対して大変な恐怖感をもって備えたために、いくつかの点で日本を凌駕したと思います。日本は「グローバル競争のために、規制緩和が必要だ」と言ったら「アメリカ原理主義だ」と批判される国ですから(笑)、本当に恐怖感が足りないと思います。

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該当講座

東京の磁力を回復する

~「世界の都市総合力ランキングGPCI-2011」からみた東京の未来展望~

東京の磁力を回復する
猪瀬直樹 (東京都副知事・作家)
GLEN S. FUKUSHIMA (エアバス・ジャパン株式会社 取締役会長 元在日米国商工会議所会頭 )
竹中平蔵 (アカデミーヒルズ理事長/東洋大学教授/慶應義塾大学名誉教授)
市川宏雄 (明治大学専門職大学院長 公共政策大学院ガバナンス研究科長・教授 )

猪瀬 直樹(東京都副知事)グレン・S・フクシマ(エアバス・ジャパン㈱取締役会長)竹中平蔵(慶應義塾大学教授)市川 宏雄(明治大学専門職大学院長)
東京」の磁力を回復させ世界から人々を呼び込むために、何が課題で、何をすべきかを明確にすることは、日本全体の未来を考えるうえで、必須命題ではないでしょうか。『都市総合力ランキング』という客観的データを基に、多面的な視点からの意見を交わし、日本そしてグローバル・シティ「東京」が緊急に解決すべき課題を明らかにします。


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