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「世界の都市総合ランキング 2011」で4位だった東京の将来性は?

~東京の磁力を回復し、優秀な人材や企業を惹きつけろ~

東京政治・経済・国際経営戦略
更新日 : 2012年04月06日 (金)

第3章 迫り来るアジアの都市

市川宏雄氏

市川宏雄: 「世界の都市総合ランキング」の直近3年間(2009~2011年)の変動を見ると、東京の国際競争力にかげりが現れていることがわかります。分野別に見ると、東京は2010年から2011年にかけて「経済」と「文化・交流」のスコアが下降ぎみで、ほかはほぼ横ばいで伸びていません。

これを指標別に見ると、「経済」分野の中で怖いのは「トップ300企業の数」が減っていることです。それと「完全失業率」はトップ4都市(ニューヨーク、ロンドン、パリ、東京)の中でも、アジアの主要国(東京、シンガポール、ソウル、香港、北京、上海)の中でも、東京だけが唯一3年連続上昇しています。失業率の上昇ですから、これは悪いことです。

「文化・交流」分野の指標の1つに「国際コンベンション開催件数」があります。これは東京でも増えているのですが、シンガポールやソウルなどの急伸と比べると、東京は若干しか増えていません。問題なのは「ハイクラスホテルの客室数」で、トップ4都市の中で減っているのは東京だけです。アジアの主要国の中では北京とソウルでも減っていますが、シンガポール、香港、上海では大きく増えています。東京は「海外からの訪問者数」も減っています。この背景には円高もありますが、受け入れるべきハイクラスホテルが減っているから訪問者も減っている、あるいは訪問者が減っているからホテルも減っていると言えるでしょう。

「成長の限界」という観点から見ると、日本は2005年から既に人口減少が始まっていますが、東京都の人口は2020年ぐらいまで増加すると予測されています。しかし増えるのは高齢者で、労働人口は減るという構造的な問題を抱えています。東京の「GDP」は3年連続上がっていますが、これは円高のおかげであって、東京の経済がよくなっているということではありません。「1人当たりGDP」にすると高くありませんし、「成長率」にするとアジアの主要国の中で最も低い状態です。今のままの推移でいくと、東京のGDPは2020年には北京に、2030年にはシンガポールに抜かれるという結果が待っています。

アジアのライバル都市は、さまざまな都市戦略で、すぐそこまで迫ってきているのです。例えばシンガポールは、市内から16kmにあるチャンギ空港でアジアのハブを目指し、マリーナ・ベイでアジアの国際金融センターを目指し、セントーサ・アイランドでアジアのMICE産業拠点を目指しています。街を変え、人を呼び、お金を呼び、そして国の力を上げようという戦略です。

上海は、あっという間に都市をつくってしまいました。陸家嘴(りっかし)地区は中国唯一の金融貿易区として開発が行われ、金融機関が集まっています。SWFC(Shanghai World Financial Center)もここにあります。こうした建物が街の象徴として、都市活動や人々を呼びこむための“磁力”になっているのです。

こうした都市間競争のもと、果たして今後東京はどうなるのでしょうか。ここから4人でディスカッションして参ります。

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該当講座

東京の磁力を回復する

~「世界の都市総合力ランキングGPCI-2011」からみた東京の未来展望~

東京の磁力を回復する
猪瀬直樹 (東京都副知事・作家)
GLEN S. FUKUSHIMA (エアバス・ジャパン株式会社 取締役会長 元在日米国商工会議所会頭 )
竹中平蔵 (アカデミーヒルズ理事長/東洋大学教授/慶應義塾大学名誉教授)
市川宏雄 (明治大学専門職大学院長 公共政策大学院ガバナンス研究科長・教授 )

猪瀬 直樹(東京都副知事)グレン・S・フクシマ(エアバス・ジャパン㈱取締役会長)竹中平蔵(慶應義塾大学教授)市川 宏雄(明治大学専門職大学院長)
東京」の磁力を回復させ世界から人々を呼び込むために、何が課題で、何をすべきかを明確にすることは、日本全体の未来を考えるうえで、必須命題ではないでしょうか。『都市総合力ランキング』という客観的データを基に、多面的な視点からの意見を交わし、日本そしてグローバル・シティ「東京」が緊急に解決すべき課題を明らかにします。


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