記事・レポート
時代とともに生きる老舗「虎屋」が進化し続ける理由
~虎屋17代当主・黒川光博氏が語る伝統と革新の企業哲学~
BIZセミナーキャリア・人文化経営戦略
更新日 : 2011年12月20日
(火)
第5章 大切なのは「今、オープン、スピード感」

黒川光博: :本日は「時代とともに生きる」というお題から、東日本大震災を受けて、今、私が考えていることをお話しさせていただきました。最後に、平素から大切にすべきだと感じている3つのことをご紹介いたします。
まずは「大切なのは今だ」ということです。虎屋に長い歴史があるのは間違いありませんが、それは我々にはどうにもできないことです。極端なことを言えば、私にはあまり関係のないことだと思っています。私がすべきことは、今いらっしゃるお客さまに喜んでいただける菓子をどうやってつくるか、社員に最大限にその力を発揮してもらうにはどうしたらいいか、この会社にいることに満足してもらうためにはどうしたらいいか。そういったことを考え、そのための環境をどう整えるかだと思います。社会の一員として何をしなければいけないかを常に考え、それを実行するということが「今」を考えるうえで大切だと思っています。
2つ目は「何事に対してもオープンであるべきだ」ということです。オープンには、自分の知識や経験を隠すことなく人に伝えるという「アウトプットのオープン」と、自分とは違う考えや意見に積極的に耳を傾け、自分の中に取り込んでいく「インプットのオープン」があり、そのどちらも大切だと思います。自分がオープンな姿勢でいなければ、新しい考え方も新しい風も入ってきません。よく「秘伝の味」とか「何か秘伝はあるのですか?」と聞かれますが、秘伝などというものは全くないと思っています。
3つ目は「常にスピード感を持つ」ということです。物質的な移動も情報の伝達も非常に速くなっているこの世の中で、古い企業が旧態依然とした形でゆっくり動いていたのでは、機を逸してしまうと思います。もしかしたら機を逸してしまったことにすら気づかないかもしれません。今に生きる企業なのですから、絶えずスピード感を持って動きたい、そういうことに気を配っていきたいと思っています。(終)
まずは「大切なのは今だ」ということです。虎屋に長い歴史があるのは間違いありませんが、それは我々にはどうにもできないことです。極端なことを言えば、私にはあまり関係のないことだと思っています。私がすべきことは、今いらっしゃるお客さまに喜んでいただける菓子をどうやってつくるか、社員に最大限にその力を発揮してもらうにはどうしたらいいか、この会社にいることに満足してもらうためにはどうしたらいいか。そういったことを考え、そのための環境をどう整えるかだと思います。社会の一員として何をしなければいけないかを常に考え、それを実行するということが「今」を考えるうえで大切だと思っています。
2つ目は「何事に対してもオープンであるべきだ」ということです。オープンには、自分の知識や経験を隠すことなく人に伝えるという「アウトプットのオープン」と、自分とは違う考えや意見に積極的に耳を傾け、自分の中に取り込んでいく「インプットのオープン」があり、そのどちらも大切だと思います。自分がオープンな姿勢でいなければ、新しい考え方も新しい風も入ってきません。よく「秘伝の味」とか「何か秘伝はあるのですか?」と聞かれますが、秘伝などというものは全くないと思っています。
3つ目は「常にスピード感を持つ」ということです。物質的な移動も情報の伝達も非常に速くなっているこの世の中で、古い企業が旧態依然とした形でゆっくり動いていたのでは、機を逸してしまうと思います。もしかしたら機を逸してしまったことにすら気づかないかもしれません。今に生きる企業なのですから、絶えずスピード感を持って動きたい、そういうことに気を配っていきたいと思っています。(終)
時代とともに生きる老舗「虎屋」が進化し続ける理由 インデックス
-
第1章 創業は室町時代。先人はいかにして危機を乗り越えてきたのか
2011年12月13日 (火)
-
第2章 「トラヤカフェ」挑戦の舞台裏~保守にならず、今を生きる~
2011年12月15日 (木)
-
第3章 新たな挑戦で、和菓子の人気を再認識
2011年12月16日 (金)
-
第4章 見えないところも手を抜かない
2011年12月19日 (月)
-
第5章 大切なのは「今、オープン、スピード感」
2011年12月20日 (火)
注目の記事
-
01月23日 (月) 更新
「アカデミーヒルズ バーチャル背景」公開中!
「書棚」「景色」「イラスト」など、アカデミーヒルズの画像を公開中!今月のバーチャル背景は、六本木ヒルズ49階「六本木ヒルズライブラリー」から....
-
01月23日 (月) 更新
CATALYST BOOKS vol.6
イベント「カタリスト・トーク」の登壇者が紹介する「理解を深める1冊」。今回は、「新記号論」を研究する石田英敬さんに3冊ご紹介いただきました。
-
01月06日 (金) 更新
新しい年、新しい場所ではじめませんか
2023年がスタートしました。今年はどんな年にしたいですか?目標を決められた方も、そうでない方も、アカデミーヒルズのライブラリーで、自分と向....
現在募集中のイベント
-
開催日 : 03月14日 (火) 18:30~21:00
≪森美術館シニア・キュレーター 近藤健一が解説!≫
本展覧会を監修したキュレーターの近藤健一と出品作家の“やんツーさん”とのアーティストトーク。現代アートへの造詣を深めた後、近藤の解説によるギ....
「六本木クロッシング2022展:往来オーライ!」
アーティストトーク+鑑賞ツアー
-
開催日 : 03月09日 (木) 18:00~19:30
シリーズ「五感でたどる、五感を超える日本の文化」
ロバート キャンベルさんがファシリテーターのシリーズ。第3回ゲストは、2023年に設立20周年を迎えるファッションブランド「ANREALAG....
第3回 衣服がもたらす新しい景色
-
開催日 : 03月07日 (火) 19:00~20:30
<未来を拡張するゲームチェンジャー U-35>Vol.5
ゲストは、ジャグリングパフォーマーとしての視点を切り口に、人間の根源的な好奇心を刺激する現象を追求する藝術家・小野澤峻さん。聞き手は脳科学者....
好奇心の根源に迫る〜共感が生まれる瞬間!〜