記事・レポート
時代とともに生きる老舗「虎屋」が進化し続ける理由
~虎屋17代当主・黒川光博氏が語る伝統と革新の企業哲学~
BIZセミナーキャリア・人文化経営戦略
更新日 : 2011年12月16日
(金)
第3章 新たな挑戦で、和菓子の人気を再認識

黒川光博: 「トラヤカフェ」という新たな店を作ったことで、それまで考えてもいなかったようなことが起こりました。「普段は和菓子を食べていないけれど、ここで餡を食べてみたらおいしかった。今度は昔ながらの和菓子を食べてみたい」とか「今まで虎屋という和菓子屋は知らなかった。赤坂にあるなら、今度行ってみます」と言ってくださる、そうしたお客さまにもお越しいただけるようになったのです。
「トラヤカフェ」をやってみて得られたことは、大変大きかったわけです。中でも特に大きかったのは、我々自身が和菓子の価値を再認識できたことです。新しいことを模索したことで、逆に和菓子の根強い人気を感じました。そこで、純粋な和菓子づくりをもっと極めていかなければいけないと思い、2007年には東京ミッドタウンに新しい「とらや」を出店しました。ここでは和菓子にとどまらず、日本文化の価値を広く発信していくために、初めてギャラリーを併設しました。
また、工場のある静岡県御殿場市には「とらや工房」というものをつくりました。和菓子は本来、生活や地域に密着した日常的なものですから、地元の素材や地域とのつながりを大切にしよう、足元を見直そう、ということで始めた店です。敷地内の畑で育てたサツマイモで芋羊羹をつくったり、ガラス張りになっている製造場で菓子をつくり、お客さまに見ていただいたりしながら、出来たての菓子を召し上がっていただいています。
これらの店も「そのときにしなければいけないことは何か」と考えてやってきたものです。お客さまのお声に耳を傾けながら、自分たちがしなければいけないことを愚直にやっていく。「やったことがないから、やらない」のではなく、「やったことがないから、やってみよう」と思いたいといつも考えています。
新しい店のオープンだけではなく、都度新しい制度の導入、環境整備、社会貢献活動なども行っています。最近では、「和菓子オートクチュール」という、お客さまのご要望にお応えして菓子をつくる部門があるのですが、若手にもっと力をつけてもらおうと、それまでは先輩の職人がやっていたところに若い人を参加させています。
それから採用活動では、大学生の就職活動が長期化して学生さんたちの勉強時間がなくなっていることに疑問を感じていましたので、今年から採用活動時期を遅らせました。また、大学での授業がある平日の昼間に面接に呼び出すのはいかがなものかと思いますので、土日にも面接を行っています。
「トラヤカフェ」をやってみて得られたことは、大変大きかったわけです。中でも特に大きかったのは、我々自身が和菓子の価値を再認識できたことです。新しいことを模索したことで、逆に和菓子の根強い人気を感じました。そこで、純粋な和菓子づくりをもっと極めていかなければいけないと思い、2007年には東京ミッドタウンに新しい「とらや」を出店しました。ここでは和菓子にとどまらず、日本文化の価値を広く発信していくために、初めてギャラリーを併設しました。
また、工場のある静岡県御殿場市には「とらや工房」というものをつくりました。和菓子は本来、生活や地域に密着した日常的なものですから、地元の素材や地域とのつながりを大切にしよう、足元を見直そう、ということで始めた店です。敷地内の畑で育てたサツマイモで芋羊羹をつくったり、ガラス張りになっている製造場で菓子をつくり、お客さまに見ていただいたりしながら、出来たての菓子を召し上がっていただいています。
これらの店も「そのときにしなければいけないことは何か」と考えてやってきたものです。お客さまのお声に耳を傾けながら、自分たちがしなければいけないことを愚直にやっていく。「やったことがないから、やらない」のではなく、「やったことがないから、やってみよう」と思いたいといつも考えています。
新しい店のオープンだけではなく、都度新しい制度の導入、環境整備、社会貢献活動なども行っています。最近では、「和菓子オートクチュール」という、お客さまのご要望にお応えして菓子をつくる部門があるのですが、若手にもっと力をつけてもらおうと、それまでは先輩の職人がやっていたところに若い人を参加させています。
それから採用活動では、大学生の就職活動が長期化して学生さんたちの勉強時間がなくなっていることに疑問を感じていましたので、今年から採用活動時期を遅らせました。また、大学での授業がある平日の昼間に面接に呼び出すのはいかがなものかと思いますので、土日にも面接を行っています。
時代とともに生きる老舗「虎屋」が進化し続ける理由 インデックス
-
第1章 創業は室町時代。先人はいかにして危機を乗り越えてきたのか
2011年12月13日 (火)
-
第2章 「トラヤカフェ」挑戦の舞台裏~保守にならず、今を生きる~
2011年12月15日 (木)
-
第3章 新たな挑戦で、和菓子の人気を再認識
2011年12月16日 (金)
-
第4章 見えないところも手を抜かない
2011年12月19日 (月)
-
第5章 大切なのは「今、オープン、スピード感」
2011年12月20日 (火)
注目の記事
-
09月28日 (木) 更新
もっとも書物らしい書物—西洋中世写本の魅力に触れる書籍案内
今回は「もっとも書物らしい書物—西洋中世写本の魅力に触れる書籍案内」と題し、手書きから印刷、そしてデジタルへと変遷してきた「書物」の歴史を辿....
-
09月26日 (火) 更新
六本木アートカレッジ
2022-2023年の六本木アートカレッジ <未来を拡張するゲームチェンジャー>」では、新しい価値を生み出す5名のゲストを招き、トークイベン....
<未来を拡張するゲームチェンジャー>イベントレポート
-
06月08日 (木) 更新
アークヒルズライブラリーのご利用、ありがとうございました
2023年6月30日に閉館するアークヒルズライブラリー。懐かしいイベントや周年パーティー、メンバーの皆さんからの声などをご紹介します。10年....
現在募集中のイベント
-
開催日 : 10月31日 (火) 19:00~20:30
第2回:日本の政治が目指すべき方向は?
今年で18年目を迎える「カーティス教授の政治シリーズ」。9月に内閣改造を実施した岸田内閣の課題や政策について、1年後に迫ったアメリカ大統領選....
-
開催日 : 10月12日 (木) 18:30~20:00
World Report 第5回 地中海発 by 村山祐介
いま世界の現場で何が起きているのかを、海外在住の日本人ジャーナリスト、起業家、活動家の視点を通して解説し、そこから見えてくるものを参加者の皆....
「欧州を再び揺さぶる移民・難民問題」
-
開催日 : 10月11日 (水) 19:00~20:30
身体の不思議~『ブラック・ジャック』が問いかけたこと~
東京シティビューで開催する「手塚治虫 ブラック・ジャック展」東京会場の公式ファシリテーターを務める宮田裕章氏(慶応義塾大学教授)と全2回のト....