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「ガッツリ」にがっくり~すてきな日本語!?~

読みたい本が見つかる「ブックトーク」

カフェブレイクブックトーク
更新日 : 2011年07月29日 (金)

第2章 変な日本語を集めてみたら

六本木ライブラリー ブックトーク 紹介書籍

澁川雅俊: ところで『問題な日本語』の著者は、いまどきの日本語にこんな視点からも注目しています。それは『KY式日本語』(北原保雄編著)という本です。書名の<KY>は、テレビジョンを表す<TV>などの頭字語(イニシャルやアクロニム)ではなくて、それが流行語にもなったので、その意味はご存じですよね。「空気を読めない」、あるいは命令口調で「空気を読め」ということを表し、<空気>つまり<その場の雰囲気>とか<議論や状況の流れ>を的確につかまえることの重要性を強調するコトバです。こうしたABCコトバは、実は、昔からあったのです。みなさん<MMK>ってどういうことを表すのかご存じでしょうか。私のように太平洋戦争前に生まれた者はもちろんそれを知ってますが。

またこの著者は国語辞典に載せたらいいのにと思っているコトバを一般から募集し、『みんなで国語辞典!〔1・2〕』(北原保雄監修)などというものを作ってしまいました。何十万語もの学校語・若者語・ネット語・業界語・隠語・方言などが応募されたようです。この辞典(1・2合計)に約2,500語が収録されており、このブックトークの発端となった「ガッツリ」ももちろん入っています。

この企画はおそらく今後も継続されるでしょうが、この辞典を眺めていると日本語の乱れというよりも、コトバの揺れ、それも激しい揺れを感じざるを得ません。しかしその一方で、最近の日本語風俗の様子が手に取るようにわかり、そしてコトバは増殖し、あふれて、私たちをその渦中に巻き込んでしまう。そのことに「コトバって生きてんだなあ」と実感したりもします。

なおこれらの本の著者は、どこがおかしい、何かおかしい日本語をやり玉に挙げていますが、単に「使ってはいけない」、あるいは「この用法は間違っている」と指摘するだけではなく、どうしてそういう表現が生まれてくるのか、たとえそれが誤用であったとしても、その誤用される要因と背景が何なのかを究明しようとしています。

古くて新しい問題

ところで<日本語の乱れ>について調べていると、どうやらこの問題は、古くから時折指摘されてきたもののようです。ですから古くて新しい問題ということになるのでしょう。清少納言も『枕草子』(学研『現代語訳日本の古典6』)で嘆いています。

また『日本語へんてこてん』(あんの秀子)で著者は、その序文でこんなことを言っています。「「やばっ」「萌え~」などが、いまどきの表現とされ、問題のある日本語としてときどき話題になる。…(中略)…古典をみれば現代の日本語のことがわかってくる。問題があるとされる言葉でも、古くからの日本語の特質を受けついでいて、間違っているとは言い切れないことが多い。」と。そしていまどきの若者コトバは、必ずしもすべてが彼らの発明ではなく、言ってみれば必然のような繋がりがあると、日本語の奥深さやおもしろさを書いています。

乱れていると指摘されているコトバは<乱れ>ではなく、コトバの<変化>であり、それらを日本語の新しい表現としてとらえようとしている本もあります。それが『みんなの日本語事典』(中山緑朗ほか編)です。副題に「言葉の疑問・不思議に答える」とあるように、現今のコトバの誤用、あるいは乱用の事情を解説しています。

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