記事・レポート

創成のイノベーション「未来に継承するリベラル・アーツ」

VISIONARY INSTITUTE - 2010 Seminar

BIZセミナー
更新日 : 2011年07月01日 (金)

第3章 人間はどうして瞬きをするのか?

佐治晴夫氏

佐治晴夫: 皆さんは瞬きをしますよね。どうして瞬きをするのでしょう? これを小学校の授業では、「さあ、みんな立って。今から1分間、瞬きしちゃだめだよ。瞬きした子は座るんだよ。ヨーイ、始め」とやるんです。すると1人座り、2人座り、3人座り……最後に1、2人が目を真っ赤にして残ります。

そこで「どうだった?」と聞くと、「目が痛かった」と言います。「どうして目が痛かったんだろうね?」と聞くと、ある子が「うちのお姉ちゃんはコンタクトをしているけれど、『目が痛い』って言って目薬を差すよ」と言います。すると別の子が「そうか、目薬を差したら目が痛くなくなるんだ」と気づきます。そうして、「そうか。じゃあ、瞬きしたら涙で濡れるんじゃない?」ということになります。つまり涙で目を濡らすことで、目は痛くならないということです。

それから「瞬きする魚を見た人いる?」と聞くと、クラスに1人ぐらいは「いる」と言う子が必ずいます。こういう子がいるとおもしろいのですが、その実演をやっていたら講演時間がなくなるので結論にいきますが、魚は瞬きをしません。魚はいつも水で目が濡れているからです。じゃあ、どうして人間は瞬きをするのでしょう? そこから論理を詰めていくと、「人間の祖先はお魚だった」という結論が出ます。「君たちもみんな、お魚だったんだよ」と言うと、「えっ!? うそだ!」「魚、嫌!」と返ってきます。

そこでおもむろに、東京大学の産婦人科で撮ってもらった受精後32日目の映像を見せます。胎児は魚の形をしています。これが2日経って34日目になると、何となく肺が見えます。また2日経って36日目になると、喉と肺をつなぐパイプが見えます。こうにして1週間で人間まで駆けのぼるのです。

人は「魚だった」ということは、なぜ瞬きをするのかというところからわかるのです。これは科学者でないと言えないことです。目の前にあるすべてのことの中に、何か宇宙の深いからくりを感じる心というのは、詩人の心です。だから科学者の目と、詩人の心というのは裏表にあるのです。それを感覚的に捉えていこうというのが、リベラル・アーツだと思います。

1977年にNASAが打ち上げた太陽系外惑星探査機「ボイジャー1号」と「2号」に地球の音源を集めたレコードが搭載されましたが、それにバッハの平均律のプレリュードを収録することを私が提案しました。なぜ、バッハだったのか? ここにはピアノがないので、この曲が “ゆらぎ”の性質を持っていることを弾きながら解説できないのがとても残念ですが、この曲の構造は完璧に数学で解くことができるのです。こういうこともリベラル・アーツの延長線上にあるのです。

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佐治 晴夫(鈴鹿短期大学学長)
リーダー不在といわれる現在、私達一人一人が、個人として、集団として、私達は何者であり、そして私達の動を生み出す心の源泉とは何か、その「本質」を見つめ直す機会として、「これまでの日本、これからの日本」をテーマにお話いただきます。


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佐治晴夫
春秋社

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該当講座

第9回 創成のイノベーション 未来に継承するリベラルアーツ
佐治晴夫 (鈴鹿短期大学学長)

佐治 晴夫(鈴鹿短期大学学長)
「私たちはどこから来てどこに行くのか」という根本的な問題とともに、リベラルアーツ(教養や芸術)が我々にもたらす影響そして重要性についてお話いただきます。


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