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「水が足りない」~ビジネス戦略と地球環境~

朝日新聞GLOBE創刊1周年記念パネルディスカッション

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更新日 : 2010年08月03日 (火)

第8章 ODAの壁。装置納入後、5年過ぎたら運転保守ができない

~パネルディスカッション【水ビジネスと国家戦略、環境とのかかわりは?】~

アカデミーヒルズ 「水が足りない」~ビジネス戦略と地球環境~

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梶原みずほ: 今日は、会場にサウジアラビア大使をはじめ、中東関係の方々がたくさんいらっしゃっています。前原さん、中東との関係強化に水を戦略的に使う可能性はあるのでしょうか。

前原誠司: 大いにあります。わが省の管轄でいえば、下水のノウハウで、ろ過の仕組みや膜などがあります。また神戸では汚泥を乾燥して、そこから出たガスでバスを走らせているのですが、このような技術が中東のみならず世界各国で使えるのではないかと思います。

梶原みずほ: 桑原さん、ODAにおける水関連の拠出額で日本は世界のトップクラスですが、ODAを通した水ビジネスの海外進出に関しては、どのようにお考えでしょうか。

桑原洋: お金を払う余裕のない国々に支援する方法は、ODA以外はほとんどないのですが、問題もあります。ある国に装置を納入しても、ODAでは制約があって、基本的に5年間しか面倒が見られないのです。その間は人材教育などの支援もできますが、それ以降はできません。

ODAで継続的な設備の運転保守をできるようにしないと、故障するとそのまま放置されてしまいます。過去にそういう例がいっぱいありました。ぜひ大臣に検討をお願いしたいと思います。

望月晴文: 保守運転管理にはコストがかかることを前提にせざるを得ません。やはり、先方の事情を十分勘案して、フィージビリティスタディ(実現可能性の検証)のなかで、ニーズに合った持続可能な協力をよく見極めることが必要だと思います。

また、食料の生産に使われた水を「バーチャルウォーター」といいますが、食料輸入をするときに、それについて考えることも必要です。日本では水を農業用水として年間約547億立方メートル使っていますが、バーチャルウォーターはそれより多い約640億立方メートルという説もあります。

水は最も基礎的な資源ですから、「ビジネス、ビジネス」と言い続けていいのかという問題が根本にあります。ですから食料輸出国、特に水不足の途上国との関係を考えるとき、ビジネスを超えた支援はあってしかるべきだと思います。

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該当講座

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「水が足りない」 - ビジネス戦略と地球環境 -
前原誠司 (国土交通相)
加藤千洋 (朝日新聞編集委員)
望月晴文 (経済産業事務次官)
桑原洋 (日立製作所特別顧問/海外水循環システム協議会理事長)
竹村真一 (京都造形芸術大学教授 / Earth Literacy Program代表)
梶原みずほ (朝日新聞GLOBE記者)

世界的に不足している「水」について、ビジネスと環境の視点から議論します。


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