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「水が足りない」~ビジネス戦略と地球環境~

朝日新聞GLOBE創刊1周年記念パネルディスカッション

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更新日 : 2010年07月26日 (月)

第7章 日本の強みは雨水利用と節水技術

~パネルディスカッション【水ビジネスと国家戦略、環境とのかかわりは?】~

望月晴文氏

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梶原みずほ: 前原大臣に質問です。水問題では、多くの省庁に管轄がまたがっています。自民党政権下では省庁の縦割りを打破しようと、「チーム水・日本」が結成されましたが、民主党政権ではどのように取り組むお考えでしょうか。

前原誠司: 今までの政権と違う取り組みとしては、国家戦略局が各省庁にまたがる大事なテーマを取り上げていきます。そして、閣僚委員会の開催です。水問題に関しても、ぜひ閣僚委員会を立ち上げたいと考えています。

梶原みずほ: 望月さん、新規産業を育てるための産業革新機構などを活用していくお考えはありますか。

望月晴文: そこまでいくには、もう少し時間がかかるかもしれません。今の時点でやらなければいけないのは、どんなタイプのプロジェクトなら日本が最適な貢献をできるかを考えることです。今、日本に「ぜひ来てほしい」という国も複数あるので、日本が成功例を出すことは非常に大事です。

ただ、民間サイドではチームとして準備ができていません。私どももぜひ支援したいと、フィージビリティスタディ(実現可能性の検証)作業などのプロジェクトでやっております。

梶原みずほ: 桑原さん、民間企業のお立場からいかがでしょうか。

桑原洋: 当面は、商社とシステム会社が組んで、日本のコンポーネンツを使いながら納入していく段階が続くでしょう。ただ、行く末にメジャーに勝てるものが出てくるかが一番のポイントです。経産省からは「メジャーに対抗するような組織づくりを」と言われています。

竹村真一: 水ビジネスも、これまでの上下水道という狭い意味だけではなく、もう少し広い意味で水のガバナンスのコンセプトを考えなければいけません。それには3つあると思います。雨水利用も含めた広義の「水の安全保障戦略」を考えていくこと。また日本が得意としている超節水技術をもっと世界の大都市に展開していくこと。それから水害を「減災」し、気候変動に適応していくシステムを国内的に整備するとともに、特に途上国に提供していくという戦略です。

雨水利用は、洪水防止にも、水の確保の意味でも重要ですが、十分利用できていません。人類の水需要は20世紀の100年間で7倍になったと言われますが、空から降る雨は、陸地の分だけでもその30倍ぐらいはあるのです。

高価な淡水化技術を買える国はいいですが、ほとんどの国はそんなお金はありません。地下水や汚れた川の水を利用して砒素中毒やコレラが広がったりしていますが、「天の蛇口」を利用すれば、それもかなり解決できます。東京でも墨田区など先駆的な実証例があるのですから、こういう技術の輸出は日本が貢献できる大きな部分ではないかと思います。

「超節水都市」をデザインする技術も日本にはあります。30年前にすでに、ある会社は、トイレに1回で流れるを水13リットルから5リットル程度にまで減らす技術を開発しました。これから途上国でも人口が増え、みんなが水洗トイレを使うようになったとき、こういう技術で大変な貢献ができると思います。

一方、東京は洪水に脆弱な土地なので、気候変動時代の都市をデザインすべきです。400年前に家康が江戸をつくりましたが、それを可能にしたのは東京湾に流れていた利根川という暴れ川を銚子方面に付け替えるという「治水工事」でした。いまそれと同じぐらいインパクトのある未来への投資を、21世紀の気候変動に伴う洪水リスクと海面上昇を視野に入れて行うべき時だと思います。

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該当講座

朝日新聞GLOBE創刊1周年記念
「水が足りない」 - ビジネス戦略と地球環境 -
前原誠司 (国土交通相)
加藤千洋 (朝日新聞編集委員)
望月晴文 (経済産業事務次官)
桑原洋 (日立製作所特別顧問/海外水循環システム協議会理事長)
竹村真一 (京都造形芸術大学教授 / Earth Literacy Program代表)
梶原みずほ (朝日新聞GLOBE記者)

世界的に不足している「水」について、ビジネスと環境の視点から議論します。


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