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勝間和代はなぜ国際貢献に尽力するのか?

身の回り1.5メートルで感じるグローバル・アジェンダ

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更新日 : 2010年06月10日 (木)

第8章 あなたも私も、誰でもできる国際貢献:勝間和代の提案

勝間和代氏 アカデミーヒルズ

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勝間和代: このようにいろいろ考えていくと、日本にもすべて跳ね返ってきますから、もっと私たち、特に若年層が選挙で投票しなければいけないと思っています。私は20代の投票率が70%ぐらいまで上がらないと、なかなか民意は反映されないのではないかと思います。

国連が掲げたミレニアム開発目標の「貧困」についていえば、今、日本の相対的貧困率は15.7%(編注:2009年10月20日厚生労働省発表「相対的貧困率の公表について」)。2008年にOECD(経済協力開発機構)が発表した格差報告書では、加盟カ国中4番目に高い数字でした。

まず、これを10%未満にすること。それから、一人親世帯の相対的貧困率は54.3%ですから(編注:2009年11月13日厚生労働省発表「子どもがいる現役世帯の世帯員の相対的貧困率の公表について」)、これをOECD諸国の平均値である30%未満にすること。こうして国内において貧困を減らしていくことが望まれます。

「ジェンダーの平等」についていえば、女性に対する差別は日本にもあります。管理職に占める女性の割合は、日本では約10%です(編注:総務省発表「労働力調査」2007年)。国連開発計画が発表した最新データ(「人間開発報告書2009」)によると、日本のジェンダー・エンパワーメント指数は、109カ国中57位です。

「社会が社会的弱者に対して配慮がないことが、社会全体の幸福度を引き下げる」と私は考えています。だから、男女差別と貧困差別はほとんど同じです。

「教育」では、GDPに締める公教育の予算は、OECD諸国中ビリから2番目で、3.3%しか使っていません(OECD「図表でみる教育」2009年)。これを5%以上にすることで、貧困家庭も高等教育が受けられるようにするのが目標です。

NPOやNGOの行動源になる寄付金についていえば、日本における個人の寄付金総額はアメリカの100分の1、個人と法人を合わせても30分の1程度です。寄付金控除が弱いというよりも、日本には寄付の文化がないのです。寄付することで政府のライバルをつくる。すなわち、NPO、NGOが寄付金をもとに行動を起こせば、政府の刺激になり、私たちとしても動かない政府を待たずに済むことになります。

結局、私たちは依存し合っているのです。しかし、身の回りの1.5メートルの範囲のことしかわかりません。だから、自分がどうやったら気づけるか、感度を高くして、今起きていることについて、もっと貪欲に五感で考えてほしいのです。

日本は国としての信用度が高い。外国人の方たちは期待しているのです。ですから日本というブランドを活かして、もっともっと世界で国際貢献すべきです。

その第一歩として、グローバルに考えて身近な行動を変えてみましょう。皆さんができること、何でもいいのです。例えば「Chabo!」の本を買っていただくというのは手前味噌になりますが、その一歩にもなります。

先ほどお話した「ミレニアム・ビレッジ」という活動については、「ミレニアム・プロミス・ジャパン」も立ち上がっていて、個人のボランティアや支援者を募集しています。

(アカデミーヒルズの「グローバル・アジェンダ・ゼミナール」講師の)石倉洋子先生の授業を聞いて、グローバル・アジェンダをもっと身近に感じて、ダボス会議に将来的に出席するということもできます。

あるいは皆さんが企業にお勤めでしたら、どうすればこのような社会貢献、あるいは貧困対策になるような製品・サービスがつくれるのか、ディベロップメントから考えるということもできます。

私たちができることをできる範囲でやっていくと、意外と大きく山が動いてきますので、まずは身近なことからやってみようじゃないかというのが、私の提案です。身の回り1.5メートルの範囲内に“国際貢献”というのを入れてみてください。きょうの参加費も、実費を差し引いたあとの20%が「Chabo!」に寄付いただけるそうなので、大事に使わせていただきます。(終)

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勝間和代 (経済評論家、公認会計士)

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