記事・レポート
勝間和代はなぜ国際貢献に尽力するのか?
身の回り1.5メートルで感じるグローバル・アジェンダ
注目のオピニオン
更新日 : 2010年05月24日
(月)
第6章 なぜお金持ちは犯罪をしないのか:テロとの戦いへの答え

勝間和代: 日本は、日本だけで生きているのではありません。エネルギーや鉱物など、かなりの部分を、私たちはアフリカに依存しています。
今、アフリカ開発で一番頑張っているのは中国です。アフリカのどこに行っても中国人だらけで、せっせと建設物を、ダムを、道路を、空港をつくっています。これを中国は投資として行っているのです。このことによって自分たちの市場を確保しよう、天然資源の輸入先としても親密な関係をつくろう、というわけです。
かつて日本は、これと同じことをアジアでやってきました。戦争責任という面もありましたが、日本がリードをとって技術移転を含めてたくさん投資をして助けました。それがアジア発展の一助になったのではないかと言われています。
結局、世界全体を“自分の体”と考えてみようということなんです。人道的配慮もありますが、私たちが自分の指先が痛かったり、足が痛かったりするときは、やはりそれを治療したいと思うじゃないですか。アフリカは世界の一部なわけですから、自分たちができることはしようじゃないかということです。
世界の約10億人の人たちが飢餓、疫病、地理的な孤立のために、「貧困の罠」から抜け出せないでいます。そのうちの8億人がアフリカに住んでいると言われています。すなわち、アフリカに何らかの支援を差し伸べることによって、この人たちが「貧困の罠」から抜け出せるということは、エネルギーの安定、テロリズムの排除、そして世界全体としての環境問題を考えた場合、決して人ごとではなく、自分たちがやるべきことだと理解していただけたらと思います。
長期的な投資として考えると、今、私たちは需要不足で困っています。日本でいろいろモノが余ってしまっているのです。この先、どこに売るのかを考えたら、アフリカの市場が立ち上がってくれるのが一番なんです。大きなポテンシャルがあるので、適切な対処をすれば、実際にそこが市場になるということです。今、そこにリーチできているのは、アフリカにコミットをして、ちゃんと流通網を調えた企業だけです。
貧困対策は、戦争や紛争、不正をなくすためでもあります。お金持ちが犯罪をしないのは、割に合わないからです。お金がないから犯罪に走ったり、傭兵になったりするわけですから、貧困を解決するということが、すごく大事です。
私たちにとっても、戦争が起きた後、事後になってPKOで軍隊を送るよりは、戦争が起きないように、発展を助けて貧困対策をした方が本当はいいのです。病気と一緒です。病気になった後で、慌てて治療をするからお金がかかるのです。私たちは世界の紛争や平和の脅威に対して、もっと予防医学を行わなければいけないのです。
私たち民間人や政府が国際貢献をするのは、回り回って自分たちのためになるからなのです。
記事をシェアする

ブログに書く
この記事のURLはこちら。
http://www.academyhills.com/note/opinion/10040706GasKatsuma.html
関連リンク
勝間和代はなぜ国際貢献に尽力するのか? インデックス
-
第1章 グローバル・アジェンダは、他人事なんかじゃない
2010年04月07日 (水)
-
第2章 上から目線”は勘違い。国際貢献や寄付は施しではない
2010年04月15日 (木)
-
第3章 国際貢献を長く続けるためには“仕組み”が必要
2010年04月23日 (金)
-
第4章 スーダン支援は、日本の経済成長のカギ
2010年05月06日 (木)
-
第5章 民間支援でできることと課題:「Chabo!」の例
2010年05月14日 (金)
-
第6章 なぜお金持ちは犯罪をしないのか:テロとの戦いへの答え
2010年05月24日 (月)
-
第7章 支援にオーバーコミットしてはいけない
2010年06月01日 (火)
-
第8章 あなたも私も、誰でもできる国際貢献:勝間和代の提案
2010年06月10日 (木)
該当講座
勝間和代 (経済評論家、公認会計士)
勝間 和代(経済評論家、公認会計士)
経済評論家として、またビジネス書のベストセラー著者としてご活躍されている勝間氏。最近の活動として注目されているアフリカやスリランカへの国際支援の取組みについてお伺いします。
勝間氏にとって今一番ホットな国際貢献について直接お話いただく貴重なセミナーとなります。是非この機会をご利用下さい。
グローバル・アジェンダ
政治・経済・国際

注目の記事
-
11月21日 (火) 更新
六本木アートカレッジ
2022-2023年の六本木アートカレッジ <未来を拡張するゲームチェンジャー>」では、新しい価値を生み出す5名のゲストを招き、トークイベン....
<未来を拡張するゲームチェンジャー>イベントレポート
-
11月21日 (火) 更新
動的書房 ~生物学者・福岡伸一の書棚
目利きの読み手でもある生物学者の福岡伸一が、六本木ヒルズライブラリーのために、特別に選んだ“これだけは読んでおきたい本”“ いま読むべき本”....
-
11月21日 (火) 更新
もっとも書物らしい書物—西洋中世写本の魅力に触れる書籍案内
今回は「もっとも書物らしい書物—西洋中世写本の魅力に触れる書籍案内」と題し、手書きから印刷、そしてデジタルへと変遷してきた「書物」の歴史を辿....
現在募集中のイベント
-
開催日 : 12月13日 (水) 19:30~21:00
World Report 第6回 アメリカ発 by 渡邊裕子
いま世界の現場で何が起きているのかを、海外在住の日本人ジャーナリスト、起業家、活動家の視点を通して解説し、そこから何が見えるのかを参加者の皆....
「投開票まであと1年!米国大統領選挙を読み解く」
-
開催日 : 12月06日 (水) 18:30~20:00
シリーズ「編集者の視点〜時代を共に創る〜」
本の背景にあるストーリーから仕事のエッセンスを学ぶ「編集者の視点」シリーズ。第5回ゲストは、日本の翻訳出版界のマーケットシェア60%を占める....
第5回 世界とつながる共通言語を求めて
-
開催日 : 12月08日 (金) 18:30~20:00 読書体験会 第3回 / 09月13日 (水) 18:00~19:30 トークイベント ※終了いたしました / 10月18日 (水) 18:30~20:00 読書体験会 第1回 ※終了いたしました / 11月13日 (月) 18:30~20:00 読書体験会 第2回 ※終了いたしました
『スマホ時代の哲学』読書体験会
スマホ時代の課題を哲学の視点を使って考えていく本書『スマホ時代の哲学〜失われた孤独をめぐる冒険〜』。著者の哲学者・谷川嘉浩さんと、人材・組織....