記事・レポート
勝間和代はなぜ国際貢献に尽力するのか?
身の回り1.5メートルで感じるグローバル・アジェンダ
注目のオピニオン
更新日 : 2010年05月14日
(金)
第5章 民間支援でできることと課題:「Chabo!」の例

勝間和代: なぜ、井戸とトイレを支援したのか。その理由を説明します。スーダンでは、女の人がポリタンクを頭にして、水を抱えて歩いています。近いところで片道5分、遠いところで20分ぐらいかかるところを、1日5、6往復するそうです。
それを食事、洗濯、お風呂に使うのですが、ぜんぶ泥水なんです。それしかないから、それを汲んでくるわけですね。水を手にするために、生活のほとんどの時間が使われてしまうし、それを飲むとかゆみや湿しんが出たり、場合によっては虫に寄生されたりすると言っていました。
コレラやギニア・ウォームという寄生虫が体内に入ると、糞尿に病原菌が混じります。トイレがないと、病原菌がばら撒かれてしまいます。トイレには、病原菌を1カ所に押し込んで散りばめないという大きな役割があるのです。
これらをつくり終えたあと、ずっと監視するわけにはいきませんから、現地の人たちに大事に使っていただくため、地元民にパペットを使った衛生教育をしたりするのが、私たち民間の支援で一番効果が出やすいところです。
地元民たちが定期的にメンテナンスをする技術を身につけるためのトレーニングをしたり、ひと家庭から、1カ月に1ドルや2ドルをコミュニティの長が集めて積み立てて、それをメンテナンスに使うといった仕組みづくりも同時に必要になります。井戸やトイレを管理することをきっかけに、地元の人たちは自治を学んでいくわけです。
「Chabo!」は、これまで緊急支援活動を中心に行ってきました。今後の課題は3つあります。人材育成やファンドの提供のような、長期継続的に人の育成に直接資するような展開ができないか、というのが1つ。
2つ目は、やはりプログラムの参加者に慣れや飽きが生じるということです。私の場合は、幸い自分がこのプログラムの創始者でもありますし、何度も現地に行ってコミットしていますが、ほかの著者の方にとっては、ただ印税の2割が天引きされているというのは、よくよく考えるとすごい状態なんです。ですから、参加している人たちとは、もっと密なコミュニケーションをとっていきたいと思います。
もうひとつ、緊急支援活動や国際貢献の内容について、見本市のようなプロトタイプを日本でも何か立ち上げれば、海外に行かなくてもわかっていただけるのではないか、と考えています。
しかし、始まってまだ1年半のプログラムですから、少しずつ勉強しながら、できることをやっていこうと思っています。
記事をシェアする

ブログに書く
この記事のURLはこちら。
http://www.academyhills.com/note/opinion/10040705GasKatsuma.html
関連リンク
勝間和代はなぜ国際貢献に尽力するのか? インデックス
-
第1章 グローバル・アジェンダは、他人事なんかじゃない
2010年04月07日 (水)
-
第2章 上から目線”は勘違い。国際貢献や寄付は施しではない
2010年04月15日 (木)
-
第3章 国際貢献を長く続けるためには“仕組み”が必要
2010年04月23日 (金)
-
第4章 スーダン支援は、日本の経済成長のカギ
2010年05月06日 (木)
-
第5章 民間支援でできることと課題:「Chabo!」の例
2010年05月14日 (金)
-
第6章 なぜお金持ちは犯罪をしないのか:テロとの戦いへの答え
2010年05月24日 (月)
-
第7章 支援にオーバーコミットしてはいけない
2010年06月01日 (火)
-
第8章 あなたも私も、誰でもできる国際貢献:勝間和代の提案
2010年06月10日 (木)
該当講座
勝間和代 (経済評論家、公認会計士)
勝間 和代(経済評論家、公認会計士)
経済評論家として、またビジネス書のベストセラー著者としてご活躍されている勝間氏。最近の活動として注目されているアフリカやスリランカへの国際支援の取組みについてお伺いします。
勝間氏にとって今一番ホットな国際貢献について直接お話いただく貴重なセミナーとなります。是非この機会をご利用下さい。
グローバル・アジェンダ
政治・経済・国際

注目の記事
-
02月16日 (火) 更新
「アカデミーヒルズ バーチャル背景」公開中!-2月新着画像-
「ライブラリーカフェ」や「書棚」「景色」など、アカデミーヒルズの画像を公開中!リフレッシュや集中に、その日の気分に合わせてご利用ください。今....
-
02月16日 (火) 更新
今こそ読みたい『古くて新しい記事』
2016年はどんな年だったのでしょうか?自分を内省する時間の糧として、今でも新たな発見やヒントが散りばめられている過去の記事を読み直してみま....
-
02月16日 (火) 更新
研究者たちの往復書簡 ~未来像の更新~
テクノロジーと社会との複雑な関係を解きほぐす科学社会学がご専門の日比野愛子さんと、人工知能の開発・研究に従事する三宅陽一郎さんによる「往復書....
科学社会学 × 人工知能
現在募集中のイベント
-
開催日 : 03月31日 (水) 20:00-22:00
科学技術振興機構HITE領域コラボ
フェムテック(FemTech:女性が抱える健康の課題をテクノロジーで解決できる商品やサービス)のベンチャー起業家も議論に参加し、真に「多様性....
「混沌(カオス)を生きる」
-
開催日 : 03月23日 (火) 19:00-20:30
努力の捨て方~がんばらない戦略とは
今、注目が集まる「がんばらない戦略」。それは無理や我慢をするではなく、人生の満足感を「努力」ではなく、「努力を捨てる」ことで得ようとする、前....
-
開催日 : 03月16日 (火) 12:00~12:45 / 03月16日 (火) 19:00~19:45
第8回 リモート雑談(ライブラリーメンバー限定)
メンバー雑談第8回のテーマは「お気に入りの桜スポット」!。今年もにぎやかなお花見は難しそうですが、「リモート雑談」でバーチャルお花見はいかが....