石倉洋子のグローバル・ゼミ

「個の時代」に必要な課題意識と自分らしさ

3章 「自分のユニークさ」を見つけ、変化の時代を生き抜く

             

「個の時代」に必要な「自分らしさ」を考える


谷本:
日本人は特に「個」を伸ばすことに苦手意識があるように思います。石倉先生が「個」を伸ばすためにやってきたこと、意識してきたことを教えてください。

石倉:
常に「自分のユニークさ」を考えることです。やりがいにも関係しますが、自分のユニークな価値は何なのかを常に意識することが大事です。ある時点ではその人しかいないと考えられていても、周囲の状況が変わり、その力を多くの人が持つようになることがあるので、常に「私にしかできないこと」、「私の圧倒的な強み」を考え続けなくてはなりません。ユニークさがない人は、これからの時代、機械に代替されてしまう可能性があります。逆に、ユニークささえあれば、今や世界は広いので、どこかで誰かが見つけてくれるはずです。

ユニークさを見つけるには、まず自分の好きなことからやればいいと思います。「何がやりたいか分からない」という人もいますが、何も行動しなければやりたいことは分かりません。
まずは何か好きそうなことをやってみて、やっぱり好きだと思えば続ければいいし、あまり好きではないと分かったら、自分の人生から外せばいいんです。

あとは「これだけはやりたくない」ということを絶対に避けること。嫌だと思いながら続けるのは時間とエネルギーの無駄ですし、問題です。

日本の若い人は他国に比べて満足している人が多いという話を聞きました。でも、実際は何をしても道が拓けないと思っているから、消極的に満足していると解釈することもできます。
だから心の底から起こってくる「エネルギー」や「感情」はとても大事だと思います。
エネルギーを持っている人の近くにいると、そのエネルギーが伝染していきます。でも、そうでない人の近くにいると、元はあったエネルギーがどんどん失われてしまうので、怒りでも喜びでもいいので、心の深い部分から湧き上がってくるような感情を大事にしたいですね。

谷本:
GASのゲストやメンターは素晴らしい方が揃っています。彼らと知り合い、きちんとしたコミュニケーションが取れるような仲になるためには、どのようなことに気をつけていますか。

石倉:
私はすごいと思う人に出会ったら、メールや手紙を送ります。もちろん、送っても何も反応がないこともありますが、いろんな人に送るので、中には返事をくださる人もいます。
不思議なことに、年齢や国籍、地位などを問わず、すごい人は意外と返事をくださることが多いです。手紙を送ると、すごく多忙な方でもきちんと手紙の返事が来ます。こういうことを実際に経験すると、こういうことを疎かにしないから、すごい人は今の地位があるのではないかと思います。

継続的なお付き合いをするために大事なのは、TAKEだけではなく何か貢献できること、GIVEを心がけることです。例えば、相手が登壇するセミナーの質疑応答で最初に質問するなど、一見些細に見えるような小さな事でも構いません。
自分にできることが絶対に何かあるはず、だから試してみようと考えれば良いと思います。最初から期待成果が見えないと諦めてしまう、ダメでもともとと考えずに、何も試さない人が多いようですが、ダメもとだからこそやってみることが大切です。

谷本:
これからのリーダーに求められる素養やキーワードがあれば教えてください。

石倉:
これからの20年間は、これまでの300年以上の大きな変化が起こると言われているほど、何が起きるのかは誰にもはっきりとは分かりません。その混乱した時代の中で、大きな時代の流れを理解しつつ自分なりの意見を持つこと。自分はどうやって生きていくのか、何をすれば自分の人生は豊かになるのかを常に考えて、それに向かって行動を起こせるか、がポイントだと思います。

それにつけても大切なのは、現状で良いとか、自分には何もできない、と諦めるのではなく、「これで良いのだろうか」、「この状況は続くのか」、「これは事実なのか」など、問題意識を常に持つこと。GASの受講生には、常に疑問を持ち続け、それを何とかしたいと思う人になってほしいと願っています。

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