オピニオン・記事

完全デジタル化がもたらすメディア変革

~これからのテレビメディアはこう変わる:日本テレビの取り組み~

更新日 : 2009年03月06日 (金)

第2章 「アナログテレビの停波」の本当の意味

西川英彦氏

田 村: ポストアナログテレビ時代の未来図を描けるかどうかが、放送業界人に突きつけられている課題ですが、広告業界や各企業の宣伝担当の方も同じだと思います。現状では、「大きな物語」を描き切れていないという印象を、私を含めて感じています。試行錯誤が続いていますが、とくにテレビに関しては時代の変革期だと認識しています。

さて、テレビ放送は主にVHF帯で放送されてきました。VHFが1から12チャンネルまであって、その次にUHF帯があります。なぜVHFやUHFなのかというと、使い勝手のいい周波数だからです。周波数が高い(直進性が強い)と情報伝達容量は大きくなりますが、遠くに届かない。周波数が低いとその逆で、どちらにもメリットとデメリット両方あるのです。そのちょうど中庸なのがVHFやUHFなんだそうです。

今回の地デジ、アナログテレビ停波は、簡単に言うとVHFとUHFの周波数帯の区画整理という意味があります。VHFからUHFにかけて、テレビが大きく使ってきたけれど、2011年以降、何に使われようとしているかをよく見ていかなければいけません。いろいろなチャンスがここに隠されていると思っています。

2011年以降、この域帯にはモバイル向けのサービス拡充、警察や消防といった役所系の通信、移動体向けマルチメディア放送、そして車の衝突を防止する車車間通信システムなどのITS(高度道路交通システム)が割り当てられています。移動体向けマルチメディア放送は、今2つの方式を議論しているところです。1つはMediaFLOで、アメリカのクアルコム社の技術を使った移動体向けのサービス。もう1つの方式はISDB-Tという、日本オリジナルのデジタル放送方式です。

株式会社エニグモ代表取締役 須田将啓氏
マルチメディア放送の特徴の1つは、ダウンロードサービスです。ムービーファイルも「着うた」のような音声ファイルも、ビジネス用のワードやエクセルも送れるわけです。みんなが使えて満足できるダウンロードサービスを見つけることができたらいいなと思います。携帯電話に送って、みんなが喜ぶファイルって何なのか、アイデアがあったらぜひ教えてもらいたいです。
僕も考えていますが、なかなかないですよね。一般化すると、「そんなのウェブで簡単にとれるよ」ということになります。要するに跡地利用ですが、どれだけ上手に使うかをみんなで考えて、いいアイデアを思いつかないと本当にもったいない。

通信キャリアの周波数も、今は3Gとか3.5Gとかいわれていますが、それが3.9G、4Gに進化するそうです。それだけ容量が大きくなることで、どれだけ豊かなサービスができるのか、あるいは提供できるのかを考えなければいけないと思います。

2008年9月、総務省がデジタルテレビ放送に関する移行状況のアンケートをしたのですが、アナログ放送終了の時期は、4分の3の方が正確に知っていました。一方、ちょっと心配なのが、地デジ受信機の保有状況。「北京五輪以降で50%」が目標だったそうですが、46.9%にとどまっていることです(平成20年10月14日総務省発表)。しかもその内訳を見ると、アンテナ等が設置され、地デジを見ることができる世帯は全体の約37%なんです。受信機を保有していない世帯は約50%です。皆さんには、周りの方に買い替えを勧めていただきたいですね。

テレビを買い替えない場合は、簡易チューナーという手もあります。たばこの箱ぐらいの小さなものですが、価格は5,000円とか10,000円とか言われています。本当に5,000円ぐらいで発売されれば、古いテレビのままデジタル放送を見ることが可能となります。


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完全デジタル化がもたらすメディア変革
〜これからのテレビメディアはこう変わる:日本テレビの取り組み 〜
田村和人 (日本テレビ放送網株式会社 編成局デジタルコンテンツセンター長)
神原弥奈子 (株式会社ニューズ・ツー・ユー 代表取締役)

2011年7月の地上波デジタル完全移行まで3年を切り、地上波テレビ放送業界は歴史的な大転換期に向けて、テレビメディアの新しい可能性を具現化させるべく、さまざまな取り組みを加速させています。一方では、インターネット広告の隆盛と対照的に日本におけるマスコミ四媒体の広告費は3年連続で前年を下回り、テレビ広....


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