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日本型ビジネス文化の特徴とグローバルコミュニケーションスキル

世界で活躍するために必須のノウハウを解説:ロッシェル・カップ

BIZセミナーグローバル文化ビジネススキル
更新日 : 2014年07月28日 (月)

第8章 ポジティブ・フィードバック〜相手の望ましい行動を評価する


 
加点主義と減点主義

ロッシェル・カップ: 日本人は言葉で相手を褒めたり、感謝を伝えることを苦手としています。褒めると相手が努力しなくなるという心配や、「努力することは当たり前。あえて褒める必要はない」という考え方などが、理由として挙げられると思います。そのため、非言語的な方法で間接的に感謝や満足を伝えるケースが多く見受けられます。たとえば、優秀な社員に対して、責任のあるポジションを与える、特別な場に出席させることなどを通じて、本人に期待をかけていることを伝えています。

しかし、日本以外の多くの国では、望ましい行動に対して直接感謝したり、褒める文化があります。この差は、加点主義と減点主義の違いから生じていると思われます。たとえば米国の場合は、ポジティブ・フィードバックは「心の報酬」と考えられており、学校教育段階から相手の良い部分を重視します。一方、日本は何事にも完璧を追求する傾向が強いため、どうしても減点主義になりがちです。学校のテストでは間違いをバツ印で強調して示すように、相手の完璧でない点を積極的に指摘する傾向があります。 「褒めることは相手に対する報酬である」と考え、良い仕事をしていると思えば、タイミングを逃さずに直接言葉で伝えてみましょう。

ポジティブ・フィードバックのポイントは、できる限り頻繁に行うこと。個人に対しても、グループに対しても同様です。これは、相手を「おだてる」行為ではありません。相手の長所や成果を指摘することで、モチベーションを高め、さらなる成長を促すための大切なアプローチなのです。
ポジティブ・フィードバックの3ステップ

ロッシェル・カップ: ポジティブ・フィードバックにも3つのステップがあります。

1つ目のステップは、「良い行動を指摘する」です。ネガティブ・フィードバックと同様に、評価したい行動について具体的に指摘することが基本です。たとえば、次のような表現を付け加えると、インパクトが強くなります。

I really appreciate that you〜.    (あなたの〜に対して、本当に感謝しています)
It was very helpful when you〜.   (あなたがあのとき〜してくれて、本当に助かった)
It was very useful when you〜.   (あなたが〜してくれたのが、とても参考になった)
I noticed that you〜.        (あなたが〜したことに、気がついています)


2つ目のステップは、「望ましい行動がもたらした良い結果を具体的に指摘する」です。これにより、相手のなかに自信と達成感が生まれ、今後も同じようにしようというモチベーションも喚起されます。特に「裏方」と呼ばれる仕事を行う人は、自分の仕事がどのような成果に結びついているのかを把握する機会は、少ないと思います。こうした相手に対して行うフィードバックは、相手のモチベーションを飛躍的に高めることにつながります。

3つ目のステップは、「今後どのような行動をとってほしいのかを伝える」です。「次の機会も同じようにしてほしい」「このまま良い調子で続けてほしい」といった確認の形になります。

相手を褒める際、英語では“Great!”“Fantastic!”“Wonderful!”といった大げさな表現を使うことがありますが、日本人にはなかなか口にするのが難しい言葉でしょう。その意味でもポジティブ・フィードバックは、大げさな表現を使わなくても感謝や満足の気持ちを相手に伝えることのできる方法と言えます。また、相手にとっても表面的な賞賛ではなく、素直な気持ちが含まれていると感じられるのです。

なお、今回は上司から部下に向けたフィードバックを中心に解説しましたが、本来は上司や同僚、サプライヤーなど、あらゆる人がフィードバックの対象となります。相手に応じて表現を変えるなどの配慮は必要ですが、基本的には立場の上下に関係なく行われるものなのです。

フィードバックを習慣化する方法は、相手の望ましい行動も望ましくない行動も、日常的に指摘し続けることです。目標として1日1回、たとえ小さなことでもフィードバックを行うようにしてみてください。そうすることで、外国人との円滑なコミュニケーションの基盤をつくることができるようになります。ぜひ3つのステップを意識しながら、皆さんの職場で活かしてください。


該当講座

日本型ビジネス文化の特徴とグローバル・コミュニケーション・スキル
Rochelle Kopp (ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社 社長)

Rochelle Kopp(ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社 社長)
本セミナーでは来日するカップ氏をお招きして、グローバルにビジネスを展開する際に日本型文化が海外でどう見られており、コミュニケーションで気をつける点はどこにあるのか、ワークショップを交えながらお話いただきます。


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