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世界が注目! 舘鼻則孝が描く日本文化の未来

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更新日 : 2014年06月16日 (月)

第4章 レディー・ガガと花魁道中

舘鼻則孝(アーティスト)

 
「ヒールのない靴」ができるまで

舘鼻則孝: 大学4年生になり、卒業制作の時期を迎えました。それまでは伝統的なデザインや技法に則り、友禅染の着物や下駄を制作していましたが、正直なところ、それらはアイデンティティの土台を築くために作っていたものであり、僕が本当に作りたいものではありませんでした。そこで、「最後は自分が本当に作りたいものを作ろう」と決め、ちりめんの生地を使い、友禅染で花柄を染め上げた美しいドレスを制作しました。

僕たちは普段、着物ではなく洋服を着ており、現代の日本人のファッションには、欧米文化の影響が強く反映されています。僕は「日本の伝統的なファッションと、現代の日本人のファッションを掛け合わせたら、こんな感じになる」と提案するつもりで、このドレスを作りました。

その際、一緒に作ったのが「ヒールのない靴」でした。花魁が履いていた高下駄と、現代の女性が履いている靴を掛け合わせたらどうなるかなと思い、作ったものです。ドレスも靴も、伝統的な日本のファッションを現代の感覚で解釈し、さらにアバンギャルドなスタイルを取り入れたものでした。

僕は作品の出来映えに満足し、「何かの賞を獲れるかもしれない」などと考えていましたが、残念ながら大学ではまったく評価されませんでした。友禅染の着物や下駄を評価してくれた先生も「よく分からない」と言いました(笑)。おそらく、評価対象の枠からはみ出し過ぎていたのかもしれません。



世界に打って出る!

舘鼻則孝: しかし、僕は自信作と感じていたこの作品で、世界に打って出ようと決断しました。2010年、卒業と同時にブランドを立ち上げ、靴の写真に短いプロフィールを添え、世界中のファッション関係者にメールを送りました。とにかく、アドレスが分かればどこにでも送ったため、おそらく100通は送信したでしょう。

ブランドを立ち上げたものの、仕事はない。何とかきっかけを得ようと出したメールでしたが、返事はわずか3通。1つは日本在住の米国人ファッション・ジャーナリスト。もう1つは、英国の著名なファッション・ブロガー。そして、レディー・ガガの専属スタイリストからのメールだったのです。

「1週間後に日本の音楽番組に出演するから、靴を作ってくれ」と言われ、初めて彼女のために靴を作りました。1週間で何とか作り上げましたが、実際に使われるかどうかは分かりません。番組の放映当日、母と一緒にテレビの前に座り、その瞬間を待ちました。すると、僕の靴を履いたガガさんが現れ、靴のことまで詳しく紹介してくれました。当時から彼女は若手のアーティストやデザイナーを応援しようという意識が強かったのです。

その後は海外の雑誌にも、僕の靴を履いたガガさんの写真が掲載されるようになりました。これまで彼女のために25足ほど作っています。専属で靴を作ると宣言しているため、他のアーティストからの依頼はすべて断っています。

ガガさんの横に妹が寄り添い、手を引いている写真があります。僕の靴のヒールは数十センチもあり、1人ではうまく歩けないことが多いのです。僕はこれを見て、花魁道中を思い出しました。日本の伝統的な文化から生まれた靴を、現代のファッションリーダーが履き、レッドカーペットを練り歩いた。過去と現在がシンクロした写真を見たとき、僕は大きな喜びを感じました。

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