記事・レポート
みうらじゅんの物集め紀行
それでも、やっぱり、これが好き♡
更新日 : 2013年11月18日
(月)
第5章 人生とは自問自答の繰り返し
高ければ高いほどいい
みうらじゅん: こちらはヌード栓抜き、通称「ヌーセン」です。ヌード栓抜きだと、いらないのです。しかし、「ヌーセン」という自分で考えたネーミングなら、地方で見つけた時に「ヌーセンだ! 集めなきゃ!」という気持ちに追い込んでいけるわけです。
「ヌーセン」にも寝ているシリーズなど、色々あります。しかも、ときには南部鉄でできていることもあるので、意外とします(値が張る)。とりたて「わーっ」となる時は、思いのほかする。意外とするモノを、スーベニール・ゴッドとしてはどうしていくか? そんな時は、値段も見ないで、握ったままレジに運ぶ運動です。レジまで行ってしまったら、もう言い値で買うしかない。そして、3,000円より6,000円のほうが「オレ、やったな!」感が強くなる。何が「やったな!」なのかは分かりませんが。
当然、まわりの人も「それ、6,000円で買うんだ」と、ある種の羨望のまなざしを向けます。「もっと他に買うもんがあるだろう」と言われても、「いやいや、オレはこれが欲しいから」と。勝ったみたいな。何に対して勝ったのかは、まったく分からないですが。だから、高ければ高いほどいい。
ヘンザラを勧める店の親父
みうらじゅん: こちらは変すぎる灰皿、「ヘンザラ」です。ここに立派な錦鯉の灰皿がありますが、奈良県で手に入れました。これを店で見ていて、ふっと気がついたら、店の親父が後ろに立っていて、「いいモノ手に入れましたね」と言うのです。僕はまだ、手で触っているだけの段階なのに、親父としては売りたくてしようがない。「それね、実は灰皿なんですよ」と教えてくれました。「灰皿として使わない時は、床の間に置くといい」とも勧められました。置きたくないなあと思いましたが、とにかくもう、親父は売りたくてしようがない。
「いくらなんですか?」とたずねました。しかし、こうしたモノは大概、値段がない。なぜかと言うと、先々代が仕入れたから。もう当時の値札など無くなっています。だから、値段をたずねると「いや、分からない」となります。
こちらとしても、その辺りは勝負ですから、問答ですよね。「いいモノですよ」「いや、いらない」となる。そのうちに、最初は3,000円だったものが、1,000円ぐらいになる。最初に見た時は大していらないと思っていたのに、それを買って店を出た時には「やったー」となります。そして、家で包みを開けた時に、「やっぱり、いらないな」となります。
人生というのは、自問自答の繰り返しです。何事も完結しないのが、やはり人生のいいところです。
みうらじゅんの物集め紀行 インデックス
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第1章 欲しいモノは見た瞬間にゲット!!
2013年11月11日 (月)
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第2章 「スーベニール・ゴッド」のルール
2013年11月12日 (火)
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第3章 誰にとっても嬉しくない「いやげ物」
2013年11月14日 (木)
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第4章 レジに運ぶ、葛藤を乗り越えて
2013年11月15日 (金)
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第5章 人生とは自問自答の繰り返し
2013年11月18日 (月)
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第6章 ゴムヘビハンターの戦い
2013年11月19日 (火)
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第7章 深遠なる「カスハガ」の世界
2013年11月21日 (木)
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第8章 何の得にもならないことが、少しは人の役に立つ
2013年11月22日 (金)
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