記事・レポート
「日本発、世界」を視野に動き出したNHN Japanの経営戦略
~森川亮氏に聞く、スマホ&ソーシャル時代を勝ち抜く経営~
BIZセミナーオンラインビジネス
更新日 : 2012年11月30日
(金)
第4章 インターネットの本質はメール

写真左:神原弥奈子(株式会社ニューズ・ツー・ユー 代表取締役社長)写真右:森川亮(NHN Japan 株式会社 代表取締役社長)
神原弥奈子: 森川さんはインターネットの黎明期にデジタルの世界に入り、ブロードバンドの黎明期には、ブロードバンドの会社にいらっしゃいましたよね。いまでこそYouTubeなどで普通に動画をインターネットで見られるようになりましたが、当時は「クオリティ的にネット動画は難しい」という状況だったと思います。ブロードバンド会社に転職した動機や、取り組む中で感じた困難やチャレンジなどを教えていただけますか。
森川亮: ブロードバンドになると、必要不可欠ではないこと、ネットサーフィンのような余暇的ことに時間を使うようになりますよね。だからこれからは、リッチなものや、ゲーム、会話などのコンテンツに時間を使うようになるだろうと思いました。僕はテレビ局出身でしたから、最初は映像にチャレンジしようと思ったのですが、映像の課題は、人と一緒に楽しめないことでした。ゲームは人と一緒に楽しめますが、映像は基本的に一人で楽しむものなので、壁にぶつかりました。
神原弥奈子: その頃、インターネットユーザーの「知的欲求を満たす」ものとしてグーグル検索の便利さが登場し、次にソーシャルメディアの波が来たわけですが、森川さんはブロードバンドの黎明期に、既に「人とコミュニケーションをとるインターネット」というものに意識が向いていらしたのですね。
森川亮: コミュニケーションに関わるネットビジネスを立ち上げない限り生き残れないと感じました。僕は、インターネットの本質ってメールだと思うんです。
神原弥奈子: メールですか?
森川亮: メールって一番利用頻度が高いじゃないですか。だからメールを超えるコミュニケーションがつくれたら、それが最強だと思いました。
神原弥奈子: その辺のお話は、ダイレクトに「LINE」に結びつきそうですね。「ハンゲームジャパン(現NHN Japan)」に転職したのは、やはりゲームをコミュニケーションツールとして使うことに可能性を感じたからですか?
森川亮: そうですね。コミュニケーションのきっかけは何がいいのか、ずっと考えていたんです。映像は集中して楽しむものだから、映像をきっかけとしたコミュニケーションは難しい。その点ゲームはコミュニケーションのきっかけとして非常に価値がある。「ハンゲーム」はソーシャルゲームのはしりを10年ぐらい前に具現化していたので、これはいけると思って転職しました。
神原弥奈子: その後、Yahoo! BBの登場をきっかけにブロードバンドがインフラとして整備され、ゲームはビジネスとしての可能性が大きくなったと思います。森川さんが実績を残していくきっかけになったエピソードのようなものがあれば、教えていただきたいのですが。
森川亮: まず「コミュニケーションとゲームがどういう価値をつくれるか」ということを考えましした。例えば、どんな人とコミュニケーションをとりたいかというと、当然、知り合いととりたいわけです。でも、知り合いと勝ち負けが明確になるゲームをやると、終わった後で知り合いが知り合いでなくなる場合があるんです。例えば、温泉の卓球。温泉旅行に行って、卓球でスマッシュを打たれると、人間関係が悪くなるじゃないですか(笑)。
これはネット上でも同じです。例えば、オセロや将棋は賢い人が勝つようにできているので、終わった後、だいたい人間関係が悪くなります。誰だって自分が「賢くない」とは思われたくないですからね。コミュニケーションに向くゲームというのは、勝ったときは「俺ってすごい」と思えても、負けたときは「運が悪かった」と思えるゲームなんです。だから「みんながハッピーになれるコミュニケーションの場」をゲームで具現化していきました。
神原弥奈子: なるほど。人間関係に響かないことを重視して、ゲームをつくっていかれたのですね。
森川亮: ブロードバンドになると、必要不可欠ではないこと、ネットサーフィンのような余暇的ことに時間を使うようになりますよね。だからこれからは、リッチなものや、ゲーム、会話などのコンテンツに時間を使うようになるだろうと思いました。僕はテレビ局出身でしたから、最初は映像にチャレンジしようと思ったのですが、映像の課題は、人と一緒に楽しめないことでした。ゲームは人と一緒に楽しめますが、映像は基本的に一人で楽しむものなので、壁にぶつかりました。
神原弥奈子: その頃、インターネットユーザーの「知的欲求を満たす」ものとしてグーグル検索の便利さが登場し、次にソーシャルメディアの波が来たわけですが、森川さんはブロードバンドの黎明期に、既に「人とコミュニケーションをとるインターネット」というものに意識が向いていらしたのですね。
森川亮: コミュニケーションに関わるネットビジネスを立ち上げない限り生き残れないと感じました。僕は、インターネットの本質ってメールだと思うんです。
神原弥奈子: メールですか?
森川亮: メールって一番利用頻度が高いじゃないですか。だからメールを超えるコミュニケーションがつくれたら、それが最強だと思いました。
神原弥奈子: その辺のお話は、ダイレクトに「LINE」に結びつきそうですね。「ハンゲームジャパン(現NHN Japan)」に転職したのは、やはりゲームをコミュニケーションツールとして使うことに可能性を感じたからですか?
森川亮: そうですね。コミュニケーションのきっかけは何がいいのか、ずっと考えていたんです。映像は集中して楽しむものだから、映像をきっかけとしたコミュニケーションは難しい。その点ゲームはコミュニケーションのきっかけとして非常に価値がある。「ハンゲーム」はソーシャルゲームのはしりを10年ぐらい前に具現化していたので、これはいけると思って転職しました。
神原弥奈子: その後、Yahoo! BBの登場をきっかけにブロードバンドがインフラとして整備され、ゲームはビジネスとしての可能性が大きくなったと思います。森川さんが実績を残していくきっかけになったエピソードのようなものがあれば、教えていただきたいのですが。
森川亮: まず「コミュニケーションとゲームがどういう価値をつくれるか」ということを考えましした。例えば、どんな人とコミュニケーションをとりたいかというと、当然、知り合いととりたいわけです。でも、知り合いと勝ち負けが明確になるゲームをやると、終わった後で知り合いが知り合いでなくなる場合があるんです。例えば、温泉の卓球。温泉旅行に行って、卓球でスマッシュを打たれると、人間関係が悪くなるじゃないですか(笑)。
これはネット上でも同じです。例えば、オセロや将棋は賢い人が勝つようにできているので、終わった後、だいたい人間関係が悪くなります。誰だって自分が「賢くない」とは思われたくないですからね。コミュニケーションに向くゲームというのは、勝ったときは「俺ってすごい」と思えても、負けたときは「運が悪かった」と思えるゲームなんです。だから「みんながハッピーになれるコミュニケーションの場」をゲームで具現化していきました。
神原弥奈子: なるほど。人間関係に響かないことを重視して、ゲームをつくっていかれたのですね。
「日本発、世界」を視野に動き出したNHN Japanの経営戦略 インデックス
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第1章 FacebookやTwitterを凌ぐ勢いの「LINE」を生んだNHN Japan
2012年11月26日 (月)
-
第2章 ウェブサービスとオンラインゲームの開発から運営まで手掛ける
2012年11月27日 (火)
-
第3章 ポータルサイトは、なくなる
2012年11月29日 (木)
-
第4章 インターネットの本質はメール
2012年11月30日 (金)
-
第5章 ユーザーに長く愛されるゲームのポイントは、お金と努力
2012年12月03日 (月)
-
第6章 激変するIT業界で生き残るには「いい加減さ」が必要
2012年12月04日 (火)
-
第7章 「LINE」の命はリアルな電話帳~SNSは人間関係~
2012年12月06日 (木)
-
第8章 携帯電話に学ぶ普及ポイント~付加価値より基本の価値~
2012年12月07日 (金)
該当講座
「日本発、世界」を視野にいよいよ動き出したNHN Japan トップ森川亮氏に聞く経営戦略
~スマホ&ソーシャル時代を勝ち抜く経営とは~
森川亮 (NHN Japan 株式会社 代表取締役社長)
「ハンゲーム」、「NAVERまとめ」など次々にヒットを生み出すNHN Japan。代表の森川氏にソーシャル、そしてスマートフォン時代に経営者として、今後どのように舵をきっていくのか、その戦略に迫ります。サービスのマネタイズ化、競争の激しいネット業界での人材の確保、海外企業との提携など今後のグローバル展開や、ソーシャルゲーム業界の課題を含めた、国内外ネット業界全体の“いま”についてもお話頂きます。
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