記事・レポート
「キュレーター」がメディアとビジネスとイノベーションを変える
田中洋×津田大介×勝見明に学ぶ、キュレーション術
BIZセミナーマーケティング・PR教養
更新日 : 2012年05月25日
(金)
第4章 ソーシャルメディアには、無謬性にこだわらず情報を流します
津田大介: シカゴのデポール大学でTwitterジャーナリズムを教えているクレイグ・カナリーは「Twitterは情報発信のサイクルをリアルタイムにまで短縮した。これは一過性のブームではない。リアルタイムで情報を流して報道するという新たなジャーナリズムの手法が生まれたんだ」と指摘しました。
さらに「今後、プロのジャーナリストには新たな役割が求められる。ソーシャルメディアに登場する不確かな情報の信憑性を判断しなければならない」と言いました。つまり、ジャーナリストに対してキュレーター的な役割が新たに求められるようになると言ったのです。
では、ソーシャルメディアの役割とは何でしょうか? ウィキリークスをつくったジュリアン・アサンジは「ソーシャルメディアは、プロがつくったニュースに対して多様な視点を提供するものであり、拡声器であり、情報源である」と言いました。本来だったら埋もれてしまうようなニュースでも、公益性を考えればもっと知られていい情報が世の中にはたくさんある。それはソーシャルメディアを使えば一気に広めることができる。マスメディアとソーシャルメディアは、そういうふうに使い分けられていくのではないか、と言ったのです。
マスメディアの破壊者と思われているジュリアン・アサンジですが、彼もクレイグ・カナリーと同様に「不確かな情報の検証は、プロがやるべきことだ」と言っています。アサンジは2006年にウィキリークスをつくったのですが、最初の3年間ぐらいは上手くいかなかったんです。ネット上にリーク情報を掲載すれば、一般市民が検証してくれると期待していたのですが、誰もやってくれなかったんですね。それで検証はプロでなければできないと気がついて、大手新聞社に情報を流して記事にしてもらうようにしたのです。
つまり、ウィキリークスは最初の情報を拾ってきて提供するところまでを担当し、そこから先のキュレーションは大手のプロのマスメディアに任せるという棲み分けをしたわけです。これはおもしろい事例だと思います。
原発事故で明らかになったように、マスメディアは無謬性が大事なので、100%か100%に限りなく近い確度の情報しか流しません。だから情報の信頼度はマスメディアのほうが明らかに高いんです。でも、これだと実際に行動する側、避難区域の境界や、ちょっと外れた区域にいる人は、自分たちの情報がないから困ります。情報の偏りがあるのです。
だから僕はTwitterやソーシャルメディアに、8~9割の確度があると自分で判断した情報を流しています。みんなにパッと気づいてもらえて、スパッと消える、フローな情報を流して、みんなに判断してもらう。これが自分にとってのキュレーションです。
このとき、デマを恐れるのは大事ですが、「情報を振り返る」ことはもっと大事です。例えば、Twitterで流した情報を後で検索して調べてみると、誰かが検証してくれていて、本当に正しかったかどうかわかります。情報の流れが速く大量になっている今、「最低限のネタ元に当たること」、そして「流した後に振り返ること」で情報リテラシーを鍛えていくことは、これからのキュレーションやメディアを考えるうえで重要なことだと思います。
さらに「今後、プロのジャーナリストには新たな役割が求められる。ソーシャルメディアに登場する不確かな情報の信憑性を判断しなければならない」と言いました。つまり、ジャーナリストに対してキュレーター的な役割が新たに求められるようになると言ったのです。
では、ソーシャルメディアの役割とは何でしょうか? ウィキリークスをつくったジュリアン・アサンジは「ソーシャルメディアは、プロがつくったニュースに対して多様な視点を提供するものであり、拡声器であり、情報源である」と言いました。本来だったら埋もれてしまうようなニュースでも、公益性を考えればもっと知られていい情報が世の中にはたくさんある。それはソーシャルメディアを使えば一気に広めることができる。マスメディアとソーシャルメディアは、そういうふうに使い分けられていくのではないか、と言ったのです。
マスメディアの破壊者と思われているジュリアン・アサンジですが、彼もクレイグ・カナリーと同様に「不確かな情報の検証は、プロがやるべきことだ」と言っています。アサンジは2006年にウィキリークスをつくったのですが、最初の3年間ぐらいは上手くいかなかったんです。ネット上にリーク情報を掲載すれば、一般市民が検証してくれると期待していたのですが、誰もやってくれなかったんですね。それで検証はプロでなければできないと気がついて、大手新聞社に情報を流して記事にしてもらうようにしたのです。
つまり、ウィキリークスは最初の情報を拾ってきて提供するところまでを担当し、そこから先のキュレーションは大手のプロのマスメディアに任せるという棲み分けをしたわけです。これはおもしろい事例だと思います。
原発事故で明らかになったように、マスメディアは無謬性が大事なので、100%か100%に限りなく近い確度の情報しか流しません。だから情報の信頼度はマスメディアのほうが明らかに高いんです。でも、これだと実際に行動する側、避難区域の境界や、ちょっと外れた区域にいる人は、自分たちの情報がないから困ります。情報の偏りがあるのです。
だから僕はTwitterやソーシャルメディアに、8~9割の確度があると自分で判断した情報を流しています。みんなにパッと気づいてもらえて、スパッと消える、フローな情報を流して、みんなに判断してもらう。これが自分にとってのキュレーションです。
このとき、デマを恐れるのは大事ですが、「情報を振り返る」ことはもっと大事です。例えば、Twitterで流した情報を後で検索して調べてみると、誰かが検証してくれていて、本当に正しかったかどうかわかります。情報の流れが速く大量になっている今、「最低限のネタ元に当たること」、そして「流した後に振り返ること」で情報リテラシーを鍛えていくことは、これからのキュレーションやメディアを考えるうえで重要なことだと思います。
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該当講座
「キュレーター」がメディア、マーケティング、イノベーションの未来を変える
~みんなで語ろう、キュレーション・ナイト!~
田中 洋(中央大学ビジネススクール教授)
勝見 明(ジャーナリスト)
津田 大介(ジャーナリスト/メディア・アクティビスト)
コンテンツ不足の時代からコンテンツ過剰の時代にシフトしている世界で、情報の海のなかから収集し、選別し、編集し、「意味」を与える「キュレーター」が注目されています。本講座では、新しい概念である「キュレーション」について考察します。
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