記事・レポート

「キュレーター」がメディアとビジネスとイノベーションを変える

田中洋×津田大介×勝見明に学ぶ、キュレーション術

BIZセミナーマーケティング・PR教養
更新日 : 2012年05月22日 (火)

第2章 キュレーションをマーケティングに応用する方法


田中洋氏

田中洋: 次に、キュレーションをマーケティングに応用するにはどうすればいいのかについてお話しします。『キュレーション』には「これであなたもキュレーター」という章があって、著者はキュレーションサイトをつくるには次の3つをやればいいと書いています。

・パブリッシング(どのようなプラットフォームでつくるか)
・広告(収入をどうするか)
・コンテンツ・シンジケーション(どのように広めるか)

これを私なりの言い方で説明すると、皆さんがキュレーターになろうと思ったら、まずは「何について収集するか?」という問題が出てきますよね。レシピや食べ物やお金といったモノの場合もあれば、ビジネスや社会やスポーツなどの情報の場合もあるでしょう。次に、収集したものをどんなスタイルでやるかですが、これも3つのやり方があります。

・巨大メディアを使う
・キュレーション+クリエイションにする
(集めた情報に、自分で何かニュースを足し込む)
・キュレーションだけにする

著者は「キュレーション+クリイションでやるのが一番いい。Vulture(ヴァルチャー)というサイトが参考になる」と言っていますので、もしよければチェックしてみてください。

問題は、お金をどうするかですが、今は広告サイトとして収入を得ているものがほとんどです。もちろん一部には課金で成り立っているサイトもあります。例えば読売新聞の発言小町は、iPhoneアプリ上では課金システムになっています。ほかには寄付に頼るとか、儲けを考えずに自社メディアの中でキュレーションをこなす方法もあります。

既存のビジネス界を見てみると、旧来の流通業はキュレーターと呼ぶのにふさわしいのではないかと思います。ただし、セブン-イレブン、成城石井、ホールフーズ・マーケット、トレーダー・ジョーズなどの優秀な流通業に限ります。彼らの商品というのは、まさに情報の「収集、選別、編集、共有」を行ってきたものだからです。

例えばトレーダー・ジョーズというアメリカの食料品スーパーは、店舗はさほど大きくありませんが、The 2009 Breakaway Brandsというブランドランキング(※過去3年間でブランド力の伸び率が高かった企業のランキング)で、アップルなどと並んで第10位に入った成長著しいブランドです。

何を売っているのかというと、主に輸入品をキュレーションして売っています。例えば、フムスというペースト状の中東の料理があるのですが、これをアメリカに持って行って、ポテトチップにつけるようなディップとして売っています。こういう珍しい食品をアメリカの食文化に合わせて低価格で提供することに成功しているのです。

こうして見ると、キュレーションというのは別に新しい考え方ではなく、流通業に見られるように、昔からあった考え方です。しかし今、インターネット時代になり、コンテンツがあふれる世の中で、コンテンツと消費を結ぶために非常に重要な役割を果たすものとして注目されるようになってきたのではないかと思います。ですから、これからキュレーションを方法論化して、いろいろな分野に応用の効く技術にできたら、おもしろいことになると考えています。

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関連書籍

キュレーション 収集し、選別し、編集し、共有する技術

スティーブン・ローゼンバウム【著】田中洋【監訳・解説】野田牧人【訳】
プレジデント社


該当講座

「キュレーター」がメディア、マーケティング、イノベーションの未来を変える
田中洋 (中央大学大学院ビジネススクール 教授 )
勝見明 (ジャーナリスト)
津田大介 (ジャーナリスト/メディア・アクティビスト)

田中 洋(中央大学ビジネススクール教授)
勝見 明(ジャーナリスト)
津田 大介(ジャーナリスト/メディア・アクティビスト)
コンテンツ不足の時代からコンテンツ過剰の時代にシフトしている世界で、情報の海のなかから収集し、選別し、編集し、「意味」を与える「キュレーター」が注目されています。本講座では、新しい概念である「キュレーション」について考察します。


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