記事・レポート

ロボットクリエイター高橋智隆氏が描くサイエンスの可能性

夢のゴールは掃除ロボットや介護ロボット……じゃない!?

更新日 : 2010年08月26日 (木)

第4章 「ロボカップ」でロボットづくりの技術を磨いた

高橋智隆氏

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高橋智隆: 2004年から「ロボカップ」という世界で一番大きなロボットの競技会に出ています。約40カ国から約200チームが参加してサッカーをするのですが、なぜサッカーなのかというと、サッカーには「運動能力、物を認識する能力、チームプレーをするためのコミュニケーション力や通信能力」などが必要だからです。これらはロボットが実用化されたときに必要な技術だろうということで、サッカーで競い合いながらロボットの性能を上げていこうというわけです。

サッカーをする「VisiON(ヴィジオン)」というロボットは賢くて、自分で考えて動ける自律型のロボットです。誰かが操縦するわけではなく、自分でボールを見つけて蹴りにいきます。頭の部分が360度見えるカメラになっていて、周囲の画像を一遍に見て、それをもとに画像認識をして動きます。

「ロボカップ」で優勝すると、ルイ・ヴィトン・ヒューマノイドカップという、バカラクリスタルのトロフィーがもらえます。数千万円はする、非常に高価なものです。2004年のポルトガル大会から、5年連続で優勝しています。このトロフィーを5つ持っていると嬉しいんですけど、残念ながら毎回返さないといけないんです(笑)。

もう1台、「FT(エフティ)」という女性型のロボットを紹介します。2006年につくったものですが、当時は女性型の二足歩行ロボットがなかったんです。なぜないかというと、細くするのが難しいんです。「FT」は自由度23ですから、23個のモーターがボディに入っています。もちろんバッテリーとコンピュータとたくさんの配線も、細い体の中に全部入ってます。それが難しいんです。しかもほっそりした体系だと、バランスをとるのも難しくなります。

女性らしいロボットというと、それまではつくっている人間が男ばっかりだったので、「ロングへアーにしよう」とか、「スカートをはかせよう」とか、「胸部からミサイルが飛び出す」とか(笑)そういう発想になりがちでした。

そうではなく、もっと本質的なところで女性らしさを表現できないかと考えて、「FT」は脚の関節を微妙にX脚にしました。それから膝や肘が若干逆方向に、反り返るように曲がるようにしました。男性は膝や肘が真っ直ぐ以上には曲がらないのですが、女性は関節が柔らかくて若干反対方向にも曲がるんです。動きも女性らしくしたいと思い、ファッションモデルの方からアドバイスをもらい、モデル・ウォークのプログラムをつくりました。

それまではロボットをつくると、ロボットの専門誌や科学系の雑誌が取り上げてくれることが多かったのですが、「FT」は『VOGUE(ヴォーグ)』でグッチのドレスと一緒に紹介してもらったり、篠山紀信さんに雑誌のグラビアとして撮っていただいたりしました。それから2007年のミス・ユニバースの森理世さんとニューヨークのイベントで一緒になったり、ユニクロのCMで知花くららさんと共演させていただいたりもしました。

それまでロボットをあまり見たことがない人の目に触れる機会をつくれたことは、とても大きかったと思います。それと、ロボットをつくって、世界1、2を競う美女とお近づきになれるとは思っていなかったので、個人的にも大成功なプロジェクトでした(笑)。

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高橋智隆 (ロボットクリエイター/(株)ロボ・ガレージ代表取締役)

高橋智隆(ロボットクリエイター)
単3電池2本でアメリカのグランドキャニオンを登り、過酷なル・マン24時間レースに挑戦した「エボルタ」の開発者である高橋智隆氏に、ロボット製作までの経緯や、今後のサイエンスの可能性についてお話いただきます。


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