セミナー・イベント

日本の未来のために
シリーズ横浜の現場から 第3回:取り残された子どもたち

~子ども手当てでは解決できない!「児童の故郷」を求めて~

BIZセミナー 政治・経済・国際 教養

日時

2009年11月26日 (木)  19:00~21:00
終了しています

内容

将来への不安が募る社会で、日本の縮図である横浜での取組みをケースにこれから必要とされる新たなセーフティネットの形を4回のセミナーで模索する「シリーズ横浜の現場から」。

第3回のセミナーでは児童養護問題にクローズアップします。
これまでの自民党・公明党連立政権下でも児童手当の増額が繰り返され、民主党政権でも子ども手当ての大幅増額をマニフェストでうたって選挙で大勝しました。
これにより、少子化対策の一環として国レベルで子どもがいる家庭にお金が配られることが議論されています。

ところが、児童養護施設の子どもたちはどうでしょうか。
虐待を受けている児童や、親が育児放棄をして乳児院や児童養護施設で育つ子どもたちは選挙権が無く、代わりに声を上げてくれる親もいません。その結果、彼らへの対応は後回しになっているのです。

1990年代のバブル崩壊以降、家庭の経済環境の不安定化が進んだことで、児童虐待の件数は増えています。厚生労働省によると、全国における児童相談所に持ち込まれた児童虐待相談件数は2003年度に26,569件でしたが、2008年度は42,664件へと急増しました。

児童の一時保護所も養護施設も満杯という状況を受けて、横浜市では2009年に約50年振りに2つの児童養護施設が開設され、これで市内の養護施設は9箇所となりました。

今回のセミナーでは、新設された施設の1つである「杜の郷」の施設長である師康晴氏をお招きして、児童養護施設の現状とこれからの子どもたちに必要な福祉のあり方について議論します。

「杜の郷」の特長は、これまでの児童養護施設の常識を覆すものを目指しているところにあります。
これまでの施設は大舎制といい、大型施設に何十人ものこどもを入れるのが普通でした。
しかし「杜の郷」では小舎制といい、独立した5つの家に6人ずつの子どもが3人の住み込み職員と一緒に生活するという制度を採っています。小さな単位で子どもたちに安定した基盤を提供し、大人との愛着関係を作ろうという仕組みです。

親に虐待されて養護施設に来る子どもたち。傷つきながらも、親とまた一緒に暮らせる日を夢見る子どもたちに責任はありません。
経済・家庭環境が変化していく中で、精神的に孤立して追い詰められていった親たちだけではなく、そうした親たちを気にかけることができなくなった社会のあり方も問われていると師氏は考えます。
そんな子どもたちが将来一人の社会人として巣立っていくためにはどのような社会的枠組みが必要なのでしょうか。

師氏と元横浜副市長の前田正子氏が、今後の児童福祉のあり方について考察します。


※当日は前田正子氏の書籍『福祉がいまできること』の販売を行います。是非ご利用下さい。

参考図書

福祉がいまできること—横浜市副市長の経験から

前田正子
岩波書店

受講をお勧めしたい方

・社会起業に興味のある方
・今後のセーフティネットのあり方について考えたい方
・行政(前田氏)と現場(師氏)の視点両方から児童養護問題について知りたい方

講師紹介

講師
前田正子 (まえだ・まさこ)
財団法人横浜市国際交流協会 理事長

早稲田大学卒業後松下政経塾入塾。
卒塾後、政経塾職員、92年退職。
1992年から1994年米国ノースウエスタン大学ケロッグ経営大学院に生後半年の長男を連れて家族で留学。経営学修士。
第一生命経済研究所ライフデザイン研究本部において少子化対策・育児支援策の研究を携わり、慶応大学商学部にて商学博士号取得。
2003年に第2子の育児休業明けに横浜市の副市長に就任し、教育・医療・福祉を担当。妊娠期から34歳の後期青年期まですべてのライフステージにおいてトータルに子どもを支援する「こども青少年局」を立ち上げ、4年間の任期中に保育園を116箇所新設するだけでなく、専業主婦の子育てを支援する基盤作りや横浜市のニート・フリーター対策にも着手する。
2007年に横浜市副市長を任期満了にて退任。現在は、財団法人横浜市国際交流協会 理事長として在住外国人の生活支援やニューカマーの子供達の学習支援に携わっている。

著書:
「少子化時代の保育園」 岩波書店 1999年
「保育園は、いま」 岩波書店 1997年
「子育ては、いま」 岩波書店 2003年
「子育てしやすい社会」 ミネルヴァ書房 2004年
「福祉がいまできることー横浜市副市長の経験から」岩波書店 2008年

(2009年12月17日現在)

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ゲスト講師
師康晴 (もろ・やすはる)
児童養護施設「杜の郷」施設長/社会福祉法人杜の会理事長

1942年9月生まれ。
1966年日本社会事業大学社会福祉学部社会事業学科卒業。
同年、群馬県小中学校教員。
1970年、社会福祉法人美深育成園(養護施設・北海道)副施設長。1979年、北海道立日吉学院(教護院)教護。
1980年、横浜市立向陽学園(教護院)教護。1988年、横浜市戸塚福祉授産所所長。1990年、社会福祉法人開く会・共働舎(知的障碍者授産施設)施設長。1996年、日本社会事業大学木田(実践)賞受賞。1998年、社会福祉法人杜の会、SELP・杜(知的障碍者授産施設)施設長、ならびに同法人常務理事を経て、現在、理事長。
2009年4月、児童養護施設「杜の郷」施設長に就任。
現在、「杜の会」理事長と「杜の郷」施設長を務めながら、横浜市保護司も務める。
その他の公職としては、横浜市人権擁護委員、横浜市社会福祉審議会委員などを歴任。

杜の会は、先進的な障がい者福祉を実践しているとして有名であり、障害者のグループホームやその自立を支えるガイドペルパー事業などを展開している。特に障害者の授産施設SELP杜は、パン屋・うどん屋、豆腐・麺製造、園芸販売、陶芸など障害者のそれぞれの能力を活かした生産により、授産施設としては画期的な売り上げを誇っている。丁寧に作られた豆腐や麺、弁当はおいしく、地元の名物となっている。
福祉の理想の実現を支える高い経営能力と人々のニーズに応えたいという意欲から、保育園、高齢者のグループホーム、高齢者の生活を支えるヘルパー事業、高齢者福祉の拠点であるケアプラザ、小規模多機事業所の運営など、その事業を広げてきた。そして、2009年5月より、50年ぶりに新設された横浜市の児童養護施設「杜の郷」を運営する。


著書に「出会えてよかった-絶対の差別の解消をめざして-」(言叢社)がある。
  社会福祉法人「杜の会」ホームページ

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講座趣旨

本セミナーシリーズでは、中田宏・前横浜市長に請われて2003年から2007年まで副市長として市の福祉・医療・教育を担当され、現在は(財)横浜市国際交流協会理事長として急増する外国人の生活支援に取り組まれている前田正子氏を講師としてお招きし、いま日本に求められている新しいセーフティネットとは何かを「若者の雇用」、「高齢者の孤独」、「児童養護」、「在住外国人:ニューカマー」の4つのテーマを軸に考察します。

全国で最大の人口を抱える自治体である横浜市は、日本の縮図でもあります。横浜が抱える問題は、日本が抱える問題でもあるのです。各テーマの解決のために横浜の現場で取り組んでいるゲスト講師を各回ごとにお迎えし、前田氏の横浜市政と現職の経験を交えながら議論を展開していきます。

【シリーズ開催スケジュール】
第1回:若者の雇用(9月30日開催済)
第2回:高齢者の孤独死(10月28日開催済)
第3回:児童養護(本セミナー)
第4回:在住外国人労働者(12月17日開催予定)


開催実績

前田正子 (財団法人横浜市国際交流協会 理事長)
大津和夫 (読売新聞東京本社 社会保障部記者)
開催日 :  2009/12/17 (木)

前田正子 (財団法人横浜市国際交流協会 理事長)
山中修 (NPO法人「さなぎ達」理事長 / ポーラのクリニック院長)
開催日 :  2009/10/28 (水)

前田正子 (財団法人横浜市国際交流協会 理事長)
岩本真実 (株式会社K2インターナショナル Y-MAC統括責任者)
開催日 :  2009/09/30 (水)

募集要項

日時 2009年11月26日 (木)  19:00~21:00
受講料 3,000円
定員 90名

※定員になり次第締め切らせていただきます

主催
  • アカデミーヒルズ
会場 アカデミーヒルズ49(東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー49階)

※都合により40階に変更する場合、受講生には直接ご案内いたします。

お支払い方法

クレジットカードによるお支払いのみです。
※お申込み後のキャンセル及び返金は承っておりません。
※クレジットカードはVISA、MASTER、JCB、AMERICAN EXPRESS、DINERSのみのお取扱となります。
※お支払方法は「一回払い」のみとなります。(「リボルビング払い」「分割払い」等はご利用いただけません)

【その他】
※領収証をご希望の方は、「申込画面」内の<請求書・領収証発行>欄でラジオボタンの「WEB上で発行する」をお選び下さい。
「WEB上で発行する」をお選びいただきますと申込完了後に、領収証のダウンロード画面が表示されます。ダウンロード画面を一旦閉じると再度ダウンロード画面に戻ることが出来ませんのでご注意ください。

関連情報

福祉がいまできること ~横浜副市長の経験から~ 講師:前田正子
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