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「世界のアンドー」の発想力と実行力はどこから生まれたのか

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更新日 : 2008年02月15日 (金)

第5章 世界一の建築技術と土木技術に支えられて

米倉誠一郎_安藤忠雄

安藤の独創的な設計を支えているのは、日本の優れた建築技術である。日本の建築技術は世界最高と安藤は讃える。世界で仕事をしてから、ますますその想いを深めているという。

同潤会青山アパートの再開発(現・表参道ヒルズ)では、建物の高さをケヤキ並木以下に抑え、地下を30メートル掘り下げた。これは、日本の土木技術や建築技術がいかに優れているかを示すものだ。技術力だけでなく、「現場監督のスケジュール管理や工事監理は神業としか思えない」と安藤はいう。

ちなみに、建物のアトリウムを囲む通路を表参道の坂道と同じ傾斜のスロープにするアイディアは、森稔・森ビル社長の発案だったそうである。安藤は当初反対だったが、模型をつくってみて納得し取り入れた。内部の床に石を敷き込み、建物のなかに街がもうひとつ出来たかのような雰囲気を醸し出している。

東京ミッドタウンでは、三宅一生の「21_21 DESIGN SIGHT」の設計を担当。これまで多くのデザイナーと仕事をしてきた安藤が「三宅一生さんは特別。彼はクリエイティブです。商売ではない。造詣の原点に迫るクリエイティビティがある」と高く評価する。この建物の大屋根は三宅一生の「一枚の布」をコンセプトに、厚さ24ミリの鉄板でつくったが、これも現場監督の熱意があってこそ実現したものだと讃える。

ジョルジオ・アルマーニがこの建物を見て「同じように鉄板を使いたい」と言ったが、安藤は「日本以外では不陸を抑えて実現するのは、とても無理だ」と答えたそうだ。それだけ日本の技術は高いのである。

現在、安藤は、2008年6月にオープン予定の東急電鉄東横線・東京メトロの渋谷駅の設計を手掛けている。「夢のある駅を」というリクエストに応え、地下に卵形の空間をとり、地下30メートルまで自然の光と風を呼び込むという斬新なプランである。ここには輻射冷暖房も取り入れるという。こうしたことが可能になったのも、日本の優れた建築技術と土木技術によるものと安藤は語る。

(文・フリーライター 太田三津子)


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