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楽天イーグルス島田亨社長が語る「経営の本質」

BIZセミナー経営戦略
更新日 : 2008年07月01日 (火)

第7章 地道な地域密着活動

島田亨

島田亨: 我々の場合には、できるだけ垂直立ち上げして地域に密着しようと思い、頑張って地元回りをしました。野球は実際には民間企業の収益ビジネスなんですが、よく公共性のビジネスだといわれます。青少年の育成を考えると公共性の高いビジネスですし、地方自治体からもサポートしてもらっているというのも事実ですから、その分はちゃんと返さなきゃいけない。

けれど、直接お金を出していくということじゃなくて、もっと地元の人たちと我々がwin—winになるような、そういう地域還元の仕方がないかなということ考えました。それで2年目から始めたのが「シートオーナーズクラブ・チャリティ」でした。球団としては、客単価が高い年間シートを売ることで経営が安定するんです。ところがシーズンが終わってみるとシートが余ったりする。そうすると「ああ、もったいなかった」と1枚当たりの単価を計算して、「一般チケットのほうが安い」となるわけです。

そこでシーズン途中でチャリティゲームというのを球団で毎月設定します。その月までに使い切れなかったチケットがあったら球団に送ってもらい、それをいったんまとめて席を用意したうえで、地元の、例えば親御さんを亡くしてしまった子どもたちやいろんな施設のお子さんを招待するんです。招待事業は年間シートのチケットをくれたオーナーにレポートします。すると、「自分が買った年間シートが地元の役に立っているんだったら、ちょっとはいいことをしたな」となる。

こういう小さな社会還元をまとめてあげればwin—winになるかなと思いまして、それをやり始めました。これは大きなうねりにしていきたいと思っています。また、選手たちにもシートを買ってもらい、選手からプレゼントということで地元の施設の子どもたちを招いています。

東北は広くてなかなか一軍興行に行けないので、野球教室をやろうと考えました。ただどの町を選ぶかが、なかなか難しい。そこで、少年野球をやるよう なグラウンドや小さな球場があったら、ちょっとだけきれいにしてイーグルスのロゴを貼っていただければ、少年野球教室で優先的に行くということにしまし た。

自治体の予算でいうと100万円か200万円掛かるかもしれませんが、年に1回は必ず行きます——となると、「100万円程度でプロ野球選手やOB が来てくれて、野球教室をやってもらえるんだったら、地元のためにいいな」ということになる。地元にイーグルスのマークが入っている球場があると、小さい 子どもたちに親近感を持ってもらえるようになる。そんな逆ネーミング・ライツみたいなものをやっていたりします。

地元のローリングのためには、レイヤー・マネジメントをしています。企業に対してはわたしが講演をしますし、中学・高校ではスポーツジャーナリストのマーティ・キーナートの講演を、小学校に対しては将来のお客さまでもあり、親御さんを球場に連れて来るキーパーソンなので、選手が行く。幼稚園にはマスコットが行くんですが、なんと2006年には186回も幼稚園訪問をしまして、試合がない日は必ずどこかに行っているという感じでした。

地域密着というのは、参加してもらうことでもあります。夏休みの観戦感想文コンクールを行ったり、女の子にもファンをつくりたいと思い、ジュニアチアーをトレーニングして、夏休みの試合のときに子どもたちに踊ってもらっています。またエコ球場をめざしてボランティアの方々が、球場から出てくる人たちのゴミを仕分けてくれています。

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