オピニオン・記事

日本元気塾セミナー
小さな一歩が世界を変える!

「医療」「教育」で世界を変えるニッポン人

更新日 : 2016年06月13日 (月)

第1章 医療の届かないところに医療を届ける

たった1人、軍政下のミャンマーで無償の医療活動を始め、数万人もの命を救ってきた小児外科医・吉岡秀人医師。現在は国際医療ボランティア団体ジャパンハートの代表として、途上国のみならず、日本の医療にも変革を起こしています。同じく、映像授業を通じて途上国の教育に変革を起こしているe-Educationの代表、三輪開人氏。共に小さな一歩からスタートした2つの活動は、なぜ世界にインパクトを与える存在となったのか? その秘密に米倉誠一郎・日本元気塾塾長が迫ります。

スピーカー:吉岡秀人(小児外科医/特定非営利活動法人 ジャパンハート代表)
スピーカー:三輪開人(NPO e-Education代表理事)
モデレーター:米倉誠一郎(日本元気塾塾長/一橋大学イノベーション研究センター教授)

セミナー風景

 
「一歩」を踏み出したふたり

米倉誠一郎: ベルリンの壁が崩壊し、インターネットが登場した頃、僕は若者達に素晴らしい21世紀が手渡せるだろうと思っていました。しかし、シリア問題や相次いで起こる自然災害など、世界はいまも様々な懸念を抱えています。はたして、我々が望むような未来はやって来るのか。昨今はそのような不安を覚える人も増えていると思います。

しかし、この「日本元気塾」には、その不安に対する答えがあります。どれほど小さくとも、周囲から何を言われようとも、我々1人ひとりが前に向かって一歩を踏み出さない限り、現状を、そして未来を変えることはできない、という答えです。

このセッションに来られた皆さんは、心の奥底で「何かに貢献したい」「自分にもできることがある」という思いを持つ方、一歩を踏み出したいと考えている方だと思います。そこで今回は、実際に一歩を踏み出し、世界を舞台にイノベーションを起こし続けている日本人、ジャパンハート代表・小児外科医の吉岡秀人先生、e-Educationの三輪開人君をお迎えしました。おふたりのトークを通じて、皆さん自身ができる「世界を変えるための一歩」について考えていただきたいと思っております。
 
自分には何ができるのか?

吉岡秀人: 僕が海外に出たのは1995年、30歳の時です。100万円を握りしめ、軍事政権下のミャンマーに、それが何かも知らぬまま単身乗り込み、医療活動を始めました。

僕は1965年に生まれ、日本が経済成長にわいていた1970年代に多感な時期を過ごしました。当時、中国では文化大革命による混乱の中、栄養失調になる子どもがたくさんいました。また、ベトナム戦争は泥沼化し、カンボジアではポル・ポトが大虐殺を起こしていました。しかし、僕が生まれる20年前は、日本も一面焼け野原で、多くの日本人が同じような状況にありました。

中学生だった僕は思いました。たった20年の時間、飛行機でたった数時間の距離、そうしたわずかな「ずれ」だけで、自分はいま幸せに暮らすことができている。20年前の日本人と同じような境遇の人がいるのなら、自分は何ができるのか?

インターネットなどない時代、10代半ばの僕には医者しか思いつきませんでした。元々文系だった僕はそこから必死に勉強し、浪人も経て、20歳の時に医学部へ入りました。卒業後は小児外科医として働き、30歳にしてミャンマーに降り立ったのです。

ミャンマーはかつてビルマと呼ばれ、第二次世界大戦末期には30万の日本人がここで戦い、20万もの命が失われた場所です。戦後、遺族の皆さんが慰霊を続けていましたが、戦後50年目の1995年、彼の地の医療環境のひどさを見て、「何とかしたい。誰か行ってくれる人はいないか」と人を探し、たどり着いたのが僕でした。

こうして偶然にもミャンマーを訪れることになってから20年が経ち、現在はミャンマーのほか、ラオス、カンボジア、フィリピン、インドネシアなどにも活動が広がっています。

日本では、基本的にどのような人でも医療を受けることができます。貧しい人も外国人も、平等に受け入れてくれる病院がたくさんあり、国もそうした病院を税制面でサポートしています。日本は離島やへき地もたくさんありますが、そうした場所でも病院にさえたどり着けば、国民皆保険制度の下、医療を受けることができます。

ところが世界には、隣に医者が住んでいても、歩いて50m先に大病院があっても、医療を受けられない人がたくさんいます。「医者になるのなら、絶対的に医療を受けられない人のための力になろう」。医者を志した時、僕はそう誓いました。


該当講座


小さな一歩が世界を変える! 
~「医療」×「教育」で世界に挑戦する日本人イノベーター~
小さな一歩が世界を変える! ~「医療」×「教育」で世界に挑戦する日本人イノベーター~

吉岡秀人(小児外科医・ジャパンハート)×三輪開人(e-eduication)米倉誠一郎(日本元気塾塾長)
社会的変革で途上国を変えようとする日本人イノベーターがテーマ。吉岡氏と三輪氏はミャンマーで出会い「医療」×「教育」で新しいイノベーションを引き起こそうとしています。“入院中の子供たちに映像による教育を提供する”ことにより子供たちに将来、未来、夢をもたらすことです。今までの各々の活動、そして新しい出会いがもたらした新たな取組みの可能性、社会的インパクトについて多面的に考えます。



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