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『暮しの手帖』の暮らしと仕事

編集長・松浦弥太郎が「文章術」を初公開!

更新日 : 2013年05月24日 (金)

第3章 「文章術」を初めてお教えします

松浦弥太郎(『暮しの手帖』編集長/文筆家/書店店主)

 
Facebookで「いいね!」を押してもらうために

松浦弥太郎: 手紙を書くのは、一つの文章を書くことですよね。みなさんのなかにはFacebookやTwitter、ブログをやっている方も多いと思います。仕事をしていればビジネス文書や企画書を書いたりすることもあります。書くことを仕事にしていない人でも、メールやSNSなどで毎日文章を書くのが当たり前になりました。

もちろん、人とコミュニケーションを取るのに一番大事なのは、面と向かってあいさつすることです。身だしなみや笑顔に気を付けて、どれだけ相手に対して敬意をもって話しているか。子どものときから教わってきましたよね。ですから、あいさつの勉強はみなさんよくできているのです。けれど、文章の勉強というのはなかなかできない。本や人の書いた文章を読んだりしたものを真似しながら、書いている方がほとんどではないでしょうか。僕も毎日のように手紙を書いて、毎日のように原稿を書いていますが、「文章は難しいな」といまも思います。

文章の書き方には、実はとても大事なポイントがあるのです。そこで、文章の書き方のコツをお教えしましょう。あくまで自己流ですし、なかなか言わないのですけど、今日はせっかく来ていただいたので、手ぶらで帰すわけにはいきません。FacebookやTwitterであっても、書いたからにはやはり読んでもらいたいですよね。「いいね!」を押してもらいたいし、リツイートしてもらいたいのではないでしょうか。文章を上手に書く「文章術」を持ち帰ってください。

ビジュアルが浮かぶ「紙芝居」をつくろう

松浦弥太郎: まずは「紙芝居」をつくることです。400文字の原稿にしても、手紙を書くにしても、Facebookに投稿するにしても、5枚、多くて6枚くらいの紙芝居を作ってください。内容は「こんなことが素晴らしいと思ったので、仕事に生かしています」「おいしい料理をつくれました」ということでもいいのです。文章とは「いかにビジュアルをイメージしてもらうか」が大事です。一言や二言で、広い海の景色が見えるか、もしくは見えないか。写真や映像では伝えられない、文章だけの世界があるのです。紙芝居をつくると、それがイメージしやすいはずですよ。

つぎに、それを見ようとしている子どもたちを目の前にイメージします。彼らに「むかしむかし……」というように読み聞かせてみてください。そのとき子どもたちが「早く紙芝居をめくって」「あぁ、面白かった」という気持ちになるかどうか。あるいは、映像やビジュアルがきちんと伝わるかどうか。見る側の立場に立ち、自分でイメージするのです。

日本で一番短い民話

松浦弥太郎: 日本には民話があります。その土地その土地で、人の口から口に伝えられるものです。なかでも、日本で一番短い民話というのがあります。僕も驚きました。たった20文字くらいです。沖永良部島で何百年も言い伝えられてきたそうですけど、聞きたいですか?
「家に帰って、扉を開けたら、こ~んなに大きなムカデがいた」
おわり。沖永良部島の人たちはこれで大ウケするのです。涙を流しながら笑っている。「紙芝居」として立派な文章になっています。なぜなら、聞き手を感動させているのですから。


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