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「感動する力」でアートはここまで楽しくなる:姜尚中×竹中平蔵

もっと深くアートを感じるために、ちょっと深くアートを考える

政治・経済・国際文化教養
更新日 : 2012年10月04日 (木)

第3章 なぜ現代アートはわかりづらいのか

姜尚中(東京大学大学院情報学環 現代韓国研究センター長)

姜尚中: デューラーの《メレンコリア1》という銅版画には、しっかりと何かを見ている翼のはえた女性と、その周りに魔法陣、砂時計、金づち、カンナなど、具象的なものがたくさん描かれていますが、一体何を言おうとしているのかわかりません。しかし、これは近代的な自我の病を表しているのではないかと考えると、そう見えてきます。

メレンコリアはメランコリーですから、憂うつです。その語源はギリシャ語の「メラン=黒い」+「コレ=胆汁」で、ヒポクラテスの四体液説に基づく人間の性格分類によると、デューラーのような人は「黒胆汁」で、その特徴は憂うつとされ、あまり評価されていませんでした。現代の我々の社会でも、暗そうな人より、血色がよくてセールスをガンガンやるような人の方が人気があるのと一緒ですね。

作品の周りに描かれている物は、実は、多くが黒胆汁を示すものです。私は、デューラーは近代の始まりの中で、近代の終わりに近いようなことをこの作品の中で表しているのではないかと思います。

現代アートはわかりにくい。《メレンコリア1》もわかりにくい。それはなぜかというと、私たちが自意識という、抜き難いものを持っているからです。私の勝手な解釈ですが、現代アートの側面の1つには「いかにして自意識の迷宮から脱するか」という世界があると思います。そのことを一番感じた作品は……(次章に続きます)。

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該当講座

六本木アートカレッジ・セミナー
感動する力~アートを感じる・アートを考える~
姜尚中 (東京大学大学院情報学環 現代韓国研究センター長)
竹中平蔵 (アカデミーヒルズ理事長/東洋大学教授/慶應義塾大学名誉教授)

姜尚中氏×竹中平蔵氏
 芸術は我々に勇気や感動、新たな発想を与えてくれ、豊かで潤いのある時間を我々は過ごしています。しかし、そこにはアートを感じる力、どのようにその作品、モノに接するかという我々の姿勢が重要になってきます。今回のセミナーでは、姜尚中氏に経験をもとに、アートを感じる力についてお話いただきます。また、後半の竹中平蔵氏との対談では、アートが社会に与える影響そして社会で担う役割・可能性についても発展させます。


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