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メディア化する企業はなぜ強いのか? 小林弘人氏が解説します

BIZセミナーオンラインビジネス
更新日 : 2012年07月23日 (月)

第3章 メディアをつくる=コミュニティをつくる

小林弘人(株式会社インフォバーン代表取締役CEO/株式会社デジモ 代表取締役 ソーシャル・トイ・ビジョナリー)

小林弘人: 現代においてメディアをつくるということは、コミュニティをつくることと同義です。一方的に情報やコンテンツを掲載するのは、古いメディアです。それは単なる電子チラシです。

自社メディア化というのは、アドボカシー・マーケティングのひとつです。アドボカシー・マーケティングというのは、マサチューセッツ工科大学のグレン・アーバン教授が提唱したもので、その基本は顧客支援です。「こんな製品出ました」みたいに自社のことばかり言うのはメディアではありません。そうではなく、顧客が何を欲しているのか考え、顧客のためになることを提供するのです。極端な話、他社の製品のほうが良ければ、それを伝えます。一時的には自社に不利になったとしても、そうして信頼を獲得していくことで、長い目で見れば勝てるのです。

それには、事前期待のマネジメントが必要です。例えば旅行に行くとき、トラベルサイトで調べてきれいな写真の旅館を選んだのに、実際に泊まってみたら汚かったらがっかりしますよね。顧客満足度というのは、期待よりもいいサービスを受けたときに高くなるので、それと逆のことをしてはいけません。また、逆に期待値が低いものについて、それを上げる必要があります。これが事前期待マネジメントです。

アドボカシー・マーケティングは事前期待マネジメントにも使えます。例えば「ちょっと水回りに不備があるかもしれませんが、その分、お得にしています」と、正直に言うことで過度な事前期待を防げるし、信頼関係を築いていけます。

自社メディアは主観的なものだからこそ、アドボカシー・マーケティングが重要になります。お客さんに「自社に都合のいいことしか言ってないな」と思われたら終わりです。「私のためになることを言ってくれているんだな」と思ってもらえれば、メディアはうまく機能し始めます。

そのためには「ユーザーと目線を揃えて伝える」ことです。ユーザーと同じ気持ちになって、友達として話をする。かつ、一方的に自分の情報だけ出すのではなく「話を聞く」こと。それから「交わる」こと。リアルの場を設けて、メディアを見に来てくれた人たちと直接交わっていくことが重要です。つまり、自社メディア化というのは二次元だけで完結するものではないのです。

例えば、自動車メーカーのマツダは工場の敷地を一般ユーザーに開放する日を設けて、エンジニアがユーザーからの質問にラウンドテーブルで答えるという交流イベントをやっています。ネット上だけでなく、リアルな場でも顧客支援をやってコミュニティと交わることで、信頼関係はさらに醸成されます。信頼関係ができていれば「うちの今度の商品、こんなにすごいんです」と言ったとき、相手にスッと入っていくのです。

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メディア化する企業はなぜ強いのか?
小林弘人 (株式会社インフォバーン代表取締役CEO、東京大学大学院・情報学環 非常勤講師)
神原弥奈子 (株式会社ニューズ・ツー・ユー 代表取締役)

小林弘人(インフォバーン代表取締役CEO)
「ワイアード」「サイゾー」などの紙媒体、「ギズモード」などのネットメディアの両方を手がけてきた、出版業界からインターネット業界にまたぐオピニオンリーダー、小林氏をゲストにお迎えします。


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