記事・レポート

中田英寿×栗林隆×南條史生「伝統が開く日本の未来」

アートって、こういうことだったのか!

更新日 : 2012年05月14日 (月)

第5章 一番大事なのは「自分が楽しめるかどうか」

中田英寿氏

南條史生: 先週(2011年11月19日)、中田さんはTAKE ACTION FOUNDATIONでチャリティ・ガラを開催されました。その会場に各チームがつくった作品が展示され、目の前でオークションが行われたのですが、食事はもちろん、ダンスと映像を組み合わせたKAGEMUによるパフォーマンスや、Boyz II Menのライブパフォーマンスが行われるという、エンターテインメントとして大変素晴らしいパーティでした。ゲストも実業界の方、アーティスト、スポーツ選手などバラエティに富んでいました。

これを見て私は、中田さんは極めてユニークなプラットフォームをつくっていると感じました。財団の活動やその資金調達という意味ももちろんあるでしょうが、それとは別に、今まで日本人が知らなかった大人のエンターテインメントの世界がそこにはありました。それがアートや工芸やデザインの魅力を多くの人に知らしめていく場になっている気がしたんです。

こういうことができるのは、中田さんが外から日本を見ていらっしゃるからではないですか? 日本の中のタコツボにはまるのではなくて、外からの視点で「もっとこういうことができるんじゃないか」という発想をお持ちですよね。

中田英寿: 僕は若いうちから海外に出て行って、海外での暮らしも長かったので、どうしても日本を外から見ることが多かったんです。だから「こういうものがあったらおもしろいんじゃないかな、こうしたらいいんじゃないかな」というのは、たくさん感じてきました。

南條史生: ガラ・パーティみたいなものも、しょっちゅう経験なさったんですか?

中田英寿: 海外では結構ありましたね。だから身近なものというイメージがあります。でもなにより、文化自体が華やかでおもしろいわけです。今回のプロジェクトもパーティも、最終的には工芸や日本文化のためですが、僕にとって一番大事なのは、自分がおもしろいかどうかですね。自分が楽しめないものを何かのためにやるというのは無理だし、そんなことをしても続かない。だから、食事、パフォーマンス、会場の雰囲気、ゲスト、すべてにおいて内容にこだわるわけです。自分が一番厳しい客だからこそ、一番厳しいオーガナイザーになって徹底的にこだわるわけです。

これは作品をつくるときも一緒で、「どんな作品ができたか」というのは後の話で、まずはつくってくれている人たちが楽しんでいるかどうかが一番大事。その次には、できた作品を観ている人が楽しんでいるかどうか。そのために最大限の努力をして会場をつくって盛り上げるんです。

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  六本木アートカレッジ「伝統が開く日本の未来」

「なにかできること、ひとつ。」をテーマに様々な活動を続ける「TAKE ACTION」を通して、積極的に新しい価値発信を続ける中田氏。そのプロジェクトのひとつとして始まった「REVALUE NIPPON PROJECT」は日本の伝統・文化をより多くの人に知ってもらうきっかけをつくり、新たな価値を見出すことにより、伝統文化の継承・発展を促すことを目的として、気鋭の工芸作家とアーティストやクリエイターのコラボレーションで作品を作っています。今回、「REVALUE NIPPON PROJECT」2011年メンバーとして参加しているアーティスト栗林隆氏、森美術館館長南條史生氏、そして中田氏が、現在進行形のプロジェクトについて、さらに世界を知る三人から、これからの日本がつないでいくべき伝統・文化、そして新しい価値創造について語ります。


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