記事・レポート
加藤嘉一と竹中平蔵が、日本と中国のこれからを激論
中国で最も有名な日本人が語る、中から見た中国と外から見た日本
アカデミーヒルズセミナー政治・経済・国際キャリア・人
更新日 : 2012年03月06日
(火)
第1章 なぜ無名の日本人の若者が、中国で発言力を得られたのか
27歳にして胡錦濤国家主席を含む中国共産党幹部と交流し、中国で日本人の論客として注目されている加藤嘉一氏。かげりが見え始めたと言われる中国の経済状況や、世論統制の内情を氏はどう捉えているのでしょうか。日本企業が抱えるリスクと対策も語ります。さらにはモデレーターの竹中平蔵氏と共に日本政府に大胆提言も!
講 師:加藤嘉一 英フィナンシャルタイムズ中国語版コラムニスト/北京大学研究員/慶應義塾大学SFC研究所上席所員/香港フェニックステレビコメンテーター
モデレーター:竹中平蔵 アカデミーヒルズ理事長/慶應義塾大学教授 グローバルセキュリティ研究所所長
竹中平蔵: 今日は加藤嘉一さんをゲストにお迎えするということで、私自身、大変楽しみにやってまいりました。加藤さんは、今までの枠を超えた、日本が輩出した新しいグローバル人材だと思います。
加藤さんは『われ日本海の橋とならん』という本を出版されています。実は私は若いとき、新渡戸稲造に心酔して「願はくはわれ太平洋の橋とならん」というあの言葉を刻んだ石碑を一目見るために、バンクーバーのブリティッシュ・コロンビア大学まで行ったことがあります。今、そういうことを志す日本の若者が出てきたということは、大変うれしいと思うと同時に、すごいと感じています。
今日は最初に加藤さんからお話しいただき、その後の対談で3つの視点から議論できればと考えています。まず1つ目は「内側から見た中国」について。恐らく多くの皆さんが、急速に経済発展を遂げている中国に大きな期待を寄せると同時に、一筋縄ではいかない国だと感じていると思います。ですから加藤さんのような方から、ぜひ内側から見た中国の話を聞きたいのです。
2つ目は「外から見た日本」について。今、日本は大変大きな問題に直面しています。外から見た日本の姿を忌憚なく語っていただき、我々が日本をどうしていったらいいかを考える参考にさせていただきたいと思います。
3つ目は「新しいグローバル人材」について。日本は国内が心地よく、しかもマーケットがある程度大きいので当面はやっていけるために、グローバル教育の対応を怠ってきました。そういう中で加藤さんのような方が、新しいタイプのグローバル人材として出てこられたわけです。
「内から見た中国」「外から見た日本」「新しいグローバル人材」、この3つ観点から、後ほど対談させていただければと思います。
加藤嘉一: 私は8年前の2003年に「中国語ゼロ、お金ゼロ、知り合いゼロ」という本当に何もない状態で中国に行きました。そんな自分のような何も持たない日本の若者が、なぜ中国に受け入れられたのか。胡錦濤さんのような方から「頑張ってくれ」と激励していただけるようになったのか。自分なりに考えてみました。
恐らく理由は2つあります。1つは日中関係です。靖国問題、日米2+2(日米安全保障協議委員会)、常任理事国入りなど、いろいろな問題で日中関係が荒れた2005年に、私のような若者にチャンスが巡ってきました。中国がうまく外圧を使って国内を改善していきたいという思いから、政府や企業といった枠を超えて、若い世代や外からの声を求めたからです。
もう1つは、中国の改革・開放です。今日(2011年11月01日)、中国の無人宇宙船「神舟8号」が無事打ち上げられました。いよいよ中国も本格的に宇宙開発に乗り出すわけですが、こうした国威発揚につながるような政策が打ち出されると、国内では必ず反発が起きます。「ちょっと待ってくれ。国内には貧困にあえいでいる人がいっぱいいるし、社会保障体制が整っていないので多くの人が将来を不安に思っている。国民がまだまだ富というものを享受できていない中、これから少子高齢化に入っていく。それなのに宇宙開発なんてやってる場合か!」というわけです。こうしたゆがんだ状況の中で、私のような人間に発言のチャンスがきたのだと思います。
加藤さんは『われ日本海の橋とならん』という本を出版されています。実は私は若いとき、新渡戸稲造に心酔して「願はくはわれ太平洋の橋とならん」というあの言葉を刻んだ石碑を一目見るために、バンクーバーのブリティッシュ・コロンビア大学まで行ったことがあります。今、そういうことを志す日本の若者が出てきたということは、大変うれしいと思うと同時に、すごいと感じています。
今日は最初に加藤さんからお話しいただき、その後の対談で3つの視点から議論できればと考えています。まず1つ目は「内側から見た中国」について。恐らく多くの皆さんが、急速に経済発展を遂げている中国に大きな期待を寄せると同時に、一筋縄ではいかない国だと感じていると思います。ですから加藤さんのような方から、ぜひ内側から見た中国の話を聞きたいのです。
2つ目は「外から見た日本」について。今、日本は大変大きな問題に直面しています。外から見た日本の姿を忌憚なく語っていただき、我々が日本をどうしていったらいいかを考える参考にさせていただきたいと思います。
3つ目は「新しいグローバル人材」について。日本は国内が心地よく、しかもマーケットがある程度大きいので当面はやっていけるために、グローバル教育の対応を怠ってきました。そういう中で加藤さんのような方が、新しいタイプのグローバル人材として出てこられたわけです。
「内から見た中国」「外から見た日本」「新しいグローバル人材」、この3つ観点から、後ほど対談させていただければと思います。
加藤嘉一: 私は8年前の2003年に「中国語ゼロ、お金ゼロ、知り合いゼロ」という本当に何もない状態で中国に行きました。そんな自分のような何も持たない日本の若者が、なぜ中国に受け入れられたのか。胡錦濤さんのような方から「頑張ってくれ」と激励していただけるようになったのか。自分なりに考えてみました。
恐らく理由は2つあります。1つは日中関係です。靖国問題、日米2+2(日米安全保障協議委員会)、常任理事国入りなど、いろいろな問題で日中関係が荒れた2005年に、私のような若者にチャンスが巡ってきました。中国がうまく外圧を使って国内を改善していきたいという思いから、政府や企業といった枠を超えて、若い世代や外からの声を求めたからです。
もう1つは、中国の改革・開放です。今日(2011年11月01日)、中国の無人宇宙船「神舟8号」が無事打ち上げられました。いよいよ中国も本格的に宇宙開発に乗り出すわけですが、こうした国威発揚につながるような政策が打ち出されると、国内では必ず反発が起きます。「ちょっと待ってくれ。国内には貧困にあえいでいる人がいっぱいいるし、社会保障体制が整っていないので多くの人が将来を不安に思っている。国民がまだまだ富というものを享受できていない中、これから少子高齢化に入っていく。それなのに宇宙開発なんてやってる場合か!」というわけです。こうしたゆがんだ状況の中で、私のような人間に発言のチャンスがきたのだと思います。
関連書籍
われ日本海の橋とならん—内から見た中国、外から見た日本 そして世界
加藤嘉一ダイヤモンド社
加藤嘉一と竹中平蔵が、日本と中国のこれからを激論 インデックス
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第1章 なぜ無名の日本人の若者が、中国で発言力を得られたのか
2012年03月06日 (火)
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第2章 世論の締め付け強化は、共産党のガバナンス力低下の現れ
2012年03月08日 (木)
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第3章 左傾化する中国に見切りをつけ、海外移住を目指す若者たち
2012年03月09日 (金)
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2012年03月12日 (月)
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該当講座
加藤嘉一×竹中平蔵が日本と中国のこれからを激論!
~「中国でもっとも有名な日本人」が政治・経済から中国人の日常生活までを語る~
加藤嘉一 (英フィナンシャルタイムズ中国語版コラムニスト/北京大学研究員/慶應義塾大学SFC研究所上席所員/香港フェニックステレビコメンテーター)
竹中平蔵 (アカデミーヒルズ理事長/慶應義塾大学名誉教授)
竹中平蔵 (アカデミーヒルズ理事長/慶應義塾大学名誉教授)
加藤 嘉一(コラムニスト)
竹中 平蔵(慶應義塾大学教授/アカデミーヒルズ理事長)
政治・経済から一般の中国人の生活まで、あらゆる角度から日本と中国のこれからについて、会場の皆さまにもご参加いただきながら議論します。
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