記事・レポート
柴田励司氏が語る、いつかなりたい自分になるためのヒント
『どうしてあのヒトは、デキるのだろう。』
更新日 : 2010年12月14日
(火)
第4章 勝つプレゼンの極意
柴田励司: OUTPUTは、構造化した情報の「整理」と「見せ方」に尽きます。まず、「そもそも何が問題で、何を決めるのか」を前提として説明しましょう。これにより、聞き手は自分の記憶に格納している関連情報を呼び出しやすくなるのです。次に、意思決定にあたっての論点を明らかにします。さらに、論点にあたっては複数のオプションが必ずあるはずですから、それを付加した上で、「自分はこう思う」と意見を述べます。
提案型のプレゼンテーションならば、3つの「Why?」が必要です。「なぜ、この提案が有効なのか」「なぜ、自分(自社)がやるのが有効なのか」、そして「なぜ、今なのか」。営業の立場としてはなるべく早くクロージングする必要があるでしょうから、やはり、来年ではなく、今すぐやることに意味があるとのだと伝えなければいけません。
実際、マーサーではこの方法でプレゼンテーションの勝率がかなり上がりました。逆にこの3つの「Why?」に対して明確な答えを出せないものがあったとしたら、それは提案としてしっかりしていないということなので、だめになるケースが多かったです。これらを整理することで、どんな複雑怪奇な問題も、プレゼン資料5ページ程度にまとめることができると思います。
さて、整理の次は「見せ方」、つまり、いかにプレゼンテーションを効果的に行うかを考えましょう。どんなにすばらしいアイディアも伝わらなければ意味がありませんので、まず「Unique Selling Point」を明確にします。Unique Selling Pointとは、「言いたいことは何か?」ということ。これは1分程度にまとめましょう。もし1分でまとまらないなら、それは自分の中でシンプルに構造化できていない、すなわちTHROUGHPUTできてないということです。これでは相手に伝わりません。
構成も大切です。イントロダクションの直後にUnique Selling Pointを言いましょう。その後で「なぜならば~」「なぜならば~」「なぜならば~」……と理由付けをすることでロジックを通し、最後にもう一度、Unique Selling Pointを語って終えます。
これは聞き手の集中度に合わせた構成です。話し手が登場するととりあえず聞き手は注目しますが、時間とともにだんだん関心が薄れてしまうものです。そして不思議なことに、「今日は長い時間ありがとうございました」などと終わりの言葉を聞くと、また急に集中力が戻り、意識が話し手に集中するのです。
プレゼンテーションで終盤まで結論を言わない人が度々見受けられますが、それでは聞き手がいちばん話を聞いていないタイミングで大事なポイントを言うことになり、後でひっくり返されることが多くなってしまうのです。
よくないプレゼンテーションについてもう1つ言うと、どこに集中すればいいのかわからないケースがあります。プレゼンテーションの際、通常はスライドがあり、話し手がいて、配布資料があります。このとき、ぎっしり書き込まれたスライド、気合いが入った話し手、たくさんの配布資料が重なってしまうと、集中すべきポイントがわからない状態になってしまいます。
絶対にやってはいけないダメなスライドの例として、見えないほど細かく表計算ソフトやワープロソフトのデータを貼ったものがあります。これでは聞き手はスライドを読みこまなければならず、そんなときに話者が話し続けると「うるさい」と感じてしまいます。やはり、どこに集中すればよいのかわからなくなってしまうのです。
どうも人間の脳とは、キャパシティはかなりあるものの、入口は狭いようです。だから情報が一度にたくさん入ってくると、いっぱいになってこぼれるものが必ず出てきます。するとだんだん話がわからなくなってきて、中には機嫌が悪くなる人も現れます。聞き手が提案書や資料の先を見はじめたり、体が揺れはじめたりするのはこの兆候。こういう場合には、与える情報量をどんどん少なくしましょう。
要するに、「細かくて見えないかもしれませんが」と断わりながらのプレゼンテーションでは効果がないのです。データを見せる必要があるときはプリントしたものを配り、見終わったらまたスライドに注意を向けてもらえばいいのです。スライドの文字量は、見た瞬間に読まなくても直感で理解できる、映画の字幕の分量が適切です。
また、これは極めて基本的なことですが、前を向いて話すことが大切です。よく、話し手も聞き手も全員でスライドを見たままというケースがありますが、これは非常にもったいない。話し手がきちんと聞き手の顔を見ていれば、話を聞いているか、理解できているかどうかわかります。プレゼンテーションでは必ず前を向き、「顔」と「声」と「間(ま)」を使いましょう。
そして最後に、当たり前のことですが、やはり伝えたい気持ちを強く持つということが重要です。
提案型のプレゼンテーションならば、3つの「Why?」が必要です。「なぜ、この提案が有効なのか」「なぜ、自分(自社)がやるのが有効なのか」、そして「なぜ、今なのか」。営業の立場としてはなるべく早くクロージングする必要があるでしょうから、やはり、来年ではなく、今すぐやることに意味があるとのだと伝えなければいけません。
実際、マーサーではこの方法でプレゼンテーションの勝率がかなり上がりました。逆にこの3つの「Why?」に対して明確な答えを出せないものがあったとしたら、それは提案としてしっかりしていないということなので、だめになるケースが多かったです。これらを整理することで、どんな複雑怪奇な問題も、プレゼン資料5ページ程度にまとめることができると思います。
さて、整理の次は「見せ方」、つまり、いかにプレゼンテーションを効果的に行うかを考えましょう。どんなにすばらしいアイディアも伝わらなければ意味がありませんので、まず「Unique Selling Point」を明確にします。Unique Selling Pointとは、「言いたいことは何か?」ということ。これは1分程度にまとめましょう。もし1分でまとまらないなら、それは自分の中でシンプルに構造化できていない、すなわちTHROUGHPUTできてないということです。これでは相手に伝わりません。
構成も大切です。イントロダクションの直後にUnique Selling Pointを言いましょう。その後で「なぜならば~」「なぜならば~」「なぜならば~」……と理由付けをすることでロジックを通し、最後にもう一度、Unique Selling Pointを語って終えます。
これは聞き手の集中度に合わせた構成です。話し手が登場するととりあえず聞き手は注目しますが、時間とともにだんだん関心が薄れてしまうものです。そして不思議なことに、「今日は長い時間ありがとうございました」などと終わりの言葉を聞くと、また急に集中力が戻り、意識が話し手に集中するのです。
プレゼンテーションで終盤まで結論を言わない人が度々見受けられますが、それでは聞き手がいちばん話を聞いていないタイミングで大事なポイントを言うことになり、後でひっくり返されることが多くなってしまうのです。
よくないプレゼンテーションについてもう1つ言うと、どこに集中すればいいのかわからないケースがあります。プレゼンテーションの際、通常はスライドがあり、話し手がいて、配布資料があります。このとき、ぎっしり書き込まれたスライド、気合いが入った話し手、たくさんの配布資料が重なってしまうと、集中すべきポイントがわからない状態になってしまいます。
絶対にやってはいけないダメなスライドの例として、見えないほど細かく表計算ソフトやワープロソフトのデータを貼ったものがあります。これでは聞き手はスライドを読みこまなければならず、そんなときに話者が話し続けると「うるさい」と感じてしまいます。やはり、どこに集中すればよいのかわからなくなってしまうのです。
どうも人間の脳とは、キャパシティはかなりあるものの、入口は狭いようです。だから情報が一度にたくさん入ってくると、いっぱいになってこぼれるものが必ず出てきます。するとだんだん話がわからなくなってきて、中には機嫌が悪くなる人も現れます。聞き手が提案書や資料の先を見はじめたり、体が揺れはじめたりするのはこの兆候。こういう場合には、与える情報量をどんどん少なくしましょう。
要するに、「細かくて見えないかもしれませんが」と断わりながらのプレゼンテーションでは効果がないのです。データを見せる必要があるときはプリントしたものを配り、見終わったらまたスライドに注意を向けてもらえばいいのです。スライドの文字量は、見た瞬間に読まなくても直感で理解できる、映画の字幕の分量が適切です。
また、これは極めて基本的なことですが、前を向いて話すことが大切です。よく、話し手も聞き手も全員でスライドを見たままというケースがありますが、これは非常にもったいない。話し手がきちんと聞き手の顔を見ていれば、話を聞いているか、理解できているかどうかわかります。プレゼンテーションでは必ず前を向き、「顔」と「声」と「間(ま)」を使いましょう。
そして最後に、当たり前のことですが、やはり伝えたい気持ちを強く持つということが重要です。
関連書籍
どうしてあのヒトは、デキるのだろう。
柴田励司PHP研究所
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