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教育の未来を考える6冊

更新日 : 2023年11月21日 (火)





最後に「学校」に通った日のことを、覚えていますか?随分と昔のことのように感じる方もいれば、趣味、あるいはリスキリングの一環として、今なお通学している、という方もいるかもしれません。日本社会では最低でも9年、進学すれば15年以上もの時間を勉強に費やします。これほどの年月をかけて「教育」を受ける生き物は、人間の他にはありえません。しかし、実際のところ、私たちは「教えること」、「教わること」について、どれほど知っているでしょうか。

教育を考えることは、次の社会を考えること。そして、私たちの未来を考えること。そのきっかけとなる、6冊をご紹介いたします。

 


『冒険の書 AI時代のアンラーニング』
孫 泰蔵 著/日経BP
日夜、急速な発展を遂げているAI技術。実は、この影響を一番に受けるのは子供たちです。最近では、宿題をAIにやらせて自分は答えを写すだけ、といった社会問題も耳にしますが、AIのサポートが日常となる未来で、それは避けられない変化かもしれません。何でもできるAIがあるのに、なぜ勉強をする必要があるのか?本書はそういったAI時代の問いに正面から向き合うことで、その先にある、「学ぶとは何か」、「生きるとは何か」という普遍的な疑問へと読者を導きます。
今まさに迷える10代にも、そして人生を通して「学び」続ける大人たちにも届く、まっすぐな問いと発見が詰まっています。
 

『子どもたちに民主主義を教えよう——対立から合意を導く力を育む』
工藤 勇一, 苫野 一徳 著/あさま社
 昨今、政治の話題でしばしば口にされる「民主主義の崩壊」。しかし、そもそも「民主主義」とは何でしょうか。個人の自由が保障される?多数決で物事を決める?私たちが生きる社会の基礎とされながら、意外とそれを考える機会はありません。現役の校長先生と哲学者、現代の教育について考える二人の著者は、学校こそ「民主主義」の実践の場だと語ります。大切なのは、他者を尊重し、常に対話を続けること。いじめや学校の校則問題を解決する糸口であると同時に、ウクライナ侵攻のような世界の危機と向き合うためのヒントが、そこに隠されています。
 

『2040 教育のミライ』
磯津 政明 著/実務教育出版
VR、メタバース、Web3.0……私たちを取り巻く技術革新は、今まさに教育の現場を変えつつあります。著者はソニーグループの教育部門のトップとして、そして二児の父親として、次世代の教育という難問に長年取り組んできました。ブロックチェーンやプログラミング教育など、IT技術と教育の融合を実践する中で見えてきた課題、海外事例との比較から浮かび上がる日本全体の長所など、本書は2040年に至るまでの、教育の未来地図が隈なく描かれています。今こそ「学びを科学する」時代へ。教育分野は、最先端テクノロジーの新たなフロンティアなのです。
 

『東大よりも世界に近い学校』
日野田 直彦 著/TAC出版
学校の価値とは、一体なんでしょうか?日本の大学の世界ランキングは年々下降傾向にあり、教育力の低下が叫ばれて久しい昨今。本書の著者である日野田直彦氏は、混迷した多くの高校を立て直し、多数の海外進学者を輩出しています。鍵となるのは、思考力、表現力をいかに育てるか。日野田氏が運営する学校では、学生たちが自ら企画書を作り、校則の変更を提案したり、生徒自身が学校説明会で話します。大人がすべきことは、子供たちの勉強の動機付けを見つける手助けをすること。後は、それぞれが自分で学び始めるのです。この一冊で、これまでの教育観をがらりと覆すはず。
 

『すべての子どもに「話す力」を
   —1人ひとりの未来をひらく「イイタイコト」の見つけ方』
竹内 明日香 著/英知出版
日本の学校教育の課題、ひいては日本社会の大きな弱みは、「話す力」がないことかもしれません。目立ちたくない、間違いたくない、対立したくない。そんな社会全体の意識が子供たちの対話の機会を奪っているのです。本書は「考える」「伝える」「見せる」という三つのステップを通して、プレゼン力の開花を目指します。誰かに何かが伝わった、というたった一度の経験で、人は他者とのつながり、自分への自信を手にすることができます。本書のメッセージは子供たちだけではなく、話す機会のないまま大人になってしまった私たちにも向けられています。
 

『マイノリティデザイン
  —弱さを生かせる社会をつくろう』
澤田 智洋 著/ライツ社
教育を受けることは万人に平等な権利です。しかし、身体の不自由な子、地方に住む子、経済的に苦しい家庭の子、皆が同じような教育を受けていると言えるでしょうか。マイノリティデザインとは、一見「弱さ」に見えるようなハンディキャップを基準に社会を作ること。「ライター」が、もともと片腕の人が火を熾せるように作られたものであるように、マイノリティのためのデザインは、全員にとって優れたものなのです。教育とは、ただ何かを教えるのではなく、子供たちが等しく学べる社会を作ることでもあります。本書を読むことは、その第一歩となるはずです。
 

今、世界は揺れています。世界各地で起きる戦争、不安定な世界経済、年々深刻さを増す気候問題……その多くは様々な原因が絡み合い、解決の糸口は簡単に見つかりません。しかし、一つ希望があるとすれば、それは「子供たち」ではないでしょうか。現代は困難な時代であると同時に、AIや新しい価値観といった、これまでにはなかった可能性を持った時代でもあります。

子供たちがより深く、より広く学び、世界を変えていく。その道を整えるのは、大人である私たちの責任と言えるかもしれません。ご紹介した6冊をきっかけに、じっくりと「教育」について考えてみてはいかがでしょうか。




冒険の書 AI時代のアンラーニング

孫泰蔵
日経BP
子どもたちに民主主義を教えよう—対立から合意を導く力を育む

子どもたちに民主主義を教えよう—対立から合意を導く力を育む

工藤勇一,苫野一徳
あさま社

東大よりも世界に近い学校

日野田直彦
TAC出版

2040 教育のミライ

2040 教育のミライ

礒津政明
実務教育出版

すべての子どもに「話す力」を - 1人ひとりの未来をひらく「イイタイコト」の見つけ方

竹内明日香
英治出版

マイノリティデザイン—「弱さ」を生かせる社会をつくろう

澤田智洋
ライツ社


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