ミッション&ヒストリー

理事長のごあいさつ

「乱気流と偏西風の中で」

アカデミーヒルズの理事長に就任し、皆様とともに東京の知的な拠点作りを目指し始めて、はや10年が経過しました。この間、このように知的拠点の果たすべき役割は、益々重要になったと感じています。

2016年は、まるで「乱気流」のように経済が揺れ動いた一年でした。各国で社会の分断現象が鮮明化し、そうしたなかイギリスの国民投票ではEUからの離脱派が勝利し、アメリカでは異色の大統領が選出されるといった、予想外の出来事が世界を揺るがしました。これを受けて日本の株価や為替相場も、約20%という幅で乱高下したのです。こうした乱気流は、今後も生じると懸念されます。ヨーロッパの主要国で、2017年は重要な国政選挙が控えていますし、中国など新興国の政治経済が中期的にどのようになるかにも注目点です。

一方でこうした乱気流とは異なり、一貫して吹き続けている強い風、いわば「偏西風」が存在します.第4次産業革命という名の偏西風です。我々は、人工知能(AI)、ロボット、IoT、ビッグデータ、そしてシェアリング・エコノミーらによって構成される新しいトレンドに、積極的に対応しなければなりません。こうした動きは、ドイツがインダストリー4.0という言葉を政策面で使い始めた2010年代はじめから目立ち始めました。あるAIの専門家は、2012年頃からディープラーニングの面で活気的な革新があり、その頃から一気に流れが加速したと指摘しています。しかし日本の成長戦略に第4次産業革命が正面から取り上げられたのは、昨年が初めてのことでした。その意味で日本では、この第4次産業革命という時代認識そのものが、総じて希薄であるように感じられます。

アカデミーヒルズは、まさに新しい時代を先取りし切り開く、イノベイティブな方々が集う場所です。そしてこうした方々が、さらにパワーを強化する場です。多様で多彩な人材の交流が化学変化を生み出し、新たな時代の先駆けとなるような場を提供してきました。第4次産業革命で経済社会が大きく変わろうとしているいま、その役割は益々重要になったと考えています。

キーワードはイノベーション、革新です。そのイノベーションの重要性を指摘したシュンペーターは当初、これを「新しい結びつき」という言葉で表しました。このような結びつきを可能にするのが、都市に他なりません。アカデミーヒルズは、東京という世界に誇る都市のなかで、知的な賑わいを演出することをめざします。森記念財団の世界都市ランキング(2016)において、東京は前年までの4位から3位に順位を上げました。その東京の中核六本木で、さらに新しい知的な賑わいを作って参ります。

そんななか、2020年東京オリンピック・パラリンピック(五輪)に向けて、いよいよ本格的な準備が加速してきました。五輪は、社会の変革を進める強いモメンタム(勢い)を持っています。私たちもこの機会を活かし、乱気流を避けて偏西風に乗るという大きな流れを、皆さんと一緒に作って行きたいと思います。


2017年1月

竹中平蔵

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