記事・レポート

安藤忠雄「組織の条件、リーダーの条件」

更新日 : 2009年04月16日 (木)

第2章 世界の人々とチームを組む

建築家•安藤忠雄氏

安藤忠雄建築研究所のスタッフは27人。この人数で国内外27カ所のプロジェクトを進めている。その背景には、世界中で多くの人々とチームを組んできた経験がある。

イタリアのヴェニスでは、ファッションメーカーのベネトンの依頼で、17世紀の貴族のヴィラを保存修復してアートスクールをつくった(FABRICA)。この仕事のために、安藤は現地のチームをつくった。メンバーは互いに日本とイタリアを往復し、徹底的に対話を重ねることによって「一緒にひとつのものを創り上げていくのだ」という意識を高めていった。安藤は日本語、メンバーはイタリア語だったが、「思いがひとつになれば不思議に伝わるものだ」という。「参加したメンバー一人ひとりが『俺があの建物をつくったんだ』と言えるようにしよう。そう言える人が多ければ多いほどいい」。これが安藤のチームづくりの原点である。

ヴェニスのサン•マルコ広場の近くでは、フランソワ•ピノーの依頼で18世紀後半の邸館建築を現代美術館に改修した(パラッツォ・グラッシ再生計画)。日本に置き換えれば、桂離宮や清水寺を改築するようなプロジェクトである。ヴェニスの歴史や建築、技術に精通しなければできない。この依頼があったとき、すぐにヴェニスのチームに相談したという。チームのメンバーは打てば響くように「おお、やろう。お前となら面白い」といった。「このひとことがなかったら受けなかっただろう」と、安藤は語る。

建築家•安藤忠雄氏
コンペでは、ピノー&安藤組とグッゲンハイム&ザハ(ザハ•ハディド)組が最後まで争った。「最終的に我々が選ばれたのはチーム力だったと思う」と安藤。このプロジェクトを成し遂げるには、屋根瓦や外壁のレンガひとつにしても同時代のものを探し出さなければならない。安藤のヴェニスのチームはその力があったし、水位が上がったときの対処方法も熟知していた。

安藤は対話によるチームづくりに長けたリーダーである。同時に、常に最前線で指揮を執るタイプの強いリーダーでもある。大阪•梅田のアトリエでは、1階~5階を貫く吹き抜けの1階、玄関に面したところに安藤の席がある。スタッフは出入りするたびに、ボスの前を通らなければならない。安藤の声は吹き抜けを通して全員に届く。電話もここに並んでいるから、居ながらにして全員の電話のやり取りが耳に入る。こうした緊張感のなかでチームの一体感が培われている。

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安藤忠雄:組織の条件、リーダーの条件
安藤忠雄 (建築家)
米倉誠一郎 (日本元気塾塾長/法政大学イノベーション・マネジメント研究科教授/ 一橋大学イノベーション研究センター名誉教授)

安藤忠雄氏は1969年28歳の時に、たった2人の建築事務所を大阪に開設しました。それから40年、現在では精鋭25名、平均年齢30歳という若いスタッフを率いてヨーロッパ、アメリカ、中東、アジアなど国内外の多様なプロジェクトに日々真剣勝負を挑んでいます。 建築家安藤氏の活躍を知る機会はこれまで沢山あり....


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