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『ケロッグ大学大学院 モーニング・セッション「異能の時代~ダイバーシティを活かした価値創造のマネジメント」』

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更新日 : 2008年09月01日 (月)

第10章 自分の価値観を押し付けてはいけない

星野朝子さん

星野朝子: 「日常の中で共感を高める方法」について、いろいろな専門家が推奨している方法がありますので、その中のいくつかをご紹介いたします。

1.映画ドラマの主人公になる
男性なら、例えばウルトラマンになったことがあると思います。いろいろな世代の人がいらっしゃるので、仮面ライダーかガンダムか分からないですけれど、多分そういうものにはなれるんですよ。『ダイ・ハード』のブルース・ウィリスにもなれるんですね、価値観を共有できるから。

だけど、じゃあ『となりのトトロ』のメイちゃんになれるか。もっと言えば、トトロそのものになれるか(笑)。これは難しいですね。これまで、なろうとしたこともないと思うのです。これをなろうとしてみる。それが訓練だというふうに言っています。

2.自分をよく知る
これもすごく重要で、「なぜあのとき自分は驚いたんだろう」「怒ったんだろう」「おかしかったのだろう」、または、自分が笑っているときに「どうしてこれがこんなにおかしいのだろう」とか、そういう自分の感情と素直に向き合うということを忘れてはいけません。

これは皆さん思春期のときに必ずやっているはずです。段々とやらなくなってくるのですが、それを絶対にやり続けろ、これによって共感能力はものすごく高まる、というふうに言われています。

3.待つ態度
相手をゆっくり見て理解しようということです。相手が何か訳がわからないことを言っているとき「訳がわからない」と返したり、相手が困っているときにソリューションを提供しようと思うなと。これは日本の男性には多いですが、相手を理解する前に相手の語った問題を解決しようとしてしまう。それが正しいと思い続けると、共感能力というのは高まらないというわけです。

4.観察、PDCA
「相手は今きっとこう考えたに違いない」と推察したら、相手に向かって本当にそう思ったかどうか確かめてみるというのは、すごくいいPDCAだというのです。ただ、これは親しい人同士じゃないとあまりできないですね、感情の世界を語り合うことになってしまうので。間違っても、上司に「あっ今、私のことばかだと思ったでしょう?」(笑)とか聞かない方がいいです。本当にばかだと思われてしまうので。

特に自分が何かを依頼した相手に「できません」と言われたとき、「なぜ?」と聞いてはいけないと言われています。「なぜできない?」と聞いたら、できない理由を言われるだけです。「なぜ」というのは、共感的な反応ではないのです。

皆さんの頭の中に「じゃあ、なんて聞けばいいの?」と浮かんだと思いますが、私もそれを聞いたとき全く同じ質問をしたんです。

答えは、「なぜ?」と聞かないで、「何が?」と聞くんだそうです。「何ができないのですか?」「どの部分ができないのですか?」と聞くべきだそうです。そうすると、相手から解決方法が出てくるんですって。ぜひ、試してみてください。