記事・レポート

テクノロジーとアートの融合が拓くクリエーションの未来

真鍋大度×徳井直生が語るメディアアートとスタートアップ

更新日 : 2014年09月09日 (火)

第5章 創造力・想像力を刺激するアプリケーション


 
Qosmoのプロジェクト紹介

徳井直生: Qosmoとして取り組んできたプロジェクトを少しご紹介します。基本的に、僕が主導したプロジェクトの多くはスマートフォン関係が多くなっています。

N Building
http://vimeo.com/8468513
2009年にQosmoとして初めて取り組んだ、東京・立川にあるテナントビルにAR(拡張現実)を適用したプロジェクトです。僕たちは、このビルのオープンに合わせてiPhoneアプリをつくりました。アプリを立ち上げてビルにカメラを向けると、手元の映像のなかにキャラクターが現れ、各店舗の最新情報やtwitterのロケーション情報を紹介してくれます。また、季節に合わせたグラフィック・アート、たとえばクリスマスツリーが現れるといった楽しい仕掛けもあります。

salyu x salyu/muse'ic visualiser
http://www.salyu.jp/salyuxsalyu/main.html#/app/2/app2_demo
アーティストのsalyuさんに提供した、インタラクティブなミュージックビデオアプリです。アプリを立ち上げるとカメラが起動し、Playボタンを押して街を歩けば、音楽に合わせて画面上に映し出される街の映像に様々なエフェクトがかかります。つまり、カメラに映し出される目の前の風景が、自分だけのミュージックビデオになる、というものです。

Toy Toyota/Backseat Driver
http://www.youtube.com/watch?v=YkctbJWgitQ
トヨタさんと一緒に開発した、GPSと連動したドライビングゲームアプリです。お父さんの運転する車に乗った子どもがアプリを起動すると、実際に走っている道がアニメーションとなって画面上に現れます。子どもは、前方を進む「パパカー」を自動的に追尾する「マイカー」を操作しながら、パパカーが落とすアイテムや、実際の地図情報と連動したランドマークアイコンを拾い集め、ポイントを貯めていきます。そのポイントを使い、マイカーをカスタマイズすることもできます。このアプリは、「子どもにドライブする楽しみを味わってほしい」という思いのもとにつくられています。

te.to.te
http://vimeo.com/42966865
複数人で手書きノートを共有しながらクリエーションが行えるアプリです。クラウドを介して描画データを共有することで、複数のiPadを使ったコラボレーションが可能になり、同時に描き込んだり、色をつけたりすることができます。また、離れた場所にいても、誰が何を書き込んでいるのかがリアルタイムにわかります。会社でブレストを行うときや、子どもがグループ単位で絵を描くときなど、年齢を問わず、あらゆる場所で行われる「共創」を楽しくサポートするアプリです。

オフライム君
最近制作した、iPhoneを触らないほど得点が貯まるゲームアプリです。したがって、アプリを立ち上げても、その後は何もできません。触らないでいると、画面上のキャラクターが動き回り、友達が遊びに来たり、アイテムが増えたりしながら成長していくという、それだけのアプリです(笑)。

制作したきっかけは、最近問題になっている“スマホ中毒”です。いまや子どもにまで広がっており、何となく行き過ぎていると感じていました。僕自身、アプリなどを制作する立場の人間であるため、危機感を覚えていたことから、小さいながらも社会に問題提起するといった気持ちでつくりました。

真鍋大度: 僕も遊んでいますが、全然成長しません(笑)。

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SWITCH presents メディアアートとスタートアップ

音楽、アート、映像といったエンタテインメントの世界を、さまざまな分野のテクノロジーを導入して変化させるディレクションで注目されるRhizomatiks真鍋大度とメディアアートを軸に米シリコンバレーにあるシードアクセラレーター500 Startupsでアプリの開発を行うなどスタートアップ業界にも進出するQosmo徳井直生。
2人の対話から、近未来へのネクストステップが見えてくるはず。