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テクノロジーとアートの融合が拓くクリエーションの未来

真鍋大度×徳井直生が語るメディアアートとスタートアップ

更新日 : 2014年09月01日 (月)

第3章 メディアアートで、東京オリンピック招致にも貢献

真鍋大度氏(メディア・アーティスト)

 
真鍋大度のプロジェクト紹介 〜コミッションワーク編〜

真鍋大度: 次に、企業やアーティストなどから依頼を受けて制作した作品をご紹介します。自主的な活動は興味関心に合わせて自由に取り組んでいますが、こちらは最初から内容や制作期間など、ある程度枠組みが決まった状態からはじまるプロジェクトと言えます。

finger_tracking_test
http://www.youtube.com/watch?v=2GGfLRoUhe4
Perfumeさんのライブ演出のなかで、「指先の動きをトラッキングして新しいダンスをつくる」という依頼を受けて制作したものです。指先には動きを検出するマーカーとして再帰性反射材がついており、ステージ前に立てられた透明なフィルムにラインアートなどの映像が投影されます。これらを組み合わせることで、ステージ正面から見たとき、指先を使って空中に絵を描いているようになります。

Perfume Performance Cannes Lions International Festival of Creativity
http://www.youtube.com/watch?v=gI0x5vA7fLo
2013年6月に、Perfumeさんがカンヌライオンズ・国際クリエイティビティ・フェスティバルでライブを行うにあたり、システムや映像制作に携わりました。白い衣装をスクリーンとして、プロジェクションマッピングを行いました。よく見ていただくとわかりますが、ダンスに合わせて動く上着やスカートなど、衣装のパーツごとに投影される映像を異なるものにしています。

直近では、2020年の東京オリンピック招致プレゼンに向けて制作した作品があります。「フェンシングを使って面白いことができないか」というテーマをいただき、剣の先端にマーカーをつけてトラッキングし、剣先が描き出す軌跡を映像化しました。撮影では64台のカメラを用意し、VICONという医療やスポーツの分野で活用されている光学式三次元動作分析装置を使っています。剣先の動きが速すぎて通常のカメラでは撮影できないため、1秒間に380フレームを撮影するカメラを使い、動きを検出しています。

僕たちは広告制作などで生み出した資金をもとに、自分たちの興味関心にもとづいたプロトタイピングを行い、それを次のコミッションワークにつなげていく、というサイクルで活動しています。会社を立ち上げた当初は小さなループでしたが、おかげさまで次第に規模が大きくなり、設立から7年目を迎えた現在は、国内外の様々なプロジェクトに携わることができ、非常に良い環境で活動できていると感じています。

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SWITCH presents メディアアートとスタートアップ

音楽、アート、映像といったエンタテインメントの世界を、さまざまな分野のテクノロジーを導入して変化させるディレクションで注目されるRhizomatiks真鍋大度とメディアアートを軸に米シリコンバレーにあるシードアクセラレーター500 Startupsでアプリの開発を行うなどスタートアップ業界にも進出するQosmo徳井直生。
2人の対話から、近未来へのネクストステップが見えてくるはず。