オピニオン・記事

ファッションから始まるコミュニケーション

丸山敬太が語る、心を満たす服のつくり方

更新日 : 2013年08月13日 (火)

第2章 はじめに「気分」を探る

丸山敬太(KEITA MARUYAMA デザイナー)

 
着る人と会話をするように

丸山敬太: ファッションデザイナーが100人いれば、100通りの方法論があると思います。たとえば、素材から入る人、シルエットやパターンから入る人。もしくは、テーマを決めてから創る人、反対に、テーマを決めないうちから創り始めてしまう人もいるでしょう。

僕の場合は、最初にそのシーズンの「気分」を探っていきます。そこから、自分がいま創りたいもの、伝えたいことを考えていくのです。

僕はこうした講演のように、一方的な形式で人に語りかけることが苦手です。会話は一方的なものではなく、言葉と言葉のキャッチボールだと考えているからです。誰と誰が、何のために、どんな話をするのか。そうした目的があるから、相互のコミュニケーションが深まっていく。服も同じです。誰が、どんなときに、どんな気分で、どんなふうに着たいのか。着る人と会話をするようにデザインを発想していくことを、大切にしています。

僕はアーティストのステージ衣装や、オーダーメイドのウェディングドレスもデザインしていますが、これらは着る人と直接会話するからこそ創り上げることができます。一方で、直接コミュニケーションできない不特定多数の人に向けても、ファッションを発信しています。その場合は、明確な着地点が見えないと、服を創ることが難しい。そのためにも、「気分」を探ることが重要になるのです。

言葉を探り、並べてみる

丸山敬太: 「気分」を考える最初のステップは、言葉(キーワード)を見つけることです。五感で何かを感じたとき、ふと頭に浮かんだ言葉。普段から気になっていた言葉。思いついたら、すぐにメモを取ります。手帳やノート、レシートの裏など、あらゆるものに書き留めていきます。言葉がたくさん集まると、コレクションの発表から逆算してスケジュールを立て、自分を追い込んでいきます。

まずは目の前にたくさんの言葉を並べて、「今シーズンの女性は、どんな気分なんだろう?」と考えます。たとえば、「少しアンニュイなのかな?」「フレッシュなのかな?」といった感じです。「気分」が見えてくれば、女性を取り巻くシチュエーションやドラマも同時に浮かび上がってきます。

そうして1つのイメージが固まれば、今度は「エアリーな素材がいいかな?」「肌触りがツルリとした素材かな?」と、テクスチャー(質感)を考えていきます。また、シルエットについても、そのイメージから「余韻を残したいのだろうな」「ボリュームを出したいな」と考えていきます。

シーズンの「気分」を決める、イコール、自分の方向性を決める。僕にとっては最も大切な作業です。こうしたものが組み立てられれば、あとは色々なことが自動的に回転していくのです。


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