記事・レポート

ファッションから始まるコミュニケーション

丸山敬太が語る、心を満たす服のつくり方

更新日 : 2013年08月12日 (月)

第1章 ファッションデザイナーという仕事

1997年のパリ・コレクションデビュー以来、常に第一線で活躍してきた丸山敬太氏は、ファッションを「人と人の心を結びつける、大切なコミュニケーションツール」と捉えています。氏は、服を中心としたクリエーションを通して、どのようなコミュニケーションを実現しようとしているのでしょうか? 世界の人々を魅了してきたKEITA MARUYAMA独自の感性を紐解く、創造性を刺激するトークとなりました。

ゲストスピーカー:丸山敬太(KEITA MARUYAMA デザイナー)

丸山敬太(KEITA MARUYAMA デザイナー)
丸山敬太(KEITA MARUYAMA デザイナー)

 
「僕らが旅に出る理由」

丸山敬太: 僕はファッションを業(なりわい)としています。一般的にファッションの世界というと、パリ・コレクションや東京コレクションといったファッションショーでシーズン毎にコレクションを発表する。あるいは、展示会などで自作の服を発表するようなイメージを持たれていると思います。僕も、主にそうした場で作品を発表しています。

ブランド「KEITA MARUYAMA」を立ち上げ、コレクションを発表し始めてから、来年で20年を迎えます。最新コレクション「2013-2014 Autumn/Winter」は、これまでとはまったく異なるプロセスを経て生まれました。その流れの中で、コレクションの世界観を表現した映像、いわゆるファッション・ムービーも初めて制作しました。

まずは、その映像をご覧いただきたいと思います。タイトルは「僕らが旅に出る理由」。ご存じの方も多いと思いますが、小沢健二さんの楽曲をタイトルにしています。



1つの世界観を生み出す

丸山敬太: 最初に「ファッションを業としている」と申し上げましたが、最近、自分の中で1つ、結論に至ったことがあります。

一般的にファッションデザイナーの仕事は、「服を創る」ことだと認識されていると思います。僕自身も長くそう思ってきました。ですが、ここ数年は、「自分の仕事は、本当に服を創ることだけなのか」といった違和感も覚えていました。

今回、映像を制作してわかったことは、ファッションデザイナーの仕事は、服を中心としながら、さまざまなメディアやアイテムを活用し、大きな世界観を創り上げていくこと。自分の仕事に対する1つの答えが得られたのです。

ファッションを通じて世界観を生み出し、広く世の中に発信していく。そして、服を着ていただく方々に届けて、喜んでもらい、楽しんでもらう。それがファッションデザイナーの仕事だと、いまは強く感じています。