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“生きるように働く”を支援する

毎日が楽しくなる、新しい生き方・働き方:中村健太×古田秘馬

キャリア・人文化
更新日 : 2012年12月14日 (金)

第4章 いい仕事の共通点

中村健太(株式会社シゴトヒト代表取締役)

中村健太: いろいろな仕事を取材して気づいたのは、いい仕事には共通する部分があるということです。いくつか具体例を挙げながらお話ししたいと思います。

アウトドアウェアの製造販売を手掛けるパタゴニアを打ち合わせで訪ねたときのことです。会議室で担当の方を待っていたら、その方が遅れそうになりながら「すいません」とあわてて入ってきました。見ると、汗をたくさんかいています。どうしたんだろうと思ったら、「天気がよかったので、ちょっと走っていました」と言うのです。

この会社は『社員をサーフィンに行かせよう』という本を出していて、それには「いい波がきていたら、勤務時間中でも海に行っていい」というようなことが書いてあるんです。これを読んだときは「本当かな」と思っていたんですけれどね。その方はサーフィンではなくランでしたけれど。

パタゴニアのスタッフはみなさん、長期休暇をとって家族と旅行したり、天気がよかったら本当にサーフィンに行ったり、目の前の人や、目の前の今の時間を大切にしている感じがしました。もちろん、仕事を投げ出すわけではなく、しっかりやったうえで、ですけど。

もう1社。フェアトレードでネパールの商品を販売しているネパリ・バザーロという会社では、コーヒー豆の話が印象的でした。コーヒーの生産をうまくできなかった村にスタッフが行って、一緒に栽培したり商品の加工をやったりした結果、だんだんいい物をつくれるようになったそうです。そうして輸出量も少しずつ増えていったとき、なんとこの会社は、日本での販売権を他社に譲っちゃったんです。

「これからが事業として“おいしい”時期なのに、なんでそんなことをするんですか?」と聞いたら、「私たちの会社の規模では、たくさんは販売できない。だからもっと販売できる会社に譲った」という主旨のことをおっしゃいました。びっくりしませんか? その後は、また別の村のコーヒー豆を一緒に開発しているそうです。損得勘定で考えると、とてもおかしな会社だと思うのですが、ネパールの人に贈り物をするように働いているのかなと思いました。

ほかにもまだまだ例があるのですが、どの会社も、今と向き合って生きているような感じがします。漠然と社会を対象にするのではなく、まずは自分の隣の人、目の前の人と向き合う。それが結果的に社会につながっていくんだと思います。逆に言うと、過去にとらわれたり、未来ばかり見ていたりして、結局今は幸せではない、ということがないんです。世の中の課題を改善する社会起業家と呼ばれる人が、家族をおざなりにしてしまったらどうなんだろう。もっと身近な人を不幸にしている……「それって、どうなんだろう?」と思います。

それから、損得で考えるより、贈り物をするように働くことで、結果としてそれが仕事につながっている人たちが多いような気がします。そういう人には大きな仕事がまたやってきたり、継続的に仕事がきたりするんですね。これはフリーランスの人だけではなく、組織で働く人にも当てはまることだと思います。

あと、仕事(仕える事)というより「自分ごと」をしているような気がします。仕事は仕事、プライベートはプライベートみたいな感じではなく、連続した波のような感じで、生きるように働いている人が多いと思います。


該当講座

シリーズ「街・人を変えるソーシャルデザイン」
“生きるように働く”を支援する
中村健太 (株式会社シゴトヒト代表取締役)
古田秘馬 (プロジェクトデザイナー/株式会社umari代表)

中村健太(株式会社シゴトヒト代表取締役)× 古田秘馬(株式会社umari代表)
日々の生活、社会の問題も、ちょっとした工夫や思いつきで「楽しい毎日」になります。視点を変えるきっかけさえあれば、誰もが工夫し、参加できるのではないでしょうか。
シリーズ「街・人を変えるソーシャルデザイン」では「丸の内朝大学」「六本木農園」など、多くの街・人を巻き込む企画を実行するプロジェクトデザイナー古田秘馬氏をファシリテーターに迎えます。第1回のゲストは、WEBサイト「日本仕事百貨」を運営する中村健太氏。働いている人と、働きたい人の想いをつなぐ、新しい仕事の探し方をきっかけに、社会のありかた、生き方を考えていきます。


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