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“生きるように働く”を支援する

毎日が楽しくなる、新しい生き方・働き方:中村健太×古田秘馬

キャリア・人文化
更新日 : 2012年12月13日 (木)

第3章 いい場は「人」から

中村健太(株式会社シゴトヒト代表取締役)

中村健太: 「日本仕事百貨」を始めたきっかけは、子どものころの親の転勤でした。転勤族で1、2年おきに引っ越しするので、僕には「地元」と呼べる場所がなくて、ずっと「自分の居場所が欲しい」と思っていたんです。高校で進路を決めるときは、「自分の居場所をつくりたい。場づくりだったら、建築かな」と思い、建築学科に進学しました。

進学して最初の頃は楽しかったのですが、だんだん、もやもやするようになりました。初めのうちは「どんな建物でも建てていい、考えていい」という感じの授業なのですが、だんだんと敷地や建物の用途が決まるなど、制約が出てくるからです。制約があるのは当たり前なのですが、「僕がやりたいのはゼロからプロジェクトを考える場づくりだから、建築家はちょっと違うな」と思いました。

それで大学卒業後は、建築家に発注する側の不動産会社に入りました。いわゆる求人サイトは検索結果にうんざりするだけだったので、OB訪問をして決めた会社です。でも、ここでももやもやするようになって、週6日、バーに入り浸るようになりました。僕はお酒が強くないのに、「どうしていつもここに来るんだろう?」と考えたとき、気づきました。内装も食事もいいけれど、僕はバーテンダーに会いに来ていたんだと。

そのとき、いい場というのは、そこにいる「人」がいいのだと思いました。「いい人がいたら、その場が生き生きする。生き生きする場には、いい人が来る。いい循環が生まれるような気がする。これって求人のようなものかな。そういうことをやりたいな」と思いました。

求人情報の伝え方のスタンスは、働き方研究家の西村佳哲さんの『自分の仕事をつくる』という本や、お世話になっていた東京R不動産の影響が大きいです。西村佳哲さんは、仕事を「べき論」ではなく「こんな生き方、働き方もあるよ」というスタンスで紹介しています。東京R不動産は、物件を「駅から徒歩何分・何LDK」という定量的なスペックではなく、「バルコニーがめちゃくちゃ広い、部屋よりも広い」とか「改造できます」みたいな定性的なやわらかい情報で紹介しています。「こういうやり方を求人でもできるんじゃないかな」と思ったんです。

こうして「日本仕事百貨」を立ち上げて、最初の半年間ぐらいは無料で求人情報を掲載していたのですが、それでも掲載を断られることが多かったです。でも、だんだんと掲載から採用に至る企業が増えていって、あるとき掲載費用の入った資料を提案してみたら、契約できたんです。そのとき「ああ、これで生きていける」って思いました。


該当講座

シリーズ「街・人を変えるソーシャルデザイン」
“生きるように働く”を支援する
中村健太 (株式会社シゴトヒト代表取締役)
古田秘馬 (プロジェクトデザイナー/株式会社umari代表)

中村健太(株式会社シゴトヒト代表取締役)× 古田秘馬(株式会社umari代表)
日々の生活、社会の問題も、ちょっとした工夫や思いつきで「楽しい毎日」になります。視点を変えるきっかけさえあれば、誰もが工夫し、参加できるのではないでしょうか。
シリーズ「街・人を変えるソーシャルデザイン」では「丸の内朝大学」「六本木農園」など、多くの街・人を巻き込む企画を実行するプロジェクトデザイナー古田秘馬氏をファシリテーターに迎えます。第1回のゲストは、WEBサイト「日本仕事百貨」を運営する中村健太氏。働いている人と、働きたい人の想いをつなぐ、新しい仕事の探し方をきっかけに、社会のありかた、生き方を考えていきます。


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