記事・レポート

日本は文化で世界に打って出る

近藤誠一文化庁長官×竹中平蔵が語る「文化と経済」

アカデミーヒルズセミナー文化政治・経済・国際
更新日 : 2011年09月01日 (木)

第3章 日本人が気づいていない「日本の宝」

近藤誠一文化庁長官×竹中平蔵が語る「文化と経済」会場の様子

近藤誠一: 心の豊かさを求めながらも、どうしていいかわからないというのが多くの日本人の実態ではないかと推測します。日本には素晴らしい文化・芸術の「人材」「文化遺産」「法的枠組み」があるのに、これでは宝の持ち腐れだと思います。

まず「人材」でいえば、映画ではアカデミー賞などを受賞していますし、建築では日本の建築家が世界を制覇しているといっても差し支えないと思います。スポーツではオリンピックやフィギュアスケートでの活躍、サッカーのアジアカップ優勝(2011年)などがあります。また、ノーベル賞に代表される科学技術での活躍もあります。こうした分野では才能ある個人が世界一の座を射止めているわけです。文化・芸術を国の柱にしていくのに必要な人材は十分にあると私は考えています。 

「文化遺産」については京都、奈良は言うまでもありません。こうした有形の文化遺産だけではなく、能や歌舞伎や茶道といった無形の文化遺産もあり、バラエティに富んだ奥の深い文化を日本はしっかりと継承してきています。

「法的枠組み」については、憲法第二十五条に「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」とあります。また戦後間もない昭和25年、そこら中がまだ廃墟だったときに、日本は文化財を守るために文化財保護法をつくりました。しかもその対象には、お寺や仏像といった有形のものだけでなく、匠の技の世界や工芸品、能など無形のものも含まれていました。これをもとに国宝や重要文化財、人間国宝は指定されています。それから比較的最近ですが、2001年には文化財に限らず文化活動も振興しようと、文化芸術振興基本法を制定しました。

ですから日本は文化・芸術を中心に据えるための人材には事欠かないし、そのための文化遺産もふんだんにあり、それをやるのに必要な法的枠組みもあるのです。文化・芸術、あるいは創造産業で日本が再生する余地は十分あるわけです。では、どうしたらいいのか——仮説ではありますが、私なりの結論をお話ししたいと思います。

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該当講座

近藤誠一×竹中平蔵が語る「文化と経済」

~日本は文化で世界に打って出る~

近藤誠一×竹中平蔵が語る「文化と経済」
近藤誠一 (元文化庁長官)
竹中平蔵 (アカデミーヒルズ理事長/東洋大学教授/慶應義塾大学名誉教授)

近藤 誠一(文化庁長官)
竹中 平蔵(慶應義塾大学教授/アカデミーヒルズ理事長)
昨年7月に第20代文化庁長官として、外務省からの初めての起用ということで就任された近藤氏。外交官として長期に渡る海外経験から、日本を外から見てきて感じたことは、これからの国づくりにおいて、文化・芸術を柱の一つに据えなくてはいけないということでした。竹中氏が近藤長官と「これからの日本の文化と経済」について語ります。


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