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世界が見た日本「東日本大震災は日本をどう変えるか」

ジェラルド・カーティス教授が語る、日本の現在・過去・未来

ライブラリートーク政治・経済・国際
更新日 : 2011年06月20日 (月)

第3章 危機感とともに「日本を変えるチャンス」も消えようとしている

ジェラルド・カーティス氏

ジェラルド・カーティス: 震災が起きてから、日本人には「気持ちを1つにして東北の人たちを助けて、これをモデルにして新しい日本をつくろう」という勢いがすごくあったと思うのですが、見ていて非常に残念なのは、この気持ちがだんだんと薄れてきていることです。放射線の影響もだいぶ少なくなってきたし、福島は大きな余震が来たら心配だけれどそれがない限りはいい方向にいくだろうから、どちらもそれほど大きな問題でなくなりつつあるという感じがします。

財界の人たちと話をしていても「この4、5カ月間は大変だろうけど、その後はよくなるからそんなに大きな問題ではない」と言います。確かに、日本の経済は大きな被害を受けましたが半年ぐらいしたら成長率は上がるでしょう。サプライチェーンの問題があるのでこれから3カ月~半年ぐらいは結構厳しいでしょうが、政府がお金を出して仮設住宅をつくるなどいろいろやるので、それが刺激策になるんです。阪神・淡路大震災のときも数カ月で元の予想の成長率に戻りました。

もちろん「東北の人たちはかわいそうだ。お金を使って助けなければならない」という気持ちはあると思うのですが、危機意識が薄れてきて「これは日本を変えるチャンスだ」という気持ちがだんだんとなくなりつつあるのではないかと思うのです。今、日本を変えるチャンスなんです。このチャンスをつかまなかったら、これで日本が何も変わらなかったら、震災で亡くなった人たちに対して本当に申し訳ないという気持ちにならなければいけないと思います。

勢いを持って新しい東北をつくるということは、やはり政治指導力がないとうまくいかないのですが、それがないんですね。今、政府が一番やるべきことは、お金を出して口は出さず、地方に任せることです。例えば宮城県に特区をつくって規制緩和して、新しいモデルの経済をつくる。それぐらいのことをやる必要があると思うのですが、構想会議を見ていると、どこまで本当に大胆な提案をするのか疑問に思わざるを得ません。

私が最初に感じた「非常に大きな変化、大きな進歩が起こる」という期待が持てなくなっているというのが、震災から1カ月半たった今の気持です。菅政権には期待できそうにないので、民間の人たちがプレッシャーをかけてこのチャンスを失わないようにしないといけないと思います。

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