記事・レポート

安藤忠雄「チャンスを逃すな」

日本はもう絶望的な状態……か?

日本元気塾建築・デザイン
更新日 : 2010年12月01日 (水)

第2章 チャンスは自らつくるもの

安藤忠雄「チャンスを逃すな」

安藤の人生において、チャンスは「向こうからやってくるもの」ではなかった。常に自分でつくり出し、広げていった。そうした経験を積み、世界で仕事をしてきた目には、日本のチャンスのタネが見える。

「たとえば、日本の資源リサイクル技術は世界一、鉄道の建設技術や運行管理も素晴らしい。建築技術、土木技術もまた圧倒的に世界一。こうした世界最高の技術のプレゼンテーション週間を設けて、日本に世界やアジアの人たちを呼び寄せてはどうか」と語る。実際に中国や韓国、台湾では「日本の建築現場を視察したい」というニーズはとても強いという。「日本はこうした技術をひたすら隠してきたが、もうそういう時代ではない」。

もうひとつは人材だ。世界中で仕事をした安藤は、「日本人の現場監督の仕事は神業だ」と言う。しかし、そのすごさを多くの日本人が十分に評価していない。建築不況で早期退職に追い込まれた人も少なくない。安藤は、そうした人たちにスリランカやメキシコ、中国などの現場で、もう一度、力を発揮できるチャンスをつくっている。

安藤は言う。「日本人は日本の住み心地がいいせいか、世界に出たがらない。しかし、世界にチャンスがあるなら、どんどん飛び込んでみればいい。世界を見て、世界の人々と対話すべきだ」と。
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安藤忠雄:チャンスをつくる  
安藤忠雄 (建築家)
米倉誠一郎 (日本元気塾塾長/法政大学イノベーション・マネジメント研究科教授/ 一橋大学イノベーション研究センター名誉教授)

関東大震災後、現在の東京の都市骨格を形作ったと言われ、医師であり都市計画家でもある後藤新平氏の生誕150周年を記念して一昨年創設された『後藤新平賞』。本年、その国内外における多様な建築と、『瀬戸内オリーブ基金』『海の森募金』など環境に対するビジョン・実践力が後藤氏と通ずるということで、建築家・安藤忠....


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