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行政のムダを斬る「事業仕分け」の本番はこれからだ!

~行政刷新会議事務局長が目指す本当の改革~

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更新日 : 2010年05月27日 (木)

第2章 たった2枚の「事業シート」で成果が一目瞭然に

加藤秀樹氏

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加藤秀樹: 事業仕分けを始めたのは2002年の2月です。岐阜、岩手、宮城、秋田、高知など、当時「改革派知事」といわれた県を中心にスタートしました。

最初、岐阜県には構想日本のスタッフと岐阜県下の市町村の職員で出かけて行きました。岐阜県の事業は全部で6,000ぐらいあったのですが、それを2泊3日で片っ端から議論していきました。全事業をやったことで、
「6,000のうち、4,000は必要だな」
「あとの2,000のうち、半分ぐらいは要らないんじゃないか」
「残りの1,000の半分は、県でやるよりも市でやった方がいいんじゃないか」
そういう全体の比率みたいなものが何となくわかってきたのです。しかし、議論にかける時間は1つ5分程度ですから、かなり大雑把な作業であったのは間違いありません。

それで3年目から少しやり方を変えました。「全事業仕分け」から「選択事業仕分け」に変えたのです。仕分けの対象とする事業の数を100、さらには50くらいに絞りました。これで1つの事業に30~40分という長い時間をかけて議論できるようになり、精度が上がりました。

それから「事業シート」というのを新たに導入しました。いわゆる予算書には項目と金額と数行の説明程度しか書かれていないので、それだけを見ても中身はわからないんです。

中身を知ろうと思ったら、お役所の担当者に聞かないといけません。聞くとどうなるかというと、彼らは山のような資料を持ってきます。最近はお役所もパワーポイントで上手に説明するので、聞いていると全部もっともらしく見えてくるのです。こちらにはそれ以上の判断材料がないわけですから、相手の土俵に乗ってしまうわけです。それでは仕分けはできません。「事業シート」はA4、2枚のもので、事業名や予算、目的や対象、成果実績、過去数カ年で使われたお金などの項目があり、お役所にはこの「事業シート」に記入してもらうことにしたのです。

書き込まれた事業シートを何の予備知識もない学生に10分よく読ませると、みんないろいろなことを言います。そこで出てくる意見というのは、実は仕分け人が指摘することとほとんど変わりません。

例えばある町で生涯学習のイベントをやった。1,000万円を使った。成果のところに「300人が来た」と書いてある。学生はそれを見て「300人が来たというのは『事実』であって成果じゃない。成果はその300人がどういうことをイベントで感じたり、見聞きして持ち帰ったりしたのか。それでその人たちの知識が増えたのか、あるいは楽しくなったのか、そういうことのはず」と言います。

仕分けでやっているのは、これと同じことです。仕分けの場では、お金が本当に活かされているかいないかを見るのです。

「事業シート」の導入で、議論の精度がかなり上がりました。その結果、例えば2005年11月に事業仕分けを実施した滋賀県の高島市では、約260億円の予算の1割近い21億円をカットしています。

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加藤秀樹 (構想日本代表/行政刷新会議事務局長/東京財団会長)

加藤 秀樹(行政刷新会議 事務局長/構想日本代表/東京財団会長)
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