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更新日 : 2010年05月20日 (木)

第4章 ダーウィンについての本の数々

六本木ライブラリー カフェブレイクブックトーク 紹介書籍

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澁川雅俊: 『種の起源』『ビーグル号航海記』『ダーウィン自伝』などはダーウィンの人物と科学と思想を読み解くうえで重要な本ですが、この記念すべき年に向けて数年前からいくつかの重要なダーウィン研究書が出されていて、ライブラリーには、このようなものがあります。

まずこの3点は、ダーウィンの伝記です。
・『ダーウィン—世界を揺るがした進化の革命〔オックスフォード科学の肖像〕』(O・ギンガリッチ編、R・ステフォフ著、西田美緒子訳、07年大月書店)
・『ダーウィン—進化のしくみを考えた人〔天才!?科学者シリーズ2〕』(L・ノヴェッリ文・絵、滝川洋二監修、関口英子訳、09年岩崎書店)
・『ダーウィン進化論生誕200周年、『種の起源』150周年〔ニュートンムック〕』(09年ニュートンプレス)。

最初のものは、たいそうな副題がつけられていますが、ごく標準的な伝記です。次の本はこども向け図書の専門出版社が出した伝記ですが、小学高学年から「生物」を単科で学び始める高校1年生ぐらいまで十分に読めますし、1時間程度でダーウィンと進化論を雑知識として仕入れるつもりなら格好の読み物です。そして最後の本は、一般成人向けにまとめた進化論の図鑑です。

また
・『ダーウィンの思想—人間と動物のあいだ』(内井惣七、09年岩波新書)
・『チャールズ・ダーウィンの生涯—進化論を生んだジェントルマンの社会』(松永俊男、09年朝日選書)
・『ダーウィンが信じた道—進化論に隠されたメッセージ』(A・デズモンド&J・ムーア、09年日本放送出版協会)
は、伝記的な要素も含んでいますが、いずれも人類の起源についての理論が、当時の欧米社会に及ぼした衝撃的影響について論じています。

この点をもう少し詳しく述べるならば、岩波新書のそれは、科学哲学者がまとめたもので、ダーウィンがいかに生物学から神を切り離したか、それはとりもなおさず、人間と動物をいかに結びつけたかということになりますが、そこに焦点を絞っています。もちろん神とは、ここではキリストのことです。この「生物学から神を切り離した」というのは、聖書の「天地創造」(もしくは「創世記」)で「宇宙も地球も動植物も、そして人もまた神の手により創られた」とする信仰とは別の次元で、人類を含めたあらゆる生物の生い立ちを科学的に論考した、ということを意味しています。

また朝日選書の本では、彼がどのような経過をたどって進化、すなわち「いまこの地球に生息している生物は、みな遠い昔から存在していた共通の祖先に由来している」という着想を得たのかについて、生物化学の研究者が解説しています。

最後の本は、科学史の視点から二人の科学者が協力して執筆した伝記ですが、生い立ちや業績を年代順に記述したそれではなく、彼らは、ダーウィンを思想家や哲学者、あるいは社会主義者ではなく、純粋無辜な自然科学者でありながら、天動説を確信していた15世紀の西欧社会にあって地動説を唱え、それゆえに法王庁から迫害され、「それでも地球は太陽の周りを回っているのだ」という科学的認識を、ブレることなく、曲げなかったコペルニクスと同列に捉え、世界思想を180度転換した論説を唱えた人物であったと主張しています。

とりわけ人類の起源の論考に、当時の奴隷制度の下での人種差別に対する彼のリベラルな考えが暗号のように見え隠れしていると唱えていますが、ダーウィンの残した自筆ノートや草稿、さらに書簡などを原資料として駆使しており、近年ではもっとも信頼性の高いダーウィン論といえるでしょう。しかしそれはそれとして、600ページにも及ぶ大部な本で、読むには相当の覚悟と忍耐力が必要です。

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