記事・レポート

鎌田浩毅の『一生モノの勉強法』実践講座

落ちこぼれ学生から、世界トップレベルの研究者へ

更新日 : 2010年03月05日 (金)

第4章 失われた10年を全く学んでいない(2)

鎌田浩毅氏

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鎌田浩毅: それなら科学の世界には何の蓄積があるのかというと、私はやはり一応蓄積していると思います。例えば、100年前と何が変わったかというと、衛生状態が大きく変わりました。今インフルエンザが問題になっているけれども、1918年のスペイン風邪と言われた世界的流行のときは、ものすごく衛生状態が悪かったわけです。まずウィルスも知られていないし、衛生工学が無かった時代ですね。医学自体も遅れていたのです。それと比べると、今回はいくらパンデミックと言っても全然状況が違いますね。医学はちゃんと蓄積しているわけです。

それから土木もそうですね。ダムや台風の予測とか、いろいろなことが進んでいますよね。それから私の専門の火山学では、例えば1902年に、カリブ海のマルチニーク島という島で大噴火が起きました。800度ぐらいのマグマが粉々になって、ダーッと一気に流れました。その流れはどれぐらい速いかというと、時速100km。だから高速道路を自動車で走っても、まず逃げられません。高温で高速のマグマが流れて2万9千人が死んだのです。そのころは、火山学が非常に遅れていました。しかし今や、そういった噴火は一カ月以上前に分かります。だから2000年に北海道の有珠山が噴火したときも、2万人ほど避難して一人の死者も出ませんでした。こうして火山学はきちんと蓄積しているのです。けれど、経済や政治、もっと言えば倫理など、アリストテレスの時代から同じことを言っていて、何も変わっていないと思うのですね。

ここで大事なのが、一つは科学的思考法。きちんとした予測と制御ができなくてはならないと思うのです。科学の定義は何かというと、私たちはいつも「予測と制御」と言います。例えばボールを45度で投げると、あるところに落ちるわけですね。これは高校物理で教わった法則ですが、ボールは最初の速度と風速、質量などが分かると、投げたときに落ちる場所が予測できるのです。これが科学の姿ですね。そういう当たり前ことが、混乱している今の経済にはできていない。ということは、科学的でないということです。だから私は科学的な考え方を身につけ、それをちゃんと実行してもらう方法が、一生モノの勉強法だと思うのです。

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鎌田浩毅
東洋経済新報社


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京都大学 鎌田浩毅教授の『一生モノの勉強法』実践講座
鎌田浩毅 (京都大学大学院 人間・環境学研究科教授)

鎌田 浩毅(京都大学教授)
京都大学の人気教授が数多くの試行錯誤の経験から生み出した、「大人のための実践的勉学のテクニック」を解説します。一生役立つ勉強法を学び、自分を成長させたい方のご参加をお待ちしております。


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