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不況に強い!「一休.com」のビジネスモデルの秘密

~ECサイト最強ブランドの成長の軌跡と今後の展望

更新日 : 2010年01月07日 (木)

第4章 「明るい未来を信じる」のではなく、常に「最悪」を考える

神原弥奈子氏(左)森正文氏(右)

神原弥奈子: 2000年頃はパソコンでのインターネットユーザーがまだ確か1,000万人ぐらいで、森さんが営業に行かれた高級ホテルや高級旅館の担当者は、多分パソコンをあまり使えなかったと思うのです。実際に出品されているクライアントに対し、どういったご支援をされたのでしょうか。

森正文: 男性アルバイトが何人かいて、彼らが教えに行ってくれました。僕は部屋の出品方法を詳しく知らないので、わかる人たちが担当すればいいと思っています。

神原弥奈子: 一休ブランドは、今これだけ認知されていますが、次は何をやろうと思ってらっしゃいますか。

森正文: 現在、模索中です。

普通、ベンチャーの社長は「明るい未来は常にある」と思うのでしょうが、僕はどちらかというと守りに入りがちです(笑)。最悪の状況はキャッシュがなくなることで、それを回避するためにはどうしたらいいだろうといつも考えています。新しいビジネスにもチャレンジしますが、数人の社員が担当して黒字で回せればいいかなと。

神原弥奈子: これだけホテルの数があると、お客さまへの待遇に差があったり、「本当に予約できているのかしら」といったお客さまの不安があったり、そういう問題はないのでしょうか。

森正文: クレームには、僕もすべて目を通します。利用者からクレームが多いホテルには、必ず社員もしくは僕が行って話を聞き、場合によってはやめていただきます。また、自分が泊まって疑問に思うところは入れないようにしています。

神原弥奈子: 先ほど、業績が頭打ちというお話がありましたが、例えば客単価が下がってきているとか、そういった傾向はやはり不景気の影響なのでしょうか。

森正文: そうですね、部屋は今、山のように出ています。普通は3万円台をオープンで出すことはないホテルが、38,000円を出しています。お客さまにとってはお得なプランがたくさんありますね。

コミッションは「ホテルの平均単価×販売数×8%」とシンプルなので、平均単価が下がると痛手ですが、販売室数は増えます。かといって半値になったら、平日の予約が1.5倍になるはずもなく、やはり売上高は頭打ちになってしまいます。

でも、一度高級ホテルに泊まった方が、また利用してくださるかもしれないし、平均単価も為替のように動きますから、状況を見ています。価格が6割引になれば、泊まろうという方が大勢出てきますから、そういう方に利用してもらいたいですね。

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~ECサイト最強ブランドの成長の軌跡と今後の展望~

不況に強い!「一休.com」のビジネスモデルの秘密
森 正文 (株式会社一休 代表取締役社長)
神原弥奈子 (株式会社ニューズ・ツー・ユー 代表取締役)

森 正文(株式会社一休代表取締役)
高級ホテル・高級旅館の宿泊予約サイト「一 休.com」を中心としたEコマース事業を展開する森氏にビジネスモデル誕生の背景から成長の軌跡、新しい事業への取り組みと今後の展開までお話いただきます。


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