六本木ヒルズライブラリー

「仕事に役立つ本をビジネスパースンとシェアしたい」と 『交渉のブートキャンプ』を翻訳しました。

最近の書店でひときわ目を引くイラストの本、『交渉のブートキャンプ』(幻冬舎)。この一見ビジネス本らしからぬユニークな本を翻訳したのは、ライブラリーメンバーの青木高夫氏です。青木氏は某大手企業の部長職であり、数々の海外赴任や出張を経験されてきた方です。そんな青木氏に本のお話を伺いました。


交渉のブートキャンプ
この本を翻訳なさったのは、青木さんご自身が実際に海外でお仕事をしてきた中で、非常に役立った本だったからと伺いましたが。

そうですね。私は他の人が経験できないようなことをしたいと思いまして、当時あまり人気のなかった中東やアフリカ、ロシア等で販売や企業合併に関わる仕事をしてきました。様々な国の人たちと交渉をしていると、私を含めて日本人はまだまだ交渉の技術に疎いと痛感させられる場面に遭遇します。欧米式のロジカルな交渉が世界のスタンダードになっているのですが、日本ではその辺りのノウハウを現場目線でまとめた本は少ないようですね。
最初にこの本の原著を読んだとき、ひとつずつトレーニングしていけば、どんな人でも世界を相手にした交渉ができるのではと思いました。せっかくの現場に役立つ本ですから、日本のビジネスパースンにも紹介したいという気持ちで企画書を作り、以前からお付き合いをさせて頂いている幻冬舎に相談したところ、OKを頂いたので翻訳したわけです。

たしかに章ごとに具体的なテクニックが出てきたり、巻末にチェックリストがあったりして、何をすればよいのかわかりやすいですね。けれどこの本のベースになっているような交渉の仕方は、たとえば中東等の欧米以外の国でも通用するものなのでしょうか?

そう思いますよ。中東や東南アジア等の人の本来の性格には、日本人のようなウエットさがあると感じてはいるのですが、実際に彼らとビジネスをする上では、やはり欧米式のビジネスの基本を知らないでは済まされません。個人的には欧米式よりもイタリア式の家族的な経営や、日本なら江戸時代から続く老舗の顧客対応法にひかれますが、まずは、日本の皆さんの現場で必要であろう欧米式交渉術の基礎が、この本に網羅されているだろうと思いました。

その米国のビジネス界でさえ、従来の対決型のハードな交渉スタイルから、両者が満足する“win - win”へ変わってきているんですね。その原則を踏まえた上で、“相手の言うことを聴くのが70%”、”相手にガス抜きのチャンスを与える”等、実践的なルールが書かれています。こなれた日本語になっているので覚えやすいですね。

私は翻訳家ではないので、文法的な正確さより、著者が何を言いたいかを自身の経験に照らし合わせて理解した上で「日本語に書き直す」ようにしています。一ヵ月に10冊くらいは本を読みますが、そのうち半分が洋書です。これまでに『できる人は5分間で仕事が終わる』(幻冬舎)、『マニャーナの法則』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『外資のオキテ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)等5冊の本を翻訳しました。どの本も日本の著書にはない視点や、原則重視の理論展開、理論に基づいた実用性が面白い本です。

お仕事だけでもお忙しいと思いますが、どのように時間を作っていらっしゃるのですか?

毎朝、5時半には起きています。それからライブラリーに寄ってメールや日々発生するこまごました仕事を片付けるようにしています。会社に着いてからはスタッフといつでも話せるようにしておきたいですから。

青木さんご自身のタイムマネジメントや交渉術もお伺いしたいですね。本日はどうも有難うございました。

関連書籍


できる人は5分間で仕事が終わる

フォースター,マーク/青木高夫
幻冬舎

マニャーナの法則

フォースター,マーク 青木高夫
ディスカヴァー・トゥエンティワン

外資のオキテ

トム・マーカート 青木高夫
ディスカヴァー・トゥエンティワン