六本木ヒルズライブラリー

話題の新刊、「宗教としてのバブル」を出版なさったライブラリーメンバー島田裕巳さんに、ご著書と六本木ライブラリーについて伺いました

フリーター、ニートと否定的にとらえられがちな「今どきの若い世代」とは、実は前向きで堅実、日本社会に新しい価値観をもたらす「バブルを知らない世代」なのだ、と指摘する話題の新刊『宗教としてのバブル』は、ライブラリーメンバーの島田裕巳さんの著作。島田さんにご著書と六本木ライブラリーについて伺いました。


宗教としてのバブル
---このご本の一部は、六本木ライブラリーでお書きになったとか・・・

「昨年の12月からライブラリーメンバーになりまして、編集者や研究室との打合せも含め、よく使っています。家や研究室では疲れるとすぐに休憩してしまいますが、ここでは、まわりのメンバーの皆さんが仕事のモードなので、はかどりますね。広々とした空間も、他にはないものです。」

---ライブラリーをそのようによく使って頂きまして、ありがとうございます。六本木ヒルズを十分にご活用なさっているのですね。

「そうですね。しかし初めてヒルズに来た時は、雨の日だったこともあり、あまりいい印象ではありませんでした(笑)。
それが長く滞在するようになると、「ああここには住むための住居もオフィスも商店もある、職住一体の”知的なディズニーランド”なんだ」とわかるようになりました。このライブラリーもそういう場所ですが、52階に美術館もありますよね。先日視覚障害者の人と見に行きましたが、絵の説明を私から聞くことによって、目が見えなくても想像力を働かせることができ、楽しんでいましたよ。空間の広さや雰囲気、家具の手触りなども魅力的だったようです。私自身も、絵を説明することによって、よく知っている絵についても、新しい発見ができました。」

---たしかに六本木ライブラリーも、そのような「知的な出遭いの場、都会の中でいつでも通える場」となることを目指しているのですが、これはまさに、先生が今回の本の中で書いていらっしゃるように、個人の主体性が、より求められるようになってきたからですね。

「日本的=共同体的企業経営がバブル崩壊によって力を弱めたということは、これまでの組織の力が弱くなってきたということです。古いタイプのムラ社会から、力の源泉が「個人」に移る。
その時、全く新しい価値観を持っている「バブルを知らない子供たち」は、日本社会に希望を与えるものになり得るというのが、この本の主張です。」

---先生がおっしゃるように、バブル期以降の若い人には、利己的でなく、前向きで堅実なところは見受けられますね。たとえばライブラリーでも、ボランティアやNPO、ロハスな農業という分野の本は、若い人にこそ、人気があります。

「一般には「バブルを生んだ原因は、1985年のプラザ合意」といわれていますが、そのような経済現象のみが問題なのではなく、バブルを受入れた私たち日本人の精神のあり方こそが、バブルの本質です。現在のようにまた景気がよくなってきたように思える時にこそ、「宗教としてのバブル」を考えていきたいですね。」

---社会の中の「場」としての六本木ライブラリーが、価値を問われるところですね。本日は有難うございました。

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島田裕巳
ソフトバンククリエイティブ